ドル円見通し 9月18日と10月1日のダブルトップライン突破、110円台中盤目指すか(10/16)

懸念も抱えつつ、流れは高値試しへ進んでいるという印象だ。

ドル円見通し 9月18日と10月1日のダブルトップライン突破、110円台中盤目指すか(10/16)

【概況】

10月10日と11日に行われた米中閣僚級協議においてトランプ米大統領が言うところの「重要な第1段階の合意」に達した。中国による米農産物の購入拡大や知的財産権保護、通貨安誘導の抑止等で部分的に合意し、米国は10月15日から実施予定だった対中制裁関税の第一弾から第三弾までの対象に対する税率引き上げ(従来の25%から30%へ引き上げ)を見送った。米中通商協議の全面合意へ向けた第一段階をクリアしたということと関税引き上げ見送りにより貿易戦争の深刻化がひとまず回避されたとして金融市場は全般にリスクオンへ走っている。

ドル円も11日深夜に108.61円まで上昇して9月18日高値108.47円と10月1日高値108.46円で形成していたダブルトップラインを突破した。14日には一旦材料消化として108.03円まで反落し、15日夜にかけては108円台前半で揉み合いとなり、11日深夜高値と14日夜安値を起点とて60分足レベルの三角持合いの様相だったが、15日夜のNYダウ上昇、株高による債券売りで米10年債利回りが1.77%へ上昇する中で11日深夜高値を上抜いて三角持合いを上放れ、16日未明には108.89円まで高値を切り上げてきた。
11日深夜高値から失速して108円を割り込んでいればダブルトップからトリプルトップへ転じて円高へ傾斜しかねないところだったが、高値更新後も確りしてさらに一段高してきたことにより、ダブルトップラインの突破=トリプルトップ・ブレイクとなって上昇に勢いがついた印象だ。

【二段上げの上値計算値は110円台半ば】

ドル円は米中貿易戦争のプロセスにおいて悲観と楽観、対立深刻化懸念と融和への回帰を交互に繰り返す中で一喜一憂しつつも大きな流れとしては4月24日高値を戻り天井とした下落基調で推移してきた。6月25日安値106.75円から8月1日高値109.31円まで戻した後も一段安したために下げ途中の戻り高値を切り下げつつ一段安を繰り返す弱気パターンが続いた。しかし、8月26日底からの上昇は、9月18日高値を上抜いたことにより10月3日安値から二段目の上昇に発展している。
10月3日への下げ幅は1.97円であり、52日移動平均割れまで下げてから切り返して26日移動平均を上抜き返し、直前の戻り高値を上抜く様は、今年3月5日から3月25日へ2.40円の下落で52日移動平均を割り込んだ後に切り返した状況にも近い印象だ。

一目均衡表流の上値計算をすれば、10月3日への下げ幅の倍返しであるV計算値は110.44円。8月26日から9月18日までの一段目上昇と同値となる二段上げとすればN計算値は110.52円となり、いずれも8月1日高値109.31円を超えて110円台半ばを目指す可能性を示唆する。
もちろん、8月1日への上昇がトランプ発言一つで一挙に瓦解したように、今回の米中部分合意においてもまだ正式署名には至らず、11月中のAPECでの米中首脳会談が模索されているものの、12月15日からの米国による対中制裁関税第4弾についてはまだ撤回も延期も決まっていない状況にある。首脳会談が実現して部分合意での署名がなされたとしてもその直後に第4弾が発動されるようなこともトランプ政権ならやりかねない。そうした懸念も抱えつつ、しかし流れは高値試しへ進んでいるという印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月8日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとて11日未明から15日未明にかけての間への上昇を想定してきたが、11日深夜高値からの反落により15日朝時点では11日深夜高値を直近のサイクルトップと仮定した。またボトム形成期は11日夜から15日夜にかけての間と想定されるので既に14日夜安値でボトムをつけた可能性があるとし、11日深夜高値を上抜くところからは新たな強気サイクル入りとした。15日深夜の上昇で11日深夜高値を上抜いたため、14日夜安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして16日夜から18日深夜にかけての間への上昇を想定する。108.50円を割り込んでも切り返す内は一段高余地ありとし、108.50円割れから続落の場合は14日夜安値108.03円試しとするが、新たな弱気サイクル入りは14日夜安値割れからとする。

