<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は、ドルが小高い。レンジは極めて狭かったが、それでも直近の戻り高値を更新するなど、散発的なドル買い戻しが観測されていた。
ドル/円は109円半ばで寄り付いたのち、基本はレンジ取引。値動きは20ポイントにも満たない非常に小幅なものだった。
しかし、週末ゴトー日プラス、東京勢は3連休前にあたるということでの需給要因が取り沙汰されたうえ、日経平均株価が前日ほどではないものの、それでも終値ベースで110円高となったことを材料に、ドル買い・円売りがやや優勢となっている。前日記録したドルの戻り高値をわずかながら更新する局面も。16時時点でもドルは109.55-60円という高値圏をキープし、欧米時間を迎えていた。
材料的に注視されていたものは、「英国情勢」と「中東リスク」について。
前者については、英議会が予想通り同国のEU離脱(ブレグジット)関連法案を可決。これをもち英国は期限である今月末、EUを離脱する初の国家となることが決定した。ただ、事前にほぼ織り込んでいたためか、為替市場の反応はいまひとつ。それほど大きな影響はみられていない。
対する後者は、テヘラン近郊で8日にウクライナの旅客機が墜落した原因について、複数の米政府高官が「イランによる偶発的な撃墜の可能性がもっとも高い」との見方を示していたとされ、新たな火種に。イラン航空当局者が撃墜への関与を否定した反面、カナダのトルドー首相が諍いに参戦し、「イランがミサイルでウクライナ機を撃墜した」と発言するなど、混迷がさらに増してきた感がある。
<< 欧米市場の見通し >>
一時期、ドル/円相場は107.70円台まで下落するなど不安感に苛まれていた中東情勢だが、足もとのマーケットは楽観論が支配的となっている。個人的には、逆に楽観論に傾き過ぎている感が気になるものの、リスクはドル高方向にバイアスがかかりそうだ。昨年12月の半ば以降、幾度となくドルの抵抗として寄与してきた109.70円レベルをしっかり超えれば、いよいよ110円台乗せが見えてくる。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」など注意すべき要因が目白押し。うち「イラン情勢」については前述したように不安感が後退するなか、「米ファンダメンタルズ」と「米中通商協議」が目先的には要注意か。後者は来週13-15日に中国の劉副首相が訪米し、第1段階の合意文書にサインする見通し。よもや、ここからの「ちゃぶ台返し」はないと思われるが、最後の最後、結論までしっかりと見極めたいとの声もある。
テクニカルに見た場合、昨年12月に何度も上抜けを試すも越えられなかった109.70-75円を視界内に捉えた動き。リスクは上方向で、ドルの続伸に期待がかかる。109.70-75円を越えれば、いよいよ110円トライも。
対するドルのサポートは、109円前後に位置する移動平均の25日線、108.60円前後に位置する同200日線などとなる。
これから幾つか米経済指標が発表されるものの、やはりもっとも注視されているものは12月の雇用統計か。そのうち非農業部門雇用者数の事前予想はプラス16.4万人程度が見込まれているが、先日発表されたADP雇用統計が予想以上の好数字になったことで、今回も良い内容を期待する声が一部で聞かれている。
また、最近は前月あるいは前々月といった過去のデータが大きく修正され、波乱要因となることも少なくないうえ、非農業部門雇用者数以外の数値が材料視されるパターンも目につく。具体的には、失業率や平均時給などの数値にも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.00-109.90円。ドル高・円安方向は、目前に迫っている昨年12月に越えられなかった109.70-75円の壁をめぐる攻防をまずは注視。超えれば、いよいよ110円トライが現実のものに。
対するドル安・円高方向は、8日の欧米時間に109円台を回復して以降、しっかりと割り込めていない109円レベルが最初のサポートか。かなり底堅い印象だが、時間足などをみるとあまりに綺麗なウェッジ過ぎて逆に薄気味悪さも。崩れ始めると、予想以上の下げになるかもしれない。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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