円安傾向だが、ドル/円は新レンジ形成も
<< 東京市場の動き >>
週明け24日の東京市場は、ドルが小高い。安寄りして始まったが、結局下がらず、その後はむしろ買い戻しが優勢だった。
週末に開催されたG20財務相・中銀総裁会議は、「新型ウイルス対応へすべての政策を用いる」などとした声明を発表し閉幕している。また、別に「韓国が警報レベルを最高段階に引き上げ」、「米国務省、日本渡航の危険度を1段階引き上げレベル2に」といったような日韓における新型ウイルス関連報道も目に付いた。
そうしたなかドル/円は、早朝時間外取引で111.20円台を記録するなど、前週末のNYクローズと比べて安寄りしたものの、結局は同レベルが日中のドル最安値圏。時間外取引でNYダウ先物が300ドルを超える下げ幅を記録したにもかかわらず、為替は逆にドルの買い戻しが優勢となった。111.65-70円まで買い進められたのち、16時時点ではやや緩んだ111.55-60円で推移し、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナウイルス」について。
習国家主席から「状況は依然厳しい」とした論調も聞かれたが、全体を通して中国の状態については楽観的な見解が目につく。それも中国国内の意見だけでなく、たとえば国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事が、発生源となった中国の経済について「急激に落ち込んだ後に急回復する『V字型』を現時点で想定している」と述べたように、なかば期待感込みで早期回復への言及も少なくなかった。
それに対して、先で報じた内容以外でも、日韓に対しては厳しい内容が多く観測されている。日本については、米国に続き豪州も渡航警戒レベルを引き上げたことが明らかに。ただ、それ以上に当局が感染者数を763人、死者数7人と発表するなど、被害の拡大が改めて示された韓国への警戒感はさらに著しい。したがって、同国株価が一時急落したほか、通貨ウォンも軟調裡。後者については、ウォンの対ドル相場(ドル/ウォン)は1220ウォン台を示現するなど、本日も大きく値を下げている。
<< 欧米市場の見通し >>
中国本土の感染者数が落ち着いてきたなか、日韓の感染状況などが海外勢から嫌気されており、金融市場は「日本売り、韓国売り」が止まらない。実際、前述したように東京休場のアジア時間には、NYダウ先物が大きく下落したにもかかわらず、ドル/円はむしろ底堅く推移しており、かつての「リスク回避志向(=円買い)」とは異なる様相がうかがえる。こうした状況がいつまで、そしてどこまで続くのか、取り敢えずは状況をしっかりと見極めたいところだ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は目白押しだ。そうしたなか、もっとも注意を要するのは引き続き「新型コロナウイルス」絡みの話題だが、ここ1-2週間、ドル/円などにおけるドル高を支援していたもう一つの要因である「米ファンダメンタルズ」にも注意を払いたい。今週は週間を通してなかなか重要な指標発表が多く、本日についても2月のダラス連銀製造業活動指数が発表される見込みだ。発表前後の相場が一時的にせよ、荒れる展開をたどる可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル高リスクそのものはまだ残っているものの、先日示現した112.22円が取り敢えず目先の高値になった感も否めない。つまり、予断は許さないが111円台を中心とした1円強といった新レンジを形成し、そのなかで一進一退をたどる可能性も取り沙汰されていた。
ただ、112.22円や昨年高値112.40円レベルを超えれば113円台乗せ。場合によっては115円台を意識した値動きとなることも否定出来ない。
一方、材料的に見た場合、2月のダラス連銀製造業活動指数や1月のシカゴ連銀全米活動指数といった米経済指標が発表される予定となっているほか、メスター・クリーブランド連銀総裁による講演なども実施される見込みだ。
そのほか、米紙WSJが米国の新たな貿易戦争として「相手はインド」と報じるなか、本日から就任後初めてトランプ米大統領がインドを訪問する。訪印中にモディ首相との首脳会談も実施される予定であり、その会談内容には一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.00-112.00円。ドル高・円安方向は、本日東京の戻り高値である111.65-70円が最初の抵抗。超えれば112円前後や、112.22円などがターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、早朝に示現した111.20-30円が目先のサポートに。ただ割り込んでも、下値は堅いイメージで、イケイケドンドンのドル安・円高は見込みにくい。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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