ドル円、中国の景気刺激策と良好な米経済指標を受けて約10ヶ月ぶり高値圏へ続伸
海外時間の為替概況
20日(木)の外国為替市場でドル円は急伸。日本時間朝方に一時111.11まで下げ幅を広げるも、@新型コロナウィルスにおける新規感染者数の大幅減少や、A中国の景気刺激策への期待感(中国人民銀行による1年物LPRの引き下げ等)、B米・2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果36.7、予想12.0、※約3年ぶり高水準)及び、C米・1月景気先行指数(結果0.8%、予想0.4%、※約2年半ぶりの高水準)の良好な結果、D上記を受けたグローバルなリスク選好ムード(株高・円売り)が支援材料となり、米国時間には、一時112.21(昨年4月以来、約10ヶ月ぶり高値)まで急伸しました。もっとも、その後は米主要株価指数が史上最高値圏から急落に転じたことで、リスク回避ムードが広がり、本稿執筆時点(日本時間4時00分現在)では、112.00近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。欧州勢参入後に一時1.0778(約2年10ヶ月ぶり安値)まで下げ幅を広げるも、@グローバルなリスク選好ムード(対ユーロでのドル売りや円売り)や、Aドイツ・1月生産者物価指数(結果0.8%、予想0.2%)の伸び率増加、Bユーロ圏・2月消費者信頼感指数(結果▲6.6%、予想▲8.2%)の良好な結果が支援材料となると、米国時間にかけて、1.0821まで上値を伸ばしました。もっとも、その後は米主要株価指数が史上最高値圏から急落に転じたことで、リスク回避ムードが再燃し、本稿執筆時点(日本時間4時00分現在)では、1.0794近辺まで押し戻される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/3(月)に記録した安値108.32をボトムに反発に転じると、昨日(2/20)は一時112.21まで急伸しました(約10ヶ月ぶり高値)。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲下限及び上限、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンドの突破、強い買いシグナルを表す三役好転及び、強い上昇トレンド入りを示唆するバンドウォークの発生、昨年5月に作られた窓埋め成功など、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「底堅さ」を見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが、「続伸を阻む」シナリオが想定されます(中国による景気刺激策がリスク選好ムードをもたらすも持続性には懐疑的)。本日発表される一連の米経済指標(2月製造業PMI、2月サービス業PMI、1月中古住宅販売件数など)が冴えない結果となった場合には、「米景気減速懸念→米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」の経路で、ドル円が一気に押し下げられるリスクも想定されます(週末を前にしたポジション調整にも警戒)。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、米経済指標の結果、米国株式市場の動向を睨みながらも、当方では一巡後(ドル円ショート勢のロスカット一巡後)のドル円反落をメインシナリオとして予想いたします(昨年4月に記録した高値112.41を前に伸び悩む展開)。
本日の予想レンジ:111.50ー112.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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