FOMCを注視、ドル高続くか正念場(週報9月第3週)

先週のドル/円は、ドル堅調裡。一週間を通して「寄り付き安・大引け高」に近い値動きで、値幅もさることながら、ドルの強さが際立っていた。

FOMCを注視、ドル高続くか正念場(週報9月第3週)

FOMCを注視、ドル高続くか正念場

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドル堅調裡。一週間を通して「寄り付き安・大引け高」に近い値動きで、値幅もさることながら、ドルの強さが際立っていた。

前週末には、FOXなど複数媒体を通し、カドロー米NEC委員長から複数の発言が聞かれ、物議を醸す。一例を挙げると「米中貿易摩擦は今後数年続く可能性がある」、「日米貿易交渉合意を月内に発表も」、「FRBが今月と来月に追加利下げを行うなら歓迎する」−−などで、それら発言を踏まえたうえで、週明けの為替市場は寄り付いた。

ドル/円相場は、上方向にギャップを空ける格好で、先週末のNYクローズより円高の106.75-80円で寄り付いたものの、結局同レベルが週間のドル最安値に。その後は、週末に向けておおむね緩やかな右肩上がり。108円の壁を超え、週末にはおよそ1ヵ月半ぶりの高値108.26円を示現。週末NYはそのままドルの高値圏、108.10円前後で取引を終え、越週となった。

なお、為替市場は全般的に荒っぽかったが、とくにとなるとユーロ絡みとポンド絡み。たとえばユーロ/円は、12日のECB理事会でQE再開を明らかにしたことが嫌気され、一時ユーロが急落。しかし、そのあとドラギ総裁が会見で述べた発言が、追加金融緩和策は限界に近いとの見方に繋がり、Vの字型のユーロ急反発の原動力に。

一方、週間を通した材料は、「米中貿易問題」と「北朝鮮情勢」について。
前者については、週明けにトランプ米大統領から「中国は協議を望んでいる」、「来週にも中国側と協議する」との発言が聞かれ、市場では再び進展期待が膨らむ。その後も中国財政省による「16品目の米国製品を追加関税適用から免除」との発表や、米政権は10月1日に予定していた対中関税率引き上げを「15日に先送りする」と公表するなど、週間を通し、合意に前向きとみられるポジティブな発言や発表ばかりが目につき、強力なドル買い要因になっていたようだ。

対して後者は、朝鮮中央通信が、北朝鮮の崔第1外務次官の発言として「今月下旬に米国との非核化協議を再開する意向がある」と報じたことに対し、トランプ氏は「会合を開くことは良いことだ」と応じ、事態の好転を期待する声が一時高まる。ところが、その数時間後に「北朝鮮が2発の飛翔体を再び発射した」とのニュースが飛び込み、様相は再び混とんとなった。また関連事象として、トランプ氏が対北などで強固な姿勢を貫いてきた「ボルトン補佐官を解任」したことが明らかになっており、こちらも政策転換などで思惑を呼ぶ。

<< 今週の見通し >>

先週は、17-18日に実施されるFOMCをにらみ「米金融政策」に注目が集まる−−展開を見込んでいたのだが、フタを開けたら週間を通してほぼ「米中貿易協議」の話題。それも強力な進展を期待させる内容ばかりで、好感したドルが終始優勢だった。そうした流れのなか、テクニカルには8月高値109.32円を起点とした下げ幅のフィボナッチ76.4%戻し108.10-15円を一時上抜けるなど、さらなる戻りも予想されている。場合によっては、前記した8月高値を意識したドル続伸があっても、不思議はないかもしれない。

材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」などを注視。様々な重要材料があるなか、先で指摘したように先週は「米中貿易協議」の進展期待が市場動意の中心だったが、今週はまず17-18日に実施されるFOMC、つまり「米金融政策」への関心が強まる展開か。ちなみに、先週発表された米経済指標はマチマチながら、総じていえば良好な内容が多かったと言えるだけに、果たしてどういった結論を下すのか当局の姿勢が注視されている。また、実際の結果発表までは、「ブラックアウト期間」も関係のないトランプ氏などによる「口先介入」、FRBへの利下げ圧力にも注意を払いたいところだ。

テクニカルに見た場合、上方向のテクニカルポイントを次々ブレークしたことで、若干遠いもののフィボナッチでは8月高値109.32円が視界内に捉えられてきた。ちなみに、近い水準には移動平均の200日線も位置しており、109円台前半は週間を通してひとつのドルの戻りメドとしてかなり強い抵抗となる可能性もある。
対するドルのサポートは、現在も右肩上がりで、週末には107.20円レベルまで値を下げてくる一目均衡表の先行帯の雲の上限が意識されそうだ。

一方、材料的に見た場合、9月のNY連銀製造業景況指数や同フィラデルフィア連銀景況指数など発表される米経済指標にまずは要注意。とくに前者のNY連銀指数は、FOMC前最後に発表される重要指標だけに、その内容には注意を要するだろう。
そのほか、米国のFOMC以外でも、日本や英国も金融政策を発表する予定であることが気掛かり。発表内容によっては、金利差縮小観測などから調整的な円買いを誘発する可能性もある。また、具体的な日程は不明だが、週内に実施される見込みの「米中事務レベルの貿易会合」の行方にも注視しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.80-109.30円。ドル高・円安については、先週高値108.26円の攻防にまずは注目。上抜ければ、108円台後半に位置する週足・一目均衡表の基準線などを意識しつつ、8月高値109.32円も薄っすら視界内に。
対するドル安・円高方向は、107円半ばが最初のサポート。ただ、下回っても107.20円レベルなどにテクニカルポイントが位置するなど、下値は堅そう。少なくとも、大崩れは予想しにくい。(了)

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