ドル円 下値リスクくすぶるが、基本はレンジか
<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場は、ドルが小安い。東京やシンガポール休場で薄商いのなか、一時先週安値の105.27円に迫る局面も観測されていた。
先週末には、北朝鮮がここ2週間でトータル5度目となる「飛翔体を発射」したことに加え、トランプ米大統領による「9月の米中貿易協議開催は不透明」との発言を受けた米中貿易協議への不透明感が指摘されるなか、週明けの為替市場は寄り付いた。
週末のニュースなどを受けて、ドル/円は先週末のNYクローズよりもやや円高である105.45-50円でオープンしたものの、東京やシンガポールの休場もあってか商いは閑散。方向性としてはやや円買いが優勢だったが、値幅も限られたものにとどまっている。16時時点では、105.40-45円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」と「米中貿易協議」について。
前者は、先でも指摘したように北朝鮮が週末に飛翔体を発射。それについて、のちに韓国大統領府は「独自開発かつ新型」としたうえで、「性能確認が目的」との分析を発表している。一方北朝鮮サイドは、国営メディアの労働新聞が「北委員長、10日未明の試験発射を指導」と報じるなか、朝鮮中央通信は、北朝鮮外務省のクォン北米局長が「トランプ米大統領が短距離ミサイルの試射を容認している」と指摘、さらに韓国が試射の中止を求めていることを批判する談話を発表したと報道、ともに市場で物議を醸していた。
対して後者は、トランプ氏が中国と通商協議は継続するものの、「当面合意はない」との発言したことに続き、9月上旬にワシントンで予定されている閣僚級協議の開催が不透明になっているとの考えを示している。トランプ発言を受け、先行き不透明感が漂うなか、ナバロ米大統領補佐官からは「依然として中国と次回の通商協議を行うことを計画している」とした金融市場などを意識した火消し発言が観測されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場を時間足などで見た場合、6日早朝と7日NY、少なくとも2度105円半ばがサポートになった格好で、当面の底値を付けた感もうかがえたが、その安値を週末9日にしっかりと割り込んできた。また、東京が休場となった本日アジア時間も、その流れに沿ったドル安・円高気味の値動きとなっている。ポジションの偏りはやや気掛かりだが、リスクそのものは引き続きドル安方向にバイアスがかかりそう。さらなるドルの下値トライの動きには注意を払いたい。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米金融政策」などが依然として注目されている。先でも指摘したように、「2週間で5回」もの事実上のミサイル発射を実施している「北朝鮮情勢」なども要注意ではあるものの、もっとも注意する要因といえば、やはり「米貿易問題」か。とくに米中に関しては、協議の内容どころか、その協議自体の開催さえ不透明になってきた。トランプ氏が先週末から夏休みに入っているものの、引き続きSNSを使用した関連発言などは要注意で、コメントの内容如何では波乱も否定できない。
テクニカルに見た場合、目先のサポートと目された105円半ばを割り込んできており、いまスグにということではないにせよ105円割れも現実味を帯びてきた。1月3日に記録した年初来安値も意識され始めている。
いずれにせよ、基本的なリスクはドル安方向だが、やや気掛かりなのは当局者などからの口先介入か。消費増税実施前の105円割れともなれば、本邦輸出企業への悪影響が懸念されるところで、かなり強い調子の発言が聞かれても不思議はないだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.10-105.80円。ドル高・円安方向は、本日は東京高値である105.70円レベルの攻防にまずは注目。上抜けば106円台回復、106.30-40円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週末そして本日と2度下値をサポートされた105.30円前後が最初サポート。割り込んだ場合には105円割れ意識されそうだが、下値のビッドも厚く、飽くまでもじりじりとした値動きにとどまりそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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