<< 東京市場の動き >>
15日の東京市場は、揉み合い。108円前半、20ポイントにも満たない非常に狭いレンジ取引をたどっている。
ドル/円は108.35円前後で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。時間外で取引されるNYダウ先物が100ドル超高と堅調に推移、日経平均株価も終値ベースで400円以上上昇するなど日米株価は強含みとなったが、リスク志向の動きはいまひとつ盛り上がらなかった。結局、108.25-45円といったレンジ取引にとどまり、16時時点では108.35-40円で推移、欧米時間を迎えている。
材料的に注視されていたものは、「米中貿易協議」と「英国情勢」について。
前者は、閣僚級協議で部分合意した米中貿易問題だが、日が経つに連れ徐々に綻びが露わになっている。たとえば、中国側は「第1段階の合意案の調印を前に、さらなる協議を要望している」と報じられたうえ、中国外務省の報道局長は会見で「農業を含む分野で実質的な進展があった」と述べたものの、具体的な購入額などについて明言を避けていた。
米国サイドも、米財務長官が「詳細を詰め文書化が必要な項目が数多くある」と指摘、「合意がなければ12月に対中関税は発動される見通し」とも発言して物議を醸している。
対して後者は、英紙テレグラフが英中銀副総裁の発言として、「EU離脱再延期でも利下げしない可能性を指摘した」と報じるなか、EU議長国を務めるフィンランドのリンネ首相が「英国との離脱合意にはまだ時間がかかる」と発言、17-18日のEU首脳会議で決着はつかない見通しを示し、市場の失望を誘っていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
米中貿易問題の部分合意はドル高の支援要因ながら、先でも指摘したように、少しずつ綻びが露呈しつつある。それに合わせ、ドル/円の上値もジワリと重くなりつつある。リスクという意味では上方向にバイアスがかかるものの、イケイケドンドンで109円回復、あるいは110円に向けてのドル高進行も予想しにくい。107円後半から108円台で底堅めをしたのち再上昇といった展開を予想する声も聞かれていた。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」のほか「トランプ氏のウクライナ疑惑」、そして「トルコ情勢」にも要注意。それぞれ気になるところはあるものの、「英国情勢」や「トルコ情勢」、そして「米中貿易問題」の行方にとくに注意を払いたい。
うち「英国情勢」については先のフィンランド首相発言が聞かれた反面、EUのバルニエ主席交渉官からは正反対の「週内の合意はまだ可能」といった趣旨のコメントが聞かれていた。17-18日のEU首脳会議をにらみ、市場の一喜一憂は続く可能性もある。
テクニカルに見た場合、まだ予断は許さないが、時間足など短期のチャートを見ると、下限を107.80円もしくは108円ちょうどとした小さなレンジを形成しつつある感。ちなみに、ドルの上限は108.62円となる。
まずは、足もとの108円台前半を中心としたレンジをめぐる攻防に注目で、上抜ければ109円をターゲットに続伸。逆に下値を割り込めば、107円レベルなどが意識されかねない。
一方、材料的に見た場合、NY連銀製造業業況指数という足もと10月分、最新データが発表される予定で、その内容には要注目だ。また、ボスティック・アトランタ連銀総裁やデイリー・サンフランシスコ連銀総裁などによる講演も実施される予定となっているほか、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった米大手金融が決算を発表する見込みとなっている。それらを注視、警戒している向きは少なくない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.80-108.80円。ドル高・円安方向は、前回のドル高値である108.62円が最初の抵抗。上抜ければ、複数のテクニカルポイントにあたる109円を目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、昨日安値である108.04円をめぐる攻防にまずは注目。割り込んだ場合には、移動平均25日線が位置する107.70-80円が意識されそうだが、前後にはテクニカルポイントが多い。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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