ドル円、米長期金利の低下を背景に直近安値を再び更新。一時105.05を記録し1/3安値に迫る場面も(8/13朝)

12日の海外市場でドル円は直近安値を再び更新。

ドル円、米長期金利の低下を背景に直近安値を再び更新。一時105.05を記録し1/3安値に迫る場面も(8/13朝)

ドル円、米長期金利の低下を背景に直近安値を再び更新。一時1/3安値に迫る場面も

海外時間の為替概況

12日の海外市場でドル円は直近安値を再び更新。本邦及びシンガポールが休場となる中、アジア時間は方向感に欠ける値動きが続きましたが、米10年債利回りの急低下(1.731%→1.633%)や、米主要株価指数の軟調推移が重石となると、海外勢参入後にドル円は下落。先週末金曜日に記録した直近安値105.27を下回ると、一時105.05まで下げ幅を広げ、1/3のフラッシュ・クラッシュ時に記録した年初来安値104.97まで残り8pipsに迫る場面も見られました。もっとも、同水準ではショート勢による利食いや、オプション勢によるトリガー(105円を消滅条件とするリバースノックアウトのドルプット・円コール)絡みのデルタ操作が下支えとなり、NY時間午後にかけては値を戻す展開に。結局105.30 付近まで持ち直してのクローズとなっております。

一方、ユーロドル相場は下落後に急伸する展開。イタリアを巡る政局不透明感の高まりを背景に、一時1.1162まで急落するも、ボリンジャー・ミッドバンドや、一目均衡表基準線付近で下げ渋ると、その後は、米長期金利の急低下を背景としたドル売りが支援材料となり、NY時間午後にかけて1.1230まで急伸する展開となりました。もっとも、90日移動平均線付近では上値も重く、1.12台半ばに潜むレジスタンスを突破するには至りませんでした。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、心理的節目105円丁度をトライするも、結局105.05をボトムに押し返される展開となりました。ショート勢による利食いや、オプション絡みの買い支えが背景にあったと推察されます。とはいえ、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)や、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」、B強い下落トレンド入りを示唆する「バンドウォーク(下限)」の継続などを考慮すれば、再び105円割れを試すことは時間の問題と考えられます、RSIなどオシレータ系指標に一部過熱感(売られ過ぎ感)が見られるものの、トレンドが明確に出ている状況下、安易な逆張りは危険と判断できるでしょう。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米中貿易摩擦の深刻化(報復合戦の応酬)や、A世界的な貿易戦争→世界的な通貨安戦争への波及リスク、B南ア中銀、トルコ中銀、FRB、インド中銀、タイ中銀、NZ中銀、フィリピン中銀が利下げに踏み切るなど、グローバルな「利下げドミノ」が意識されること、Cイランやトルコ、朝鮮半島を巡る地政学的リスクの高まり、D英国を巡る合意なき離脱リスクの危険性、E世界経済の不安定化、Fイタリアやアルゼンチンでの政局不透明感の高まりなど、ネガティブ材料は山積みです。G追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の大幅追加利下げ(50bp)を織り込みつつある米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から下落圧力が加わり易い状況が続くと考えられます。

本日は、米7月消費者物価指数(CPI)に注目が集まります。先週末は米7月生産者物価指数(PPI)のコア指数の伸び悩みが「ドル売り」を誘いましたので、本日発表されるCPIにも市場の関心が集まりそうです。市場予想を下回る結果となった場合、「インフレ圧力の鈍化→米9月大幅利下げ観測の高進→米長期金利の急低下→ドル売り」の経路で、ドル円が一段と押し下げられる展開も想定されます。状況次第では、1/3に記録した年初来安値104.97を割り込む場面も見られそうです。米中貿易摩擦に関連したヘッジラインや、中国人民銀行による対ドル基準値(日本時間午前10時15分)、米7 月消費者物価指数の結果を睨みながらも、ドル安・円高地合いの継続を予想いたします。(予想レンジ:104.75ー105.75)

ドル円日足

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