今週の週間見通し
先週のドル円は、トランプ大統領による前週の対中制裁関税第4弾発動が尾を引いてリスクオフ地合いでのスタートを切りましたが、月曜NY市場の引け後に米国が中国を為替操作国と認定したことから、株安、円高のリスクオフが加速する結果となりました。週を通してみてもトランプ大統領もリスクオフの流れに輪をかけるようにドル高牽制発言、そしてFRBに対する利下げ圧力発言と、ドルは水準を切り下げ金曜には105.27レベルの安値をつけ、上値の重たいままの週末となりました。
ドル円は上下しながらも着実に円高方向へと歩みを進めていますが、105円の大台を前に足踏み状態となっています。しかし、米国の対中通商協議に対する強硬姿勢を見ている限り、日米協議でも米国からの要求は強くなりそうですし、為替に対しても直近のトランプ大統領の発言を見ていると大きくドル高に戻ることは無さそうです。今年ここまでの高値が112.40ですから、仮に最近の10円程度のレンジを想定すると102円台があってもおかしくありません。少なくとも年初フラッシュクラッシュで見た104円台後半を丁寧につけに行く流れは考えておくべきでしょう。
今週の日本はお盆休みで実需をはじめとする取引は低調となりがちですし、インターバンクディーラー達も為替レートよりも高校野球に注目しがちな週でもあります。アジア時間は中国、海外市場に移ってからはトランプ大統領を中心に米国からの発言が市場を動かす要因となってきそうです。経済指標等も目立った材料がありませんので、テクニカルにここからの展開を考えてみましょう。
テクニカルにはドル安トレンドに方向転換と見せかけた変調を挟んで改めてドル安トレンドへと回帰しています。その間、本邦個人投資家を中心としてコストの良くないドル買いポジションが作られ、おそらくお盆休み後まで様子見姿勢といった感じになってきそうです。いっぽうインターバンク勢はポジションがあまり持たない状態が続いている様子です。こうした本邦勢のみにポジションの偏りが見られるときは要注意で、次に105円をトライする動きがあると、一気にドル安方向へと動きリスクがあるという前提でチャートも見てください。
既に105円台前半を見ていますので、早晩大台をトライすることは間違いないと思いますし、年初来安値の104円台後半(ここのチャートでは現在104.78を使用)をトライした後は、戻るよりは一段のドル安の流れを伺いに行くと考えた方が自然です。直近のチャートパターンを考える場合、112円台からの下げの後に6・7月の上昇ウェッジ(青のライン)の調整を挟んで、8月の下げ再開とする逆N波動(ピンク)でよさそうです。
そうなるとテクニカルにも104.78(年初来安値)、104.90(逆N波動の78.6%エクスパンション)を経て、最終的には100%エクスパンションの103.70を試しに行く流れと言えます。今のところ、そこまで考えておけば十分とは思いますが、さらにその下となると100円の大台もどこかで視野に入れてくるのではないかと考えられます。
今週は年初来安値を試しに行く流れを考え、106.10レベルをレジスタンスに104.60レベルをサポートとする流れを見ておきます。
これはフラッシュクラッシュ以来の水準ですが、すでにフラッシュクラッシュ時の安値(前回のチャートからインターバンク安値の104.78を採用しています)と年初来高値の78.6%(61.8%の平方根)押し106.41を下回っています。ここから下のターゲットでは100%押しの104.78があり、この水準は年初来来高値からの逆N波動(ピンク)の78.6%エクスパンション(青のターゲット)104.90とも近く、おそらく早い段階で年初来安値を試しに行く流れにあると考えられます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
8月12日(月)
**:** 東京、シンガポール市場休場
**:** トルコ市場休場(〜14日)
8月13日(火)
10:30 豪州7月企業景況感
15:00 ドイツ7月PPI・CPI
17:30 英国7月失業率
18:00 ドイツ8月ZEW景況感指数
18:00 ユーロ圏8月ZEW景況感指数
21:30 米国7月CPI
8月14(水)
09:30 豪州8月消費者信頼感
15:00 ドイツ4〜6月期GDP改定値
15:45 フランス7月CPI
17:30 英国7月CPI
18:00 ユーロ圏6月鉱工業生産
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP改定値
20:00 南ア6月小売売上高
21:30 米国7月輸入物価指数
23:30 週間原油在庫統計
8月15日(木)
10:30 豪州7月雇用統計
16:00 トルコ5月失業率
17:30 英国7月小売売上高
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国4〜6月期単位労働コスト速報値
21:30 米国8月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22:15 米国7月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米国8月NAHB住宅市場指数
23:00 米国6月企業在庫
8月16日(金)
16:00 トルコ6月鉱工業生産
18:00 ユーロ圏6月貿易収支
21:30 米国7月住宅着工、建設許可件数
23:00 米国8月ミシガン大消費者信頼感速報値
前週の主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
8月5日(月)
ドル円は週明けの東証スタートともに株価が下落する動きに沿ってリスクオフの円買い、金曜安値を下回るとストップオーダーも巻き込みながら一気に105円台へと入り込みました。昼過ぎには105.76レベルの安値をつけましたが、財務省と日銀が会合とのヘッドラインが入り様子見。財務官の会見は特段目立った内容では無かったものの、その後ドル円はNYの引けまで105円台後半でのもみあいに終止しました。
8月6日(火)
ドル円はNY引け後に米国が中国を為替操作国と認定したことから、株安、円高のリスクオフが先行しました。早朝相場では一時105.51レベルの安値を付けましたが、ダウ先物が夜間取引で反転する動きとともにドル円にも買いが入り、にわかショートが切らされた格好で昼過ぎには107円台乗せとなりました。しかし、米中貿易摩擦の見通しが暗い中、上がったところでは売りたい向きが多く、その後はNYの引けまで106円台半ばを中心として上値の重たい展開が続きました。
8月7日(水)
ドル円は前日の上値の重たい動きを受けわずかに上値を切り下げる展開が続きました。しかし、欧州市場までは様子見が続き上下ともに方向感がはっきりしなかったところ、米国債の利回りが夜間取引で1.62%まで低下する動きに沿ってドル売りが再開、NY市場前場にはダウの下げも重なって105.50レベルの安値をつけましたが、引けにかけてはダウが行って来いの動きとなり、ドル円も106円台を回復しての引けとなりました。
8月8日(木)
ドル円は方向感がはっきりせず最近にしては狭いレンジ内でのもみあいに終止しました。しかし、上値が重たい印象は続き、NY市場ではトランプ大統領がドル高を牽制する発言も上値を抑える結果となりました。
8月9日(金)
朝方に一時的に買い戻しも出たものの高値を切り下げる展開は変わらず、東京市場でも上値の重たい展開が続きました。NY市場に入り、トランプ大統領がFRBへの大幅利下げを期待、9月の米中通商協議は中止の可能性と発言し、株安とドル安の動きとなり、一時105.27レベルの安値をつけました。引けにかけては週末前のポジション調整も入り、105円台半ばへと戻して引けました
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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