ドル円 リスクは再び下向きか、トランプ発言に注意(12/4夕)

4日の東京市場は、揉み合い。108円半ばを中心としたレンジ取引で、明確な方向性はうかがえなかった。

ドル円 リスクは再び下向きか、トランプ発言に注意(12/4夕)

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4日の東京市場は、揉み合い。108円半ばを中心としたレンジ取引で、明確な方向性はうかがえなかった。

ドル/円は108.60-65円で寄り付いたものの、日米株価の動きなどをにらみつつ右往左往。日経平均株価は前日比193円の大幅安で寄り付いたのち、大引けではさらに下げ幅を拡大させるなど、ドル高の支援とならず。ただ、時間外で取引されているNYダウ先物は10-20ドル程度ではあるがプラス圏で推移したことが好感され、ドル一段安には歯止めをかけていた。
なお、途中で「米下院、人権めぐり中国政府当局者を制裁対象にする法案を可決した」との報道が観測され、物議を醸すも、具体的な価格変動への影響は軽微。16時時点では108.55-60円で推移し、欧米市場を迎えている。

材料的に注視されていたのは、「トランプ劇場」とも言える多種多様な発言について。
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するため訪英中のトランプ米大統領から様々なコメントが発せられ、それぞれ思惑を呼んでいた。たとえば、貿易や軍事面では「在日米軍の駐留経費負担をめぐって安倍首相に負担増を要求」、「フランスのワインをはじめ、すべてに制裁関税を課す」、「対中通商交渉は来年の米大統領選まで待ったほうが良いかもしれない」、「中国から良い取引を得られない場合には署名しない」、「北朝鮮に軍事力を行使する必要がある場合は使っていく」−−など。
また、それ以外では「マクロン仏大統領の『NATO脳死』発言は非常に侮辱的」、「欧州加盟各国のNATO国防費の増額が十分ではない」、「ロシア製ミサイル購入をめぐりトルコ制裁を検討」、「来週に迫った英下院総選挙には干渉しない」などとする発言も聞かれた。

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トランプ政権による全方位とも言える「米貿易問題」が再浮上している。最たるものは中国で、先月22日段階ではトランプ氏自身が「『第1段階』の最終合意が非常に近い」との認識を示していたほどだったが、わずか2週間足らずで環境は激変。今は昔という感じさえ否めない。そのほかブラジルやアルゼンチン、そしてここにきてフランスを中心としたEUにも牙を剥きはじめた。名実ともに12月に入り、クリスマスや年の瀬を意識する時間帯に入っているが、逆に「薄商いが故の乱高下」に注意を要する。

材料的に見た場合、「米貿易問題」、「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」、「トルコ・シリア情勢」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」など気になる継続案件は依然、目白押し。いずれの要因にも注意を要するが、目先的には「米ファンダメンタルズ」と前日に続く「トランプ発言」に、とくに注意を払いたい。前者でいえば、週初に発表された11月のISM製造業景況指数が4ヵ月連続の縮小内容を示していただけに、本日以降、週末の11月の米雇用統計まで、マーケット参加者による米経済指標への関心は非常に高まっている。

テクニカルに見た場合、昨日東京時間などは移動平均の200日線が位置する108.90-95円では下支えられたが、その後同レベルをしっかりと割り込む展開となっている。リスクは再びドル安方向にバイアスが掛かっている感がある。目先のサポートは、時間足ベースで少なくとも2度下げ止まっている108円半ば、そして108.20-30円などとなる。
それに対するドルの目先抵抗は前述した200日線のほか、109.20円など。

本日は注目要因が目白押し。米経済指標でいえば、11月のADP雇用統計や同ISM非製造業総合指数などが発表されるほか、カナダ中銀が政策金利発表、クオールズFRB副議長による下院金融サービス委員会証言も実施される見込みだ。
さらには、昨日に続くNATO首脳会議、トランプ氏不在のなか実施される米下院司法委員会による大統領弾劾調査の公聴会なども気掛かり。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.10-109.00円。ドル高・円安方向は、本日東京高値である108.60-70円が最初の抵抗。超えれば移動平均の200日線などが位置する108.90-95円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、時間足ベースで少なくとも2度下げ止まっている108円半ばをめぐる攻防にまずは注視したい。割り込んだ場合には11月14日安値などを含めた108.20-30円などが意識されそうだ。

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