<< 東京市場の動き >>
20日の東京市場は、ドルが強保ち合い。前日に1.5円を超えるドル高の進行があったことで調整と思しき動きも観測されたが、下げ渋ると小高く推移している。
昨日のドル/円はオープンからクローズまで、緩やかな右肩上がり。途中、ストップロスを巻き込みつつ111円半ばまで上昇し、本日はその流れを継いだ111.30-35円で東京市場を寄り付いた。日米株価が堅調に推移したことなどが引き続きドルの下支えになるも、久しぶりの111円台ということで本邦実需筋の売りも散見され、上値を阻む一因に。結局、ドルは111円台前半を中心とした強保ち合いをたどるなか、16時時点では111.50-55円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナウイルス」について。
中国保健当局が発表した中国本土におけるウイルス感染数が、わずか394人の増加にとどまったことが話題に。これは1月23日以来の少なさ。「中国政府の方針に基づき確定診断の定義を再び変更」したという要因も含まれるが、それでも市場に安心感を与えていたことは間違いない。
反面で、日本に関しては外務省が「20日に予定されていた天皇誕生日祝賀会を中止」と発表したこと、時事通信が「自民党、3月予定だった党大会を6月延期で調整」と報じたことなどが思惑を呼ぶ。さらに、「横浜港クルーズ船においてウイルス感染者2人の死亡が新たに確認された」とのニュースが伝えられるなど、一部メディアからは日本という国そのものに対する信用低下問題を取り沙汰する論調も聞かれていたようだ。株安・円安要因に。
<< 欧米市場の見通し >>
政府は、「国内感染」に含めていないが、横浜港に寄港しているクルーズ船における集団感染が為替市場における円の弱材料としてクローズアップされてきた。前述したように、ここ数日は震源地である中国本土の被害拡大が落ち着いているだけに、余計に悪目立ちしている感も否めない。また、単なる感染者数の増加云々だけでなく、日本の景気などに及ぼす影響もそこここで懸念されており、円を積極的に買いにくい雰囲気だ。実際、現状はドル高というより、円安になっている。短期的にはやや行き過ぎの感もあるとは言え、流れとしてはドル高・円安方向の展開が続く公算が大きいだろう。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目される要因は依然として少なくない。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題だが、先でも指摘したように政治や経済への影響、つまりはファンダメンタルズ要因などへ市場の関心が移行しているようだ。そういった観点も含め、発表される米経済指標や米中を中心とした要人発言などには注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、過去2週間近く形成していたレンジ上限110.14円をブレークしただけでなく、年初来高値110.30円など上方向の抵抗を次々と突破してきた。一時111.59円まで急騰している。そんな昨日だけでドルは1.5円を超えるドル高の進行となり、短期的には若干行き過ぎの感もあるものの、強いテクニカルポイントとなると、昨年高値である112.40円まで見当たらない。一本調子のドル安が進行するかは微妙だが、112円台乗せに向けたドル高・円安傾向は続きそうだ。
本日は、2月のフィラデルフィア連銀景況指数や1月の景気先行指数といった米経済指標が発表される予定となっている。昨日発表された「住宅着工件数」なども良好な内容となっていただけに、市場の期待感は依然として高い状況だ。
また、バーキン・リッチモンド連銀総裁の講演など、欧米要人の発言機会にも引き続き注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.20-112.40円。ドル高・円安方向は、昨日高値111.59円が最初の抵抗。超えれば、少し遠いが昨年高値112.40円を目指す展開となりそうだ。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗として寄与していた111.10-20円レベルが、目先は逆にサポートに。割り込んでも、110円台では下げ止まりそうで、下値は堅いイメージだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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