ドル円、英ポンド円の急伸に連れ高。米株・米長期金利の上昇も下支え(10/16朝)

15日(火)の外国為替市場でドル円は下落後に急伸。

ドル円、英ポンド円の急伸に連れ高。米株・米長期金利の上昇も下支え(10/16朝)

ドル円、英ポンド円の急伸に連れ高。米株・米長期金利の上昇も下支え

15日(火)の外国為替市場でドル円は下落後に急伸。欧州時間序盤は、中国政府より「米国が報復関税を撤廃しなければ、年間500億ドル規模の米国産農産物の輸入は困難(米国が既に発動済みの数千億ドル相当の中国製品に対する関税を撤廃した場合に限り、中国は米国産農産物を購入する意向)」と発表したことで、米中対立懸念が再燃し、ドル円は一時108.15まで下げ幅を広げました。しかし、一部メディアより「英EU離脱協定の草案で英国とEUの交渉担当者が合意に近づきつつある」と報じられると、英ポンドが対円で急騰し(日通し安値136.46→日通し高値139.32)、ドル円も連れて108.90まで上値を伸ばしました(8/1以来、約2ヶ月半ぶり高値)。NY時間午後にかけて小反落に転じるも、米主要株価指数の堅調推移や、米国債利回りの上昇が下支えとなり、本稿執筆時点(10/16午前5時)では108.88近辺で底堅く推移しております。

一方、ユーロドルは下落後に反発する展開。欧州時間は、ドイツ政府が2020年のGDP成長見通しを1.0%(従来は1.5%)へ大幅に引き下げたことが重石となり、ユーロドルは一時1.0991まで急落しました。しかし、1.10割れでは押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、その後は、英合意なき離脱リスクの後退を受けた英ポンド買いに連れる形で反発し、米国時間には1.1044まで上昇しました。もっとも、米国債利回りの上昇に伴うドル高や、バラッカー・アイルランド首相による「ブレグジット交渉は進展しているが、EUサミットまでに合意できるかは不確実」との発言、EU高官による「ブレグジット交渉が合意に至るとの楽観的な見方は時期尚早」との報道が重石となると伸び悩む展開に。本稿執筆時点(10/16午前5時)では1.1035近辺で推移しております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、10/3安値106.48をボトムに底打ちすると、10/4安値106.58 →10/7安値106.69 →10/8安値106.82 →10/9安値106.93 →10/10安値107.17 →10/11安値107.85 →10/14安値108.04 →10/15安値108.15と、8営業日連続で下値を切り上げる力強い動きが続いております。この間、一目均衡表基準線や、一目均衡表雲上限、90日移動平均線、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンド、8/1高値と9/18高値を結んだレジスタンスライン、FOMC直後に記録した直近高値108.48を軒並み突破するなど、テクニカル的みて、「地合いの強さ」が意識されるチャート形状です。心理的節目109円丁度や、200日移動平均線109.07、8/1高値109.33を射程圏内に捉えつつあります。

とはいえ、ファンダメンタルズ的に見ると、@トランプ米大統領を巡る弾劾機運の高まりや、A欧米を始めとした世界経済の減速懸念、B米中を巡る不確実性の継続(米中協議は部分合意に至るも本質的な解決は先送り)、C中東を巡る地政学的リスク、D英国の合意なき離脱リスク、E日米金融政策格差(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏んでいる日銀との金融政策の方向性の違い)など、ドル売り・円買いに繋がり易い材料が引き続き多く残っています。

特に、上記Bについては、昨日も報じられた通り、中国政府は「米国が既に発動済みの数千億ドル相当の中国製品に対する関税を撤廃しない限り、米国産農産物は購入しない」との意向を示すなど、米中完全合意への道のりは相当険しいと考えられます。また上記Dについても、楽観論主導で英ポンドの急伸に繋がっておりますが、10/17ー10/18のEU首脳会議の結果次第では、悲観論へ180度転じるリスクも残されており、ここからの更なる上値追いには注意が必要です。

本日は米国の小売売上高に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、米長期金利の低下を通じて、ドル売りが強まる恐れもあり警戒が必要です。また昨日同様、米中を巡るヘッドラインや、英合意なき離脱を巡る続報にも引き続き注意が必要でしょう。アジア時間は海外時間の流れを継いでリスク選好ムードが続く可能性がありますが(場合によっては109円台を突破し、8/1高値109.33を試す展開も想定)、海外勢参入後は、翌日以降に控えるEU首脳会議を前に、ドル円・クロス円には下押し圧力が加わると予想いたします。(本日の予想レンジ:108.25ー109.25)

ドル円、英ポンド円の急伸に連れ高。米株・米長期金利の上昇も下支え

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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