ドル円、新型肺炎を巡る感染拡大懸念で急落。米長期金利の急低下も重石に
海外時間の為替概況
24日(月)の外国為替市場でドル円は急落。本邦祝日中のアジア時間に一時111.68まで上値を伸ばすも、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、@IMF(国際通貨基金)による2020年中国経済見通しの下方修正(6.0%→5.6%)や、A新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード、B上記Aを受けた世界的な株安(米ダウ平均株価は1000ドル超の急落)・長期金利低下(米10年債利回りは2016年7月以来となる1.35%へ急低下)の流れ、C米・シカゴ連銀全米活動指数(結果▲0.25、予想▲0.18)の冴えない結果、D米ゴールドマンサックスによる「新型コロナウィルスの影響で米第1四半期GDPが1%強へ留まる」との下方修正が重石となり、米国時間には一時110.33まで急落しました(アジア時間朝方に記録した高値から1円35銭の急落)。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、110.67近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。欧州時間に一時1.0806まで下げ幅を広げるも、先週2/20に記録した約2年10ヶ月ぶり安値1.0777をバックに下げ渋ると、@ドイツ・2月IFO景況感指数(結果96.1、予想95.3)の良好な結果や、A米・シカゴ連銀全米活動指数(結果▲0.25、予想▲0.18)の冴えない結果、B米長期金利の急低下(米10年債利回りは2016年7月以来となる1.35%へ急低下)が支援材料となり、米国時間には、一時1.0872まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.0849近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、昨日は一時110.33まで急落しました(2営業日で1円88銭の急落)。この間、一目均衡表転換線を下抜けするなど、テクニカル的に見て「上値の重さ」を意識させるチャート形状となりつつあります(尚、昨晩は先週の急騰前の年初来高値であった110.30近辺で下げ渋る動きとなりました)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク(アジア圏のみならず、イタリアや中東地域などへの感染拡大懸念)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。本日発表される一連の米経済指標(12月ケースシラー住宅価格指数、2月リッチモンド連銀製造業指数、2月コンファレンスボード消費者信頼感指数など)が冴えない結果となった場合や、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて世界的に株安が広がる場合などには、「米景気減速懸念→米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」の経路と、「世界的な株安→リスク回避の円買い」の双方の経路で、ドル円が一段と押し下げられるリスクも想定されます。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、米経済指標の結果、米株をはじめグローバルな株価動向を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円の続落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:110.10ー111.10
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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