春節期間中、新型肺炎が引き続き波乱要因に(週報1月第4週)

先週のドル/円は、一転してドル安・円高。前週の上昇分をすべて吐き出した格好の「行って来い」で、週末の引け味もあまり良くなかった。

春節期間中、新型肺炎が引き続き波乱要因に(週報1月第4週)

春節期間中、新型肺炎が引き続き波乱要因に

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先週のドル/円は、一転してドル安・円高。前週の上昇分をすべて吐き出した格好の「行って来い」で、週末の引け味もあまり良くなかった。

前週末には、国務長官ら複数の米高官による「日韓に駐留米軍の負担増を要求」との発言が観測されたほか、やや小康ムードもうかがえた米・イランの関係について、トランプ米大統領が「イラン最高指導者は発言に気を付けるべき」と釘を刺したことで、両国の関係性をめぐり一時ピリつくような局面も。
そうしたなか寄り付いた週明けのドル/円は、先週末より若干円高の110.05円前後で取引がはじまったのち、しばらくは109.75円前後で底堅い。それまでの抵抗が今度はサポートになっていたものの、割り込むと週末には週間安値である109.18円まで続落している。結局、NYはドルが小戻した109.30円レベルで取引を終え、越週となった。
なお、それとは別にポンドの動きもなかなか荒い。対円では週初を安値に一時2円近く上昇するも、週末にかけて2円ほどの下落で、こちらも「行って来い」。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型肺炎」について。
週初から一部で話題となっていた「新型肺炎」が、結局週間を通しての波乱要因に。中国が週末24日から春節(旧正月)を迎えるなか、北京大教授が「人から人に感染している可能性が非常に大きい」との見方を示したことが、思惑を呼ぶそもそものキッカケになっていたようだ。また、実際に台湾や米国に続き、日本や韓国、フランスでも発症者が確認され、被害の拡大が現実化。
そうしたなか、「北朝鮮が中国との国境を閉鎖」し思惑を呼んだうえ、日本の外務省も「中国への渡航危険情報」を発表。さらに、米疾病対策センターは中国・武漢への渡航危険度を「最高レベル」に引き上げると同時に、米国民に「不要不急のあらゆる渡航を見合わせる」よう呼び掛けるなど、世界を股にかける大きな事件に。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は前週に昨年5月以来の110円を突破、上方向の展望が開けた感があったものの、「新型肺炎」に関するニュースが、そんなドル高ムードに水を差した。目先高値110.30円から109.18円まで1円を超える下げを記録している。少なくとも、ドルの上値トライは白紙、仕切り直しとなっただけでなく、一転してドル安方向のリスクを指摘する声も少なくない。前述した中国などの春節(旧正月)が本格的に始まったことで、感染のさらなる拡大を懸念する声も多く、2003年に大流行した「SARS(重症急性呼吸器症候群)」のような事態に陥る可能性も一部で取り沙汰されている。為替市場においては、引き続きドルの上値抑制要因として寄与する公算が大きいようだ。

材料的に見た場合、「米貿易問題」や「ウクライナ疑惑(トランプ氏弾劾の動き)」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型肺炎」など注意すべき要因は目白押し。そのうち、とくに注意を要するものは「新型肺炎」と、いよいよ本格化する「米大統領選の行方」について。後者は、2月3日に共和党のトランプ大統領への事実上の挑戦権を懸けた戦いの緒戦である「アイオワ州党員集会」がはじまる。混戦の続く民主党選だが、トランプ氏弾劾裁判の影響なども加われば、波乱要因になりかねないのかもしれない。

テクニカルに見た場合、先週末には首の皮一枚で維持していた109.30-35円に位置する移動平均の25日線を、今週初め27日に割り込んでのスタートとなっている。
また、年初来安値107.65円を起点とした上げ幅のフィボナッチ半値戻しにあたる109円前後も下回っており、次のターゲットは前述フィボナッチの61.8%押しにあたる108.65円レベル、そして移動平均の200日線が位置する108円半ばなどとなりそうだ。

一方、材料的に見た場合、1月のダラス連銀製造業活動指数や同消費者信頼感指数、10-12月期GDP速報値といった重要な米経済指標が発表される予定となっている。まずは、それら内容に要注意。
また、今年初めて実施される28-29日の米FOMCを警戒する声も少なくない。金融政策の変更については「据え置き」予想が圧倒的だが、米株が年明け以降も堅調な推移を続ける反面、ここ最近の「新型肺炎」に関する問題もある。FOMCそのものよりも、FRB議長の記者会見により注意が必要なのかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、107.80-110.00円。ドル高・円安については、週明けの上方向へギャップを空けて寄り付いただけに、そのギャップ上限にあたる109.30円レベルの攻防にまずは注目。回復すれば、やや遠くなったが、前回高値110.30円をめぐる展開も。
対するドル安・円高方向は、フィボナッチを参考にしたテクニカルポイントの108.65円レベルや200日線が位置する108円半ばなどが取り敢えずの下値メド。しっかり下回ると、108円割れの可能性も否定出来なくなりそうだ。(了)

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