ドル円見通し 108円台回復、ユーロ安ドル高と株高債券安が押し上げる(7/24)

7月23日夜には中古住宅販売統計の発表がやや弱かったことでドル円も若干売られる場面もあったが、早々に切り返している。

ドル円見通し 108円台回復、ユーロ安ドル高と株高債券安が押し上げる(7/24)

【概況】

7月10日の米連銀パウエル議長による下院議会証言での利下げ積極姿勢からドル円は下落に転じ、7月10日高値108.98円から7月19日安値107.19円まで下げた。この間の下げ幅は1.79円だったが、19日朝安値の後は早期大幅利下げ期待がやや過剰だったとして揺れ返しの上昇に入った。7月22日午前高値で108.06円を付けた後は108円台を維持できずにいったん23日未明安値107.76円までジリ安となったが、23日は株高によるリスクオン志向と米長期債利回り上昇、ユーロ安ドル高から押し上げられて22日午前高値を上抜き、24日未明には108.28円まで戻り高値を切り上げた。

【米連銀の0.25%利下げ折り込み、ECB追加緩和観測でのユーロ安】

米連銀が7月30−31日のFOMCで0.25%の利下げを決定するだろうということについては7月19日朝への大幅下落で材料的には織り込んだため、これまでの下落に対するポジション調整的な買い戻しが出ているが、108円を超えてさらに伸びているため、買い戻しに加えてやや押し上げ材料に伴う高値試しの動きが出てきている印象がある。

7月23日夜には中古住宅販売統計の発表がやや弱かったことでドル円も若干売られる場面もあったが、早々に切り返している。米不動産業者協会(NAR)が発表した6月の中古住宅販売件数は前月比1.7%減の527万戸と市場予想の534万戸を下回り、4カ月ぶりのマイナスとなった事はドル売り材料となった。ただ5月は速報の534万戸から536万戸に上方修正され、販売価格の中央値は前年同月比4.3%増の28万5700ドルと過去最高を記録しており、この件でのドル売りは限定的だった。

NYダウが前日比177.29ドル高と上昇した。米ブルームバーグ通信が米中閣僚級協議のためにライトハイザー通商代表部(USTR)代表らが7月29日に訪中すると報道したことで米中協議進展への楽観見通し強まったことがプラスとなった。また米調査会社リフィニティブによると、米主要企業500社のうち104社が決算発表し、このうち79%が市場予想を上回ったため、企業決算シーズンが順調に滑り出したとの感触も株価を押し上げた。

株高によるリスクオン心理が巻き返して債券は売られ、米10年債利回りは2.08%へ上昇した。その一方でECBの追加緩和観測や英国によるEUからの合意無き離脱懸念を背景にドイツ10年債利回りが一時はマイナス0.359%まで低下して史上最低水準に迫ったことから米独金利差が意識されてユーロが大幅下落となり、ドル高ユーロ安がドル高感を強めたためにドル円の押し上げに貢献した。

【欧州PMI、ECB理事会、米GDP】

ドル円は6月25日安値106.75円から7月10日高値108.98円まで上昇した後は7月12日の戻り高値108.60円、17日未明の戻り高値108.37円と高値を切り下げてきた。17日未明高値を超える場合は高値切り下がりパターンを破ることになる。すでにこの間の下げ幅に対する半値戻し108.085円をこえてきているので、3分の2戻しに当たる108.383円も意識されるため17日未明高値108.37円を超えて高値切り下がりパターンから脱却する場合は7月10日高値まで揺れ返しの上昇を継続する可能性も出始めると思われる。

7月25日にはECB理事会が控えており、追加利下げや緩和姿勢の拡大も予想されている。その前日の7月24日夕刻にはドイツとEUのPMI発表があるため、数字が弱いようだと金融緩和拡大催促でユーロ安が進み、相対的にドルを押し上げてドル円も上昇を継続し、ECB理事会が金融緩和拡大姿勢を強めてユーロが続落ならドル円もさらに戻り高値を試しにかかる可能性がある。

ただし7月26日には4−6月期の米GDP発表もあり、前期からの伸び率鈍化が予想されているので、予想通りか予想以下へ減速する場合はドル安のぶり返しへ一挙に進む可能性もある。これらを踏まえると25日にかけてはまだドル円も高値を試す余地ありとしても上値は抑えられ気味となりやすいのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表。・サイクル分析】

【60分足一目均衡表。・サイクル分析】

USD/JPY60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月19日朝安値を直近のサイクルボトムとして反騰した。今回の高値形成期は7月17日未明高値を基準として22日未明から24日未明にかけての間と想定されるため、すでにサイクルトップを付けて弱気転換しやすい時間帯にあるが、19日からの揺れ返しがまだ続いているため、サイクルトップ形成の延長入りも含めて108円台を維持するうちは上昇余地ありとし、108円割れからは弱気サイクル入りの可能性を警戒し、23日未明安値107.76円割れからは弱気サイクル入りとする。安値形成期は24日の日中から26日朝にかけての間と想定されるので、下落は短期の可能性もあるが、ECB理事会結果や米GDP反応によっては朝にかけて下落継続となる可能性があると思われる。

60分足の一目均衡表では22日朝への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。24日朝時点も両スパンそろっての好転が続いているのでまだ上昇余地ありとするが、遅行スパン悪化(実線を割り込む)ところからは弱気サイクル入りの可能性を踏まえて安値試し優先とする。その際は先行スパンが支持帯となってくるが、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいとみる。

60分足の相対力指数は23日夜から24日未明にかけての相場の高値切り上げに対して指数のピークが下がり気味のため弱気逆行を形成する可能性がある。50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れへ下降するところからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、107.83円、次いで107.76円を下値支持線、7月17日未明高値108.37円を上値抵抗線とする。
(2)108円を上回る内か一時的に割り込んでも早々に回復するうちは上昇余地ありとして108.37円試しを想定する。108.37円を超えて続伸の場合は12日高値108.60円試しへ上値目途を引き上げるが108.50円以上は反落警戒とみる。ただし108円台維持での推移中か、直前高値から0.30円以内の下げならは24日夜から25日の日中へ続伸しやすいとみる。
(3)108.37円超えへ進めずに108円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、107.76円割れからは下げ再開として107.50円前後への下落を想定する。107.50円台では押し目買いも入りやすいとみるが、108円以下での推移なら25日の日中も安値試しを続けやすいとみる。また108.37円を超えた後の108円割れからは下げ再開とみて107.75円前後への下落を想定する。この場合も108円以下での推移なら25日へ続落しやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/24(水)
14:00 (日) 5月 景気一致指数(CI)・改定値 (速報 103.2)
14:00 (日) 5月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 95.2)
16:30 (独) 7月 製造業PMI (6月 45.0、予想 45.2)
16:30 (独) 7月 サービス業PMI (6月 55.8、予想 55.2)
17:00 (欧) 7月 製造業PMI (6月 47.6、予想 47.6)
17:00 (欧) 7月 サービス業PMI (6月 53.6、予想 53.3)
22:45 (米) 7月 製造業PMI (6月 50.6、予想 51.0)
22:45 (米) 7月 サービス業PMI (6月 51.5、予想 51.8)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (5月 62.6万件、予想 65.8万件)

7/25(木)
08:50 (日) 6月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (5月 0.8%)
17:00 (独) 7月 IFO景況指数 (6月 97.4、予想 97.5)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 24.00%、予想 22.00%)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ドラギECB総裁、定例記者会見
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 -1.3%、予想 0.8%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.6万人)

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