ドル円、株安を背景に急反落。トランプ減税や英中銀利下げを受けても尚上値は重い(3/12朝)

11日午前の東京市場でドル円はじり安推移。

ドル円、株安を背景に急反落。トランプ減税や英中銀利下げを受けても尚上値は重い(3/12朝)

ドル円、株安を背景に急反落。トランプ減税や英中銀利下げを受けても尚上値は重い

海外時間の為替概況

11日(水)の外国為替市場でドル円は上値の重い展開。前日海外市場では、@トランプ米大統領による給与税減税を含めた経済対策への期待感や、A上記@を受けたリスク回避ムードの後退(株価の反発及び米長期金利の上昇)が支援材料となり、一時105.92まで急伸する場面も見られましたが、B新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムードが再燃すると、アジア時間午後にかけて、安値104.11まで反落する展開となりました。

その後は、C来週18ー19日に開催される日銀金融政策決定会合にて「ETF買い入れ目標の引き上げ(追加緩和)」が実施されるとの一部報道や、D市場予想を上回る米・2月消費者物価指数(結果2.3%、予想2.2% ※前年同月比)を受けて一時反発に転じる場面も見られましたが、105円台で伸び悩むと、E米主要株価指数の急落(米ダウ平均株価は現時点で前日比1680ドルを超える急落)を背景に、米国時間午後にかけて、再び104台前半へと下落するボラタイルな値動きとなりました。本稿執筆時点(日本時間4時35分現在)では、104.69近辺で推移しております。

昨日のユーロドル相場は続落。@米長期金利上昇(米10年債利回りは一時0.85%へ上昇)に伴うドル高や、AECB理事会を前にした追加緩和観測(コンテ・イタリア首相は新型コロナウィルス対策でECBに可能な手段の総動員を要請)、B米・2月消費者物価指数(結果2.3%、予想2.2% ※前年同月比)の伸び率高進、C新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(対ユーロでのドル高・円高・スイス高)が重石となり、米国時間には一時1.1258まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時35分現在)では、1.1277近辺で推移しております。

尚、昨日は英中銀(BOE)が緊急利下げを実施し、政策金利を0.75%から0.25%へ50bp引き下げました。これを受けて英ポンドは約1週間ぶり安値となる1.2822まで下げ幅を広げております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。この間、一目均衡表雲転換線や基準線、一目均衡表雲上限及び雲下限、ボリンジャーミッドバンドや200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを表す三役逆転及び、強い下落トレンド入りを示唆するバンドウォークも発生するなど、テクニカル的に見て「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(※トランプ米大統領による経済対策案の発表を受けて一時反発に転じるも一目均衡表転換線が走る105.84付近で伸び悩むと再び反落)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(緊急利下げに踏み切る米国と、追加緩和手段に乏しい日本。市場では来週のFOMCでFRBが更に50bp以上の利下げに踏み切ることを織り込む催促相場に)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の急落など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。市場ではトランプ減税の実現性に対する不透明感が広がるなど、楽観ムードから一夜明けて早くも悲観ムードに戻りつつある状況です。本日発表される一連の米経済指標(2月生産者物価指数など)が市場予想を下回る不冴な結果となった場合や、新型コロナウィルスに絡むネガティブな報道がなされた場合などには、「米景気減速懸念→米利下げ観測→米長期金利低下→ドル売り」の経路と、「世界経済の低迷→グローバルな株安→リスク回避の円買い」の双方の経路で、ドル円が再び押し下げられるリスクが警戒されます。

トランプ米大統領による経済対策を好感した俄かリスクオン相場は長続きしないと考えられることから、本日は続落リスクにより警戒が必要でしょう。米株・米長期金利及び原油価格の動向や、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン、トランプ減税を巡る続報、米経済指標の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(RBAやBOC、FRBやBOEの利下げを受けても尚収束の兆しを見せない金融市場を受けて、失望売りが広がる展開を想定)。

本日の予想レンジ:103.00ー106.00

ドル円、株安を背景に急反落。トランプ減税や英中銀利下げを受けても尚上値は重い

ドル円日足

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