ドル円、中国当局の追加景気対策期待を背景に一時109円台半ばへ急上昇
海外時間の為替概況
4日(火)の外国為替市場でドル円は急上昇。日本時間朝方に一時108.55まで下げ幅を広げるも、200日移動平均線をバックに下げ渋ると、@中国当局によるリバースレポ金利の引き下げや流動性供給(含む追加の景気対策期待)、A上記@を受けた中国株の急伸、B豪中銀(RBA)によるややタカ派的な政策決定会合(豪ドル円上昇→クロス円上昇→ドル円上昇の波及経路)、Cクドロー米国家経済会議(NEC)委員長による「新型肺炎の感染拡大による米国経済への影響は最小」との発言、D米・12月製造業受注(結果1.8%、予想1.2%)の良好な結果、
Eアイオワ州党員集会で反ビジネス派と目されるサンダース氏やウォーレン氏が台頭しなかったことに伴う安堵感、Fリスク回避ムードの後退(米株高・米長期金利上昇・ドル高・円売りの流れ。ダウ平均株価は一時500ドル超、米10年債利回りは1.52%から1.61%へ)が支援材料となり、米国時間午後にかけては、約1週間ぶり高値109.51まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時00分現在)では109.47近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は上値の重い展開。@英合意なき離脱リスクの再燃や、A上記@を受けた「英ポンド下落→ユーロ連れ安」の流れ、Bリスク回避ムードの後退を受けた米株高・米長期金利上昇・ドル高の流れ、C米経済指標の良好な結果が重石となり、米国時間には、一時1.1033まで下げ幅を広げました(ユーロそのものに主体性は無し)。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時00分現在)では1.1042近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/3には記録した安値108.32をボトムに反発に転じると、昨日は一時109.49まで急伸しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲下限及び上限、一目均衡表基準線及び転換線を上抜けするなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となりつつあります。但し、上方には、ボリンジャーミッドバンドや、109.70近辺に控える強力な抵抗帯(強力なレジスタンス水準、添付チャートの赤色水平点線)が控えていることもあり、余程強いドル買い・円売り材料が出てこない限り、ここからの続伸は容易では無いと考えられます。
一方、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク。新型コロナウィルスの対応を巡り中国が米国を非難)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスク、F英合意なき離脱リスクの再燃など、ドル売り・円買いを想起させる材料は今尚たくさん残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に持ち直しの兆しを見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが、「続伸を阻む」シナリオが想定されます。本日発表される中国の財新サービス業PMIや、米ADP雇用統計、米ISM非製造業景況指数が冴えない結果となった場合、一転して下落に転じる恐れもあり、注意が必要でしょう(経済指標や新型肺炎に絡むヘッドライン次第で地合いが急変するリスクを孕んでいる状態)。以上を踏まえ、当方では、ドル円相場の反落(一巡後の反落)をメインシナリオとして予想いたします(強力なレジスタンス109.70をバックに戻り売りが強まる展開を想定)。
本日の予想レンジ:109.00ー109.80
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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