<< 東京市場の動き >>
4日の東京市場にドルは続伸。とくに夕方にかけて上げ幅を拡大、先週末以来の109円台回復を視界内に捉えた動きとなっていた。
ドル/円は、108.65円レベルで寄り付いたものの、しばらくは冴えない。108.55-70円といったレンジ内での一進一退をたどるも、上抜くと、夕方には日中高値である108.90-95円まで上昇した。新型肺炎に関するニュースなどが引き続き重石となったが、日米だけでなく、当事国である中国の株価も堅調に推移したことが好感されていたようだ。16時時点では、ドルの高値圏である108.85-90円で推移、欧米時間を迎えている。
材料的に注視されていたものは、「新型肺炎」と「英国情勢」について。
前者は、中国当局が本土における感染者数を「2万438人」と発表、ついに2万人の大台越えとなった。また、死者数も425人と発表されている。そうしたなか、習指導部が「感染症対策の初動で誤りがあった」と指摘したことが話題になっていたほか、ブルームバーグが報じた「中国、第1段階米通商合意での一部確約について、米国が柔軟になることを望んでいる」も思惑を呼んでいたようだ。なお、ドイツ保健省によると、「新型コロナウイルスへの対応をめぐり、G7の保健担当相が連携していく方向で一致した」という。
対する後者は、EUを離脱した英国との貿易に関する話題が幾つか観測されている。とくに欧州については、欧州委が「英国にEU水準の規制を要求」の基本方針を公表する反面、英国サイドはジョンソン首相による「EUの規則を受け入れた自由貿易協定など要らない」とした発言があり、物議を醸していたもよう。
<< 欧米市場の見通し >>
新型肺炎の被害は依然として拡大中。前述したように中国本土だけで感染者数は2万人を超えてきた。依然として予断は許さないものの、日米中の株価が堅調に推移するなど、金融市場的には少しずつ落ち着きを取り戻しつつある。目先は、いま一段の戻りを見込む声も聞かれている。ただ、新型肺炎による中国経済へのダメージなどの話もジワリと取り沙汰されてきただけに、影響が実際に具現化されるようなら再び円買いが強まっても不思議はないだろう。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「ウクライナ疑惑(トランプ氏弾劾の動き)」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型肺炎」など気掛かりな要因は少なくない。そうしたなか、依然としてもっとも警戒を要するものは「新型肺炎」絡み。全般としては落ち着いてきたものの、中国外務省の報道官が「新型ウイルスで米国は不安を煽り、不安を広げることしかしていない」と米政府の対応を批判するなど、思わぬところで米中の対立が観測されており、続報などに注意を払いたい。また「米大統領選」絡みの動きや、本日実施される「米国の一般教書演説」を注視している向きも少なくないようだ。
テクニカルに見た場合、ドルは本日夕方に109円台回復を視界内に捉えた値動きとなった。ちなみにチャート的な次の上値メドは移動平均の75日線が位置する109.05円レベルで、その水準は年初来高値110.30円を起点とした直近下げ幅のフィボナッチ38.2%戻しにもほぼ合致する。超えれば、移動平均の25日線が位置する109.25円レベル、フィボナッチの半値戻し109.30円レベルなどがターゲットに。
一方、材料的に見た場合、12月の製造業受注指数や同耐久財受注など幾つかの米経済指標が発表される予定で、まずはそれらに注目。昨日発表された「ISM〜」は予想以上の好数字、昨年7月以来の「50」越えとなった。本日以降の米指標も、それに続く好数字となるのか否か、期待を抱く向きも多いようだ。
そのほか、先でも取り上げたトランプ米大統領による「一般教書演説」にも要注意。果たしてどのようなメッセージが発せられるのだろうか。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.40-109.30円。ドル高・円安方向は、移動平均やフィボナッチでみたテクニカルポイントにあたる109.05円レベルが最初の抵抗。超えれば、次の抵抗が位置する109.25-30円などを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、昨日しっかり超えてきた感のある移動平均の200日線が位置する108.40-45円の攻防にまずは注目。割り込めば、直近安値108.31円がターゲットに。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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