ドル円、FOMCを通過するも方向感見出せず。WHOは緊急会合を開催予定
海外時間の為替概況
29日(水)の外国為替市場でドル円は方向感に欠ける展開。@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避的なムードや、A米・12月住宅販売保留件数(結果▲4.9%、予想0.5%)の冴えない結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値108.97まで下げ幅を広げました。しかし、Bトランプ米大統領がUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に署名したこと、C注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が全会一致で据え置かれ(1.50ー1.75%)、声明文においても前回12月の文言がほぼ踏襲されたこと等が支援材料となると、直後に高値109.25まで上昇しました(※尚、超過準備に適用する付利IOERについては1.55%から1.60%へ5bpの引き上げを実施)。
もっとも、パウエルFRB議長がその後の記者会見で「新型コロナウィルスなど不確実性が残る」「新型コロナウィルスの感染拡大による影響を注意深く監視」「バランスシートを徐々に拡大するだろう」など、ややハト派的な見解を滲ませると、米金融緩和長期化観測→米長期金利低下の経路でドル売りが強まり、一時109.00まで下落する場面も見られました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では109.05近辺で推移しております。
ユーロドル相場も1日を通して方向感に欠ける展開。新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク回避ムード(ドル買い・円買い・スイス買い)を背景に、欧州時間にかけて、一時1.0992(11/29以来、約2ヶ月ぶり安値)まで下げ幅を広げました。しかし、1.10割れでは押し目買い意欲も根強く、前日同様下げ渋ると、米経済指標(米・12月住宅販売保留件数)の冴えない結果や、パウエルFRB議長のハト派的な発言が支援材料となり、米国時間にかけては、高値1.1021まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では1.1008近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、1/17に記録した高値110.29をトップに反落に転じると、1/27には一時108.74まで下げ幅を広げました。この間、109.70近辺に控える支持帯(サポート水準)や、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲上限を下抜けするなど、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスクなど、ドル売り・円買いを想起させる材料がたくさん残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。新型コロナウィルスの感染拡大に端を発した世界経済への下押し圧力も、株安を通じて、リスク回避的な円高を後押しする可能性があります(※世界保健機関WHOは本日緊急会議を開催し、緊急事態か否かの判断を行う予定)。また、本日発表される米経済指標(第4四半期GDP速報値や、新規失業保険申請件数など)が冴えない結果となった場合には、米景気減速懸念→米長期金利低下→ドル売りの経路でドル円が押し下げられるリスクもあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:108.60ー109.40
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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