<< 東京市場の動き >>
26日の東京市場は、「行って来い」。一時ドル高に振れ、18日高値の109.07円を突破する局面も見られたが続かなかった。
ドル/円は108.90円前後で寄り付いたのち、クロスを含めた円全面安の流れもあり、109円台をしっかりと回復。109.20円レベルまで一気に値を上げた。後述する新華社報道や、日経平均株価が一時200円以上も上昇したことなどが好感された。
しかし、日経平均株価は終わってみれば80円高。プラス圏は維持したものの、上げ幅を急縮小させたことを嫌気した動きなどから、再び108円台に押し戻されていた。16時時点では108.95-00円と、結局「行って来い」の様相、欧米市場を迎えている。
材料的に注視されていたものは、「米中貿易問題」と「大型M&Aに絡むニュース」について。
前者は、昨日に中国紙である環球時報が「第1段階の合意は近い」と指摘したことを好感した流れが続くなか、本日は別途「米中が農産物購入について話し合った可能性がある」などと報じ、改めて思惑を呼んでいた。また、それとは別に新華社通信は、「中国の劉副首相が、米通商代表部のライトハイザー代表やムニューシン米財務長官らと電話で協議を実施」としたうえで、「貿易問題の解決に向けて共通認識に至った」と指摘、本日の東京時間はこれが好感され、ドルの買い要因に。
それに対して後者は、ここ最近、大型企業買収の話題が少なくないが、昨日から本日にかけても「仏ルイヴィトンが、米ティファニー買収で合意と発表」、「旭化成、米製薬ベロキシスを1432億円で買収、TOB(公開買い付け)実施」、「三菱商事と中部電力、5000億円でオランダ電力会社エネコの買収に向けて優先交渉権を獲得」、「米ネット証券チャールズ・シュワブ、同業TDアメリトレード・ホールディングを260億ドルで買収」−−などといったニュースが伝えられている。そして、うち一部については今後為替手当てが発生する可能性も否定出来ない。
<< 欧米市場の見通し >>
米中の通商協議については、いい加減市場筋も匙を投げつつある。本日の東京時間には前述した新華社報道が材料視されたものの、内容をよくよく見ると「共通認識に至った」という非常に迂遠な回りくどい表現だ。個人的には、どこまで協議が進んだのかよくわからないのだが、それでも前回16日の電話協議の際の「建設的な協議を実施」よりは強めの表現などと肯定的に考える向きが多い。いずれにしても、上値は引き続き重そうではあるものの、一時109.20円レベルまで値を上げたこともあり、月間高値の109.49円が視界内に捉えられてきた感がある。
材料的に見た場合、「米貿易問題」、「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」、「トルコ・シリア情勢」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」、「韓国情勢」など気になる継続案件は依然として目白押し。そうしたなか、目先とくに注視されているのは香港や台湾情勢を含めた「米中情勢」と週末の米感謝祭をにらんだ「カレンダー要因」か。NYダウはいまだ堅調、ドル/円も上方向のリスクを感じるものの、後者からすると、ロングウィークエンドをにらみ目先はポジションを一旦手仕舞う動きが進行しても不思議はないかもしれない。予想外とも言える米株やドルの下押しにも一応要注意。
テクニカルに見た場合、過去10日ほど推移していたレンジの上限109.07円を一時上抜けたものの値は走らず。結局レンジ内に回帰している。敢えて言えばリスクはドル高だが、それほど強いものではなく、イメージ的には依然としてニュートラルに近く、いま少し状況を見極めたい。
対するドルのサポートは、直近だけで少なくとも2度下げ止まっている108.20-30円となる。
これから、11月のリッチモンド連銀製造業指数や同消費者信頼感指数といった幾つかの米経済指標の発表が予定されている。先週発表された米経済指標は好悪が混在、まだら模様だったが、昨日の指標も「シカゴ〜」は悪化、「ダラス〜」は良好と対照的な内容だった。そのためか、引き続き米経済指標に対する注目度は高いものがある。
そのほか、米財務省による5年債の入札や、ブレイナードFRB理事の講演などにも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.50-109.30円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値109.20円レベルが最初の抵抗。超えれば月間高値109.49円が名実ともターゲットに。
対するドル安・円高方向は、108.70円レベルに位置する弱いサポートをめぐる攻防にまず注視。割り込めば、108.20-30円を目指す展開となりそうだが、いずれにしても底堅そうなイメージに変化はない。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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