<< 東京市場の動き >>
19日の東京市場は、ドル堅調裡。形成レンジそのものは30ポイント程度と、決して広くなかったが、「寄り付き安・大引け高」で見た目以上にドルが強いイメージだった。
ドル/円は寄り付いた109.80-85円を日中安値にじり高推移。途中、110円手前では一度上げ渋るも、上抜けるとそのまま110.10-15円まで値を伸ばしている。日経平均株価が終値ベースで200円以上上昇するなど、日米株価がともに堅調推移したことがドルの買い安心感に繋がっていたようだ。16時時点では、日中のドル高値圏である110.05円前後で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナウイルス」と「日本の景気」について。
前者は、当局の発表で中国本土の感染者数が7万4185人、死者数は2004人になるなど、感染そのものは依然として拡大傾向。しかし、習国家主席が英仏首脳それぞれと電話会談を行い「新型肺炎について説明した」とされるなど、中国サイドは火消しに躍起だった。また国営テレビを通じて、「経済は耐性を維持しており、影響はあるものの2020年の経済成長目標を達成できる」などと述べたという。なお、そうしたなかトランプ米大統領が「安倍首相から東京オリンピックに招かれた」うえで、「出席を検討している」との別の報道も。これらが株式市場などでは好感されていた。
それに対して後者は、日経新聞が「政府は20日に公表する月例経済報告で景気が回復を続けているとの判断を維持する見通し」と報じ、一部で話題を呼ぶ。しかしその反面、米紙WSJは社説で「日本の消費増税は大失敗。増税後の新型ウイルス感染もあり、タイミングも最悪」と酷評、対照的な内容になっていた。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナウイルスの感染者数は中国本土において増え続けているものの、増加人数は2日続けて2000人を下回った。まだ予断を許さないが、少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるようにも思われる。そうだとすれば、市場の関心は新型ウイルスによる政治や経済などの影響について移行しそうで、日本については先日発表された昨年第4四半期GDPが大きな落ち込みを記録したことに示されるように、ファンダメンタルズ要因への警戒感を抱く向きも多い。ドル/円でいえば、110円台へと乗せてきたこともあり、さらなる上値を試す展開には要注意だ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目される要因は依然として少なくない。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題だが、先でも指摘したように政治や経済への影響、つまりはファンダメンタルズ要因などへの関心が高まりつつある。なお、ここ最近発表される米経済指標はおおむね良好で、昨日の「NY連銀製造業景気指数」も予想を上回る内容だったことから、本日も発表される米経済指標が好数字でドルの買い材料となる可能性もある。
テクニカルに見た場合、大きな意味では依然として109.53-110.14円という61ポイントレンジのなかにとどまっているものの、本日東京時間にその上限に面合わせするなど、上抜け掛かっている。このままドルが続伸し、しっかりと越えていくことが出来るのか否かが注視されている。ちなみに、上抜けた場合の次のテクニカルポイントは年初来高値の110.30円、あるいは昨年高値112.40円を起点とした下げ幅の76.4%戻しに当たる110.50-55円などに。
本日は1月の住宅着工件数や同生産者物価などの米経済指標が発表される予定となっている。前述したように、過去1-2週間は良好な指標発表が多かっただけに、市場の期待感も高く注意を払いたい。
また、アトランタ連銀総裁やクリーブランド連銀総裁、ダラス連銀総裁など米地区連銀総裁による講演が相次ぐほか、1月28-29日開催分のFOMC議事要旨公開なども波乱要因となりかねない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.70-110.50円。ドル高・円安方向は、東京で面合わせした直近高値110.14円が最初の抵抗。超えれば、年初来高値110.30円や110円半ばがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、時間足などごく短期的な抵抗として寄与していた110円レベルが、目先は逆にサポートとなりそう。割り込んだ場合には、昨日安値でもある109.65-70円が意識されそうだ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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