ドル円は戻り売りが出やすい週(週報10月第3週)

今週は目立った経済指標も少ない中、よほどのリスクオンのニュースでも出ない限り、ドル円は戻り売りが出やすいのではないかと思えます。

ドル円は戻り売りが出やすい週(週報10月第3週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、市場のテーマが米中通商協議から英国とEU間のブレグジット合意へと移り、17・18日にEUサミットに向け合意の思惑が高まったことで、ポンド買いの動きが対欧州通貨で円安の動きとなりました。(17日に合意)また火曜に米国企業の好決算を背景にダウが上昇、日経平均株価も連れ高の後、22500円前後で底堅い推移を続けたことなどをうけリスクオンの円安に寄与しました。

しかし、EUサミットで英国とEUの間でブレグジットは合意となったものの、週末の英国議会では採決延期となり、英国はEUに対してブレグジットの期限延期を求めることとなりました。これでブレグジットは、いったい何回目になるのか英国議会の判断を待つこととなり、再び不透明な状況へと逆戻りです。

また前週に部分合意となった米中通商協議もその後の発言で合意ではなく、合意に向けて協議継続という状況に近いことがわかり、これも12月の制裁関税発動に間に合うのか不透明です。ホワイトハウスでトランプ大統領と会談した中国副首相も週末に開催された中国国内のテクノロジー会議で「第1段階の合意に向け重要な基盤を築いた。懸案事項に対処するため米国と協力して取り組む用意」と明確に協議中であることを示しています。トランプ大統領は米国民に、中国副首相も中国人民に向け、それぞれいい顔をするというのが合意内容だったのではないかというレベルで、おそらくどこかで真の落としどころを見つけて合意に前進するしかないとは思います。
世界を振り回している2大テーマは依然としてトンネルから抜け出してはいないということになります。

そうなると、米国株は金曜にはボーイングとジョンソン&ジョンソンのニュースが影響したとはいえ大幅安、現時点で株を買う材料としては来週のFOMCでの利下げ思惑程度になっているというのが冷静な見方だと思いますし、為替市場も積極的に円を売る材料は見当たりません。欧州通貨もある程度調整は入るでしょうが、一時期に比べ欧州通貨高・ドル安となる中で特に対欧州通貨でのクロス円の買いが目立ったことで、ポジション的にも円売りが積み重なっているようです。実際にシカゴの通貨先物の円ポジションは直近15日時点でそれまでの円買いから円売りへと転じています。

期待による円売りに対して、実際はその期待がしぼんで来ている現状を考えると、先週木曜の108.94が目先の高値となり、109円台にドル売りを並べていた実需筋がオーダーの水準を下げてくるであろうこと、また108円台後半のコストの悪いドル買いポジションやクロス円での円売りポジションが増えたことを考えると、今週は目立った経済指標も少ない中、よほどのリスクオンのニュースでも出ない限り、ドル円は戻り売りが出やすいのではないかと思えます。

テクニカルにはどうか。日足チャートをご覧ください。

大きくはピンク太線のサポートラインが効いていることは確かですが、レジスタンス側は平行チャンネルに近いピンク細線よりも9月高値と10月高値を結んだピンク太線のラインの方が材料から考えて妥当でしょう。つまり上昇ウェッジの中での推移を続けながらも短期的にはいった上値を見たという考え方です。109円台はいったん遠のいたと見て、これまでの何度か上値を抑えられている108円台後半(ラインマーカーの水準)がレジスタンスとして意識される流れを考えます。

一方、下値の目途ですが10月安値と高値の38.2%押しが108.00となっていて最初のターゲットではありますがあまりに近すぎますので、半値押しの107.71が調整でドルが売られる際のターゲットになってくるでしょう。仮に同水準まで押したとしても、下げに転じたとも言えませんし、上昇トレンド再開となってもまったく違和感のない水準です。


方向性が出てくるのは、今週よりも来週のFOMCの週と見て、今週は上値が重く調整も売りが入るものの下値も限定的と考え、107.75レベルをサポートに108.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。


10月21日(月)
08:50 本邦9月通関ベース貿易収支
15:00 ドイツ9月PPI
24:40 デギンドスECB副総裁講演


10月22日(火)
**:** 東京市場休場
23:00 米国10月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国9月中古住宅販売件数

10月23日(水)
06:45 NZ9月貿易収支
15:45 フランス10月企業景況感
22:00 米国8月住宅価格指数
23:00 ユーロ圏10月消費者信頼感速報値
23:30 週間原油在庫統計


10月24日(木)
16:15 フランス10月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ10月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏10月製造業・サービス業PMI速報値
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:45 ECB理事会
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国9月耐久財受注
22:45 米国10月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国9月新築住宅販売件数

10月25日(金)
15:00 ドイツ11月GFK消費者信頼感
15:45 フランス9月PPI
17:00 ドイツ10月ifo企業景況感
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感確報値
23:30 フランス中銀総裁講演


10月27日(日)
 **:** 欧州冬時間移行
**:** ドイツ地方選

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月14日(月)
東京市場とNY市場が休場となったことから参加者が少ない中、アジア時間は週末NY市場後場以降の調整の動きを継続し、ドル円はじり安の流れとなりました。欧州市場序盤まで下げが続いたものの、その後は買い戻しが目立ち週明け始値の水準に戻して引けました。


10月15日(火)
ドル円は東京市場では108.50よりも上にあるドル売りオーダーを意識しながらももみあいが続きました。欧州市場序盤に中国が米国に対して関税引き下げを求めるとの話に一時下押しする場面も見られましたが、下げも限定的でじり高の中でNY市場入り。NY市場では好決算を背景とした米国株高がリスクオンの動きとなってドル円も金曜高値を上抜けると108.90レベルまで上伸し、高値圏での引けとなりました。

10月16日(水)
ドル円は東京市場が始まって米中通商協議部分合意に対する不透明感からやや下押しする動きが見られましたが、その後はまったく方向感が出ず、NYの引けまで108.70を中心に細かく上下を繰り返すのみでした。


10月17日(木)
ドル円は東京市場では狭い値幅で上下しながらもブレグジット合意期待がリスクオン気味に推移させている様子でした。欧州市場に入りブレグジット合意のニュースで一時108.94レベルと直近高値をわずかに上抜けたものの、109円台には売りオーダーが控えていること、また株式市場も下げに転じたことも重なってNY市場では日中安値を下抜け108.45レベルまで下押しした後にやや戻して引けました。


10月18日(金)
ドル円はNY市場に入るまでは108.65レベルでのもみあいを続けまったく動意薄の状態が続きました。ユーロが欧州市場で底堅い動きとなっていたことから上値の重さは感じさせましたが、NY市場に入りダウが下げる動きとともにドル売りへと流れドル円も108.38レベルの安値をつけ安値引けとなりました。

ディスクレーマー

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