引き続き新型肺炎問題がドルの上値を抑制か(1/31夕)

31日の東京市場は、ドルが小高い。日経平均などの株価が大きく上昇したことを受け、ドル買い戻しが優勢だった。

引き続き新型肺炎問題がドルの上値を抑制か(1/31夕)

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31日の東京市場は、ドルが小高い。日経平均などの株価が大きく上昇したことを受け、ドル買い戻しが優勢だった。

ドル/円は108.95円前後で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。109円を上限とした展開をたどるも、上抜くと日中高値である109.10-15円まで値を上げている。日経平均株価が終値ベースで227円高を記録したことなどが好感されていたようだ。ただ、引き続き新型肺炎の話題が市場を席巻、上値ではドルの戻り売りを増長させていた。16時時点では109.00-05円で推移、欧米時間を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「新型肺炎」と「英国情勢」について。
前者は、緊急会合を開いた世界保健機関(WHO)が「国際的な緊急事態」を宣言。そうしたなか、中国保健当局の発表により、感染者が9692人となり、1万人の大台に迫ったことが明らかになっている。なお、死者数は中国本土だけで213人に。また、安倍首相が湖北省を除く中国全土に対する「感染症危険情報」を渡航自粛求める「レベル2に引き上げた」ことを明らかにするなど、日米をはじめ各国の管理強化の動きも次々と観測されていた。
対する後者は、EU加盟国が「離脱協定を採択し、英の批准手続きが完了」となった。31日のEU離脱が喫緊に迫るなか、次をにらんだ米英間の動きが活発に。そのひとつは、米国からの圧力にもかかわらず、5G移動通信システムにおいて中国ファーウェイ製機器の採用を容認したことを英首相が米国務長官と会談し理解を求めたとされるほか、そのポンペオ米国務長官は、今後実施される米英通商交渉について「農業分野中心に激しい議論になる」と警戒感をあらわにしていたようだ。

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引き続き新型肺炎の被害が拡大、2003年の「SARS(重症急性呼吸器症候群)」を上回る感染者数が確認されるなか、ここにきては先日第1段階の合意となった米中貿易協議と絡めた懸念が取り沙汰されはじめた。たとえばパーデュー米農務長官も昨日、「(新型肺炎の感染拡大が)中国側が約束した米農産品の購入拡大に影響が及ぶかどうかは不透明」などと、懸念払拭に動いていたことが明らかになっている。経済や経済成長に対する具体的な影響が確認されれば、再び円買いが強まる展開も否定出来ないだろう。

材料的に見た場合、「米貿易問題」や「ウクライナ疑惑(トランプ氏弾劾の動き)」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型肺炎」など注意すべき要因は少なくない。そうしたなか、依然として市場を席巻しているものは「新型肺炎」絡み。それも、前述したように米中の貿易問題などへの影響が指摘され始めていることは気掛かり。続報などに注意を払いたい。一方、米中や日米の貿易問題が一服するなか、米欧や米英といった貿易問題が新たに浮上しており、先々の動静をしっかりと見極めたいところだ。

テクニカルに見た場合、「新型肺炎」の影響もあったのか、今週のドル/円相場は週間を通してパッとしない動き。実際、週明けからここまで108.50-109.30円といった80ポイント程度のレンジ取引となっている。まずは、足もとのレンジ取引からの脱却するタイミングと、その方向性を注視したい。
ただ、年初来安値107.65円を起点とした上げ幅の61.8%押し(108.65円レベル)を昨日NY時間に一時下回ってきた。フィボナッチの観点でいえばリスクは下向きで、ターゲットは76.4%押しの108.25-30円となる。

一方、本日は1月のシカゴ購買部協会景気指数や同ミシガン大学消費者信頼感指数など幾つかの米経済指標が発表される予定で、まずはそれらに注目。
また、「新型肺炎」に関するニュースが依然警戒されるなか、春節(旧正月)明けとなる来週初め2月3日の中国株式市場などの取引再開を注視か。来週の金融市場の荒れ模様を、いまから懸念しはじめている声も聞かれている。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.60-109.50円。ドル高・円安方向は、今週のドル高値圏にあたる109.25-30円が最初の抵抗で、その少し上には移動平均の25日線も位置している。超えれば109.65円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期ベースでは108.80円レベルに弱いサポートあり。依然として底堅いイメージもあるが、昨日安値の108.58円、移動平均の200日線が位置する108.45円前後をしっかり割り込むと、下げが加速する危険性も。

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