60分足の一目均衡表では14日の反落では先行スパン上限が支持線となり、先行スパン突破状況が維持されていたが、その後も先行スパン転落を回避し、15日深夜の上昇で先行スパンを大きく超えてきている。先行スパンを上抜いた状況が維持されるうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、両スパン揃って悪化するところからは下げ再開を警戒する。

60分足の相対力指数は15日深夜の急騰で70ポイント台をいったん大きく超えた。その後は上げ渋りで70ポイントを割り込んでいるが、60ポイント前後を支持線として切り返す内はまだ高値更新余地ありとし、16日未明高値を上抜く際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるところからは下げ再開注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、108.50円を下値支持線、109.00円上値抵抗線とする。
(2)108.50円以上での推移中は109円試しを想定する。109円到達ではいったん売られやすいと注意するが、108.50円以上での推移なら17日の日中も高値を試しやすいとみる。また109円台に定着し始める場合は8月1日高値109.31円から109.50円前後へ目先の上値目処を引き上げる。
(3)108.50円前後は押し目買いされやすいとみるが、108.50円割れから続落の場合は弱気転換注意として14日夜安値108.03円試しとする。14日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとなるため、17日夜から21日にかけての間への下落が想定され、10月3日からの上昇基調が崩れる可能性を警戒する。

【当面の主な予定】

10/16(水)
17:30 (英) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.4%、予想 0.2%)
17:30 (英) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 1.7%、予想 1.9%)
17:30 (英) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 1.5%、予想 1.7%)
17:30 (英) 9月 小売物価指数 前月比 (8月 0.8%、予想 0.0%)
17:30 (英) 9月 小売物価指数 前年同月比 (8月 2.6%、予想 2.7%)
17:30 (英) 9月 生産者物価コア指数 前年同月比 (8月 2.0%、予想 1.9%)
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調済 (7月 190億ユーロ、予想 178億ユーロ)
18:00 (欧) 8月 貿易収支・季調前 (7月 248億ユーロ、予想 175億ユーロ)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.0%、予想 1.0%)

21:30 (米) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 0.0%、予想 0.2%)
23:00 (米) 10月 NAHB住宅市場指数 (9月 68、予想 68)
23:00 (米) 8月 企業在庫 前月比 (7月 0.4%、予想 0.2%)
23:45 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、経済イベント出席
24:00 (欧)レーンECBチーフエコノミスト、講演
26:00 (独) バイトマン独連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演

10/17(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議、ワシントン 10月18日まで
EU首脳会議、ブリュッセル 10月18日まで
07:00 (英) カーニー英中銀総裁、講演[ボストン]
09:30 (豪) 9月 新規雇用者数 (8月 3.47万人、予想 1.85万人)
09:30 (豪) 9月 失業率 (8月 5.3%、予想 5.3%)
17:30 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 -0.3%)
17:30 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (8月 2.2%)
17:30 (英) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -0.2%)
17:30 (英) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 2.7%)
18:00 (欧) 8月 建設支出 前月比 (7月 -0.7%)
18:00 (欧) 8月 建設支出 前年同月比 (7月 1.1%)

21:30 (米) 9月 住宅着工件数・年率換算件数 (8月 136.4万件、予想 132.0万件)
21:30 (米) 9月 住宅着工件数 前月比 (8月 12.3%、予想 -3.2%)
21:30 (米) 9月 建設許可件数・年率換算件数 (8月 141.9万件、予想 134.0万件)
21:30 (米) 9月 建設許可件数 前月比 (8月 7.7%、予想 -6.0%)
21:30 (米) 10月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (9月 12.0、予想 8.5)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.4万人)
22:15 (米) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.6%、予想 -0.1%)
22:15 (米) 9月 設備稼働率 (8月 77.9%、予想 77.7%)
27:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
27:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
29:20 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演

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