ユーロいったん安値を見た後のもみあい局面
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、これまでのユーロ安の流れを継続し売りが先行していましたが、水曜の海外市場以降のドル円の動きがドルとしての動きとしてユーロドルではユーロの上値を抑えるいっぽうで、円の動きがユーロ円にも大きく影響したことからユーロを下支えすることとなり、最終的にはユーロ円に引っ張られて買い戻しが強まる週末クローズとなりました。
ユーロの材料としてはもともと弱い経済指標が目立っていましたが、中国国内の新型コロナウイルス感染拡大により一段と景気の減速が懸念されています。ドイツ車を例に挙げると中国国内の売り上げが急減速しているだけでなく、生産が停滞しているメーカーもあり、これまでの景気低迷状態に追い打ちをかける状況となっています。ただ、日本の自動車メーカーでも同様どころか、日本の自動車メーカーの方が中国への依存度は高く、これは欧州に限った材料として捉えると見誤る可能性があります。
現在の長期的なユーロ安は、景気低迷が長引いていることによるECBのマイナス金利政策がユーロをキャリートレード通貨として借りてきて売り、それが米国株に流れているという図式があるかと思います。そこに、アイルランドやドイツにおける政治の問題などが加わり、年明け以降にユーロ売りが再開したというほうがよさそうです。もちろん中国を中心とした感染者拡大は無視できませんが、これは世界的な悪材料で特に東アジアへの悪影響の方が大きいと言えるでしょう。
今週は欧州からはドイツとフランスのGDP改定値をはじめ、いくつかの経済指標が発表されますが、よほどコンセンサスから外れてこない限りは一時的な振れに留まるものと思います。また、米国からのドル高牽制発言が全く無いのも気にかかりますが、ユーロ安だけでなく円安も加わって、いよいよ大台100が視野に入ってきていることから、さすがに警戒感が増幅して来るのではないかと考えています。
先週金曜のユーロはユーロ円の買いに引っ張られた面もあるとは言え、最近にしては大きめの買い戻しとなり、平均足も2月3日以来の陽線となりましたが、テクニカルには比較的綺麗なチャートとなっていますので、日足チャートを見てみましょう。
先週の週報で示した昨年12月末の高値からの逆N波動による127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションが1.0781でしたが、先週の安値が1.0778とほぼ一致を見ました。そこからの反転上昇となっていますので、現状は2月高値と2月安値の戻しを考えることとなります。最初のターゲットは38.2%戻しの1.0899、次が半値戻しの1.0937(どちらも青のターゲット)です。
今月に入ってから既に300pips以上の下げを見たことや、高水準のドルインデックスを考えると短期的にはいったん調整が入り、そこから長期的な下げに回帰するという見方が妥当に思えます。今週はいったん安値を見た後の踊り場と見て、1.0790レベルをサポートに1.0900レベルをレジスタンスとするレンジとします。
今週のコラム
ドル円での円安がユーロ円にも影響していますので、今週はユーロ円をテクニカルな観点から見ておきましょう。
まず日足チャートをご覧ください。
昨年秋以降の上昇相場が1月で高値をつけ、ユーロドルとともに2月安値まで下げてきたという動きが最近のユーロ円です。そして先週水曜以降の円安の動きに引っ張られて、ユーロ円は2月初めの高値を上抜けることとなりました。
ここまでの動きを見ると、昨年9月安値と今年1月高値の61.8%押しが118.54でとなっていて先週安値の118.46とほぼ重なることがわかります。また、先週の高値121.35は1月高値と先週安値の61.8%戻しにあたる121.17ともほぼ重なっているため、いったんユーロ円の買い戻しは短期的には終わりに近いと見てもよいでしょう。
ここからは、ドル円もユーロドルもドルの動きとして足並みを揃えてユーロ円がもみあいとなるか、直近の円安にユーロドルが遅れてユーロ安としてついていくか、どちらかの可能性が高いように思えます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
2月24日(月)
**:** 東京市場休場
18:00 ドイツ2月ifo企業景況感
2月25日(火)
16:00 ドイツ10〜12月期GDP改定値
16:45 フランス2月企業景況感
2月26日(水)
16:45 フランス2月消費者信頼感
24:30 週間原油在庫統計
2月27日(木)
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感
19:30 英中銀副総裁講演
2月28日(金)
09:01 英国2月GFK消費者信頼感
16:45 フランス10〜12月期GDP改定値
16:45 フランス2月CPI速報値
16:45 フランス1月PPI
17:55 ドイツ2月失業率
19:00 ユーロ圏2月CPI速報値
22:00 ドイツ2月CPI速報値
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月17日(月)
ユーロドルは、ほとんど動意のない一日となりました。欧州市場序盤に若干の上下が見られた以外はNY市場が休場ということもあって閑散相場が続く状況でした。
2月18日(火)
ユーロドルは欧州市場までは安値圏でのもみあいとなっていましたが、直近安値を割り込むとストップオーダーも巻き込みながらユーロ売りの流れを継続することとなりました。NY市場ではユーロは一段安となり1.0786レベルの安値を付けた後にいったんは買い戻しも見られましたが、引けにかけては安値圏に近づいての引けとなりました。
2月19日(水)
ユーロドルは、東京市場では前日までの流れを受けて上値は重たいものの目立った動きは出ていませんでした。欧州市場以降はドル円でのドル高からユーロ売りとなりNYの昼前には一時1.0782レベルと安値をわずかに更新しましたが、ドル円の円安がユーロ円にも波及し、ユーロ円も大幅高となったことからユーロドルは1.08台を回復しての引けとなりました。しかし、ドル円に比べると値幅は限定的な一日でした。
2月20日(木)
ユーロドルは東京市場ではドル円のドル高に引っ張られて欧州市場序盤には1.0778レベルの安値をつけました。しかし海外市場に移ってからは前日同様にドル円での円安の動きがクロス円にも波及したことでユーロ円が一段高、その動きからユーロドルもNY前場には1.0821レベルの高値をつけました。NY昼以降はダウが下げる動きとともに、ユーロ円での売りが目立ちユーロドルは安値圏に近づいての引けとなりました。
2月21日(金)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤にドル円同様にドル売りがユーロ買いの動きとなりました。その後いったん押しが入ったものの、NY市場に入りドル売りが対ユーロで目立ち、前日高値を上抜けると週末前のストップオーダーを巻き込みながら1.0864レベルまで上伸し、引けにかけてはやや押しての引けとなりました。
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