ドル円週報 上値重い反面、下値も堅く結局レンジ取引か(10月第3週)

先週のドル/円は、週間を通して小動き。1週間で1円未満の変動にとどまり、週明けの寄り付きレベルと週末のNYクローズが近い水準となるなど、方向性は乏しかった。

ドル円週報  上値重い反面、下値も堅く結局レンジ取引か(10月第3週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、週間を通して小動き。1週間で1円未満の変動にとどまり、週明けの寄り付きレベルと週末のNYクローズが近い水準となるなど、方向性は乏しかった。

前週末実施された閣僚級協議において米中通商問題が部分合意、それを受けてトランプ米大統領は15日に予定していた対中関税引き上げ先送りを発表。一方、EUは英国と協議を行い、ブレグジット期限が月末に迫るなか、離脱協定案をめぐる合意に向けて今後数日踏み込んだ話し合いを行うことで一致したという。

そうした状況下、週明けの為替市場がオープンし、ドル/円は先週末のNYクローズと大差ない108.30-35円で寄り付いたのち、週間安値となる108.04円を示現するも大台は割り込めず。その後、今度はドル高値を試す展開となったが上値は108.94円まで。週間を通して108円台、値幅はわずか90銭にとどまるレンジ取引に終始した。週末NYは108.40-45円で取引を終え、越週している。
なお、週間を通して小動きにとどまったドル/円と対照的にポンドが荒れ模様。対円では週間を通して6円近い値動きをたどっているが、これは今年最初の週と先週に次ぐ、3番目の大変動だった。

週間を通して注視されていた材料は、「米中貿易協議」と「英国情勢」について。

前者は、先でも指摘したように「米中通商問題が閣僚級協議において部分合意」となったが、舌の根も乾かぬうちにトランプ氏から「中国は大量の米農産品をすぐに買い始めるべき。今後3-4週間かかる署名まで待てない」との発言が聞かれ、早くも亀裂を懸念する声が台頭。

また、米財務長官による「合意がなければ12月に対中関税は発動される見通し」とのコメントや、ブルームバーグが「中国、米国に対する報復関税を維持する限り年間500億ドル相当の米国産農産物の購入は難しい」と、ややネガティブな見通しを報じたことなどが懸念に拍車をかけていた。

それに対して後者は、EU議長国を務めるフィンランドのリンネ首相が「英国との離脱合意にはまだ時間がかかる」と発言、17-18日のEU首脳会議で決着はつかない見通しを示し、週明けなどはポンドの弱材料に。その後は合意について好悪両サイドの発言などが混在、金融市場も一喜一憂したが、土壇場で「英国とEUのあいだで離脱合意が成立」し、一時ポンドが急騰している。ただ、今度は19日の英議会で承認が取り付けられるかに関心が移行、こちらを懸念する声も多く、ポンドのさらなる上昇の足かせとなっていた。

<< 今週の見通し >>

直近の注目要因だった「米中通商協議」も「英のEU離脱合意」も、土壇場でなんとか合意という結果を見たが、内容的には妥協した面も多く、いまだ不透明感が強い。ともに継続的なリスクオン要因になるか否か疑問視されている。

「失敗した」というには早計だが、先週直前まで迫るも109円を超えられなかったのは事実で、今週も引き続きドルの上値が重い展開が続く可能性も。むしろ、ドルの下値は堅いイメージだが、複数のテクニカルポイントが集中している107円半ばから後半を下回ると、予想以上の深押しが入っても不思議はないだろう。

材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」のほか「トランプ氏のウクライナ疑惑」、そして「トルコ情勢」など継続案件は盛りだくさん。それぞれ気になるところはあるものの、とくにとなると、「英国情勢」と「米金融政策」の2つに注意を払いたい。

うち後者は、月末29-30日に実施されるFOMCでの利下げの有無が注視されるなか、先週発表された米経済指標はこぞって予想を下回っただけに、今週発表される指標内容次第では利下げ観測が一段と強まることになるかもしれない。

テクニカルに見た場合、過去1ヵ月程度推移していたレンジの上限108円半ばを一時超えたことで、ドル高に弾みが付く展開も予想されたが、結局走らず。108円台で新たなレンジを形成している感もうかがえる。まずは、先週形成した108.04-94円を上下どちらに放れるのか、その方向性を注視したい。

ちなみに、上抜ければ、8月高値109.32円がターゲットとなる反面、下値を割り込めば複数のテクニカルポイントが位置する107円半ばから後半が意識されそうだ。

今週は10月のリッチモンド連銀製造業指数や同ミシガン大学消費者信頼感指数確報といった米経済指標の発表が予定されているほか、米財務省による5年債や7年債の入札が実施される見込みだ。
それ以外でも、いわゆる米国ファクターが多くそれぞれ要注意だが、いまだグタグタ感の拭えない「英国情勢」に加え週明け21日の「カナダ総選挙」、22日の「即位礼正殿の儀」と絡めた安倍首相の外交姿勢、24日「ドラギ総裁最後のECB理事会」などにも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、107.50-109.50円。ドル高・円安については、先週高値108.94円の攻防にまずは注目。上抜ければ移動平均の200日線なども近い109円、そして8月高値の109.32円などが意識されそうだ。

対するドル安・円高方向は、先週下回れなかった108円が最初のサポート。その少し下、107円半ばから後半にかけては移動平均の25日線を含め複数のテクニカルポイントが集中している。かなり底堅そうなイメージに変わりはない。

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