<< 東京市場の動き >>
週明け11日の東京市場は、ドルが小幅安。値動き自体は決して大きくなかったが、夕方にかけて再び109円を割り込むなど、値幅以上にドルの弱さが目についた。
前週末に、トランプ米大統領から米中通商問題について幾つかの発言が聞かれたうえ、週末に実施されたスペイン総選挙の出口調査や開票速報として「与党は過半数に届かない」との見通しを伝えられるなか、週明けの為替市場がオープンしている。
週末のニュースなどからすれば、リスクオフの動きが先行するかと思いきや、ドル/円は前週末のNYクローズと大差ない109.15-20円で寄り付いた。やはりその後はドル売り・円買いが優勢に。NYダウ先物など日米株がともにマイナス圏で推移したことなどを嫌気し、ドル/円は109円割れ、一時108.90-95円まで下落している。16時時点では日中安値の108.95円前後で推移、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中通商問題」について。
先週来、好悪それぞれの見方や報道が繰り返され、市場もそれらに一喜一憂。また、週末も同様でいまひとつハッキリしない様相だった。たとえばポジティブ要因として、FOXが、グリシャム米ホワイトハウス報道官の発言として「米中合意が得られれば、関税の一部が撤廃される可能性がある」と報じていたことに対し、逆にトランプ氏からは「対中関税撤回では合意していない」、「中国は対応が遅すぎる」−−などとしたコメントが聞かれている。
なお、「通商問題」とは別に、読売新聞が「安倍首相が12月下旬、北京で習国家主席と会談する方向で調整していることが分かった」と報じていたうえ、中国外務省局長がロシアで開催中の核兵器不拡散関連の国際会議において、「核合意関連の危機発生の元凶は米国」と発言したことが火に油を注ぐ行為として一部で話題となっていた。そのほか、「香港デモで警察官が発砲、少なくとも1人がケガ」との報道、デモの広がりを受けた「香港市場休場」観測が取り沙汰され、それを当局が否定するという事態も。
<< 欧米市場の見通し >>
先週は一時109円半ばまで値を上げ、8月高値を更新する局面も観測されたが、その後はドルが伸び悩み。本日東京時間には109円を再び割り込む展開となっている。
テクニカルには、移動平均の200日線(109.00-05円)をまたもや下回ってきたことが気掛かりだが、トレンドが下向きに転換したというわけではなさそう。まだ、飽くまでも調整の範囲内か。ただ、ドルがこのまま続落し、108円半ばに位置する21日線をNYクローズで下回るようだと要注意。
材料的に見た場合、「米貿易問題」、「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」、「トルコ・シリア情勢」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」など注目要因は盛りだくさん。そのいずれも要注意だが、とくにとなると貿易問題を話題の中心に、香港や台湾、ウイグルなどにおいても先鋭化が問題視されている「米中情勢」となりそうだ。マーケットは、まだトータルとして楽観論に比重がかかった格好だが、仮に期待感が剥落するようだと、さらなるドル安の進展があっても不思議はないだろう。
テクニカルに見た場合、先週7日に移動平均の200日線(109.00-05円)をNYクローズでようやく「しっかり」と抜けてきたとみていたが、本日東京時間にはザラ場ベースながら、再び下回っている。なかなかドル強気にはなりきれない。このあと、再度ドルは上値をトライすると、200日線を超えるような動きをたどるのだろうか。
対するドルのサポートは、108円半ばに位置する同じ移動平均の25日線。それも割り込むようだと1日安値の107.89円がターゲットに。
本日はベテランズデーでNY市場が休場(株式市場はオープン)となることもあり、米経済指標の発表などはとくに予定されていない。また、カナダ市場も休場であるため、いわゆる北米時間の動意は期待薄か。
とはいえ、ローゼングレン・ボストン連銀総裁による講演などは実施される見込みで、それらについては一応注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.60-109.30円。ドル高・円安方向は、本日東京高値の109.25円レベルが最初の抵抗。抜ければ先週示現した高値109.49円を再びうかがう展開も。
対するドル安・円高方向は、先週7日安値の108.65円、そして移動平均の25日線が位置する108円半ばをめぐる攻防にまずは注視。ただ、下値は依然として堅そうで割り込んでも大崩れは予想しにくい。
ドル/円日足
オーダー/ポジション状況
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