<< 東京市場の動き >>
27日の東京市場は、ドル高・円安。とくに夕方にかけて上値を拡大させると、1週間ぶりの108円台回復となった。
ドル円は107.75円レベルで寄り付いたのち、しばらくは冴えない。107.65-80円といった狭いレンジ取引をたどっていたが、上抜けすると、そのまま続伸し108円台を回復。夕方にかけてもドルは下がらず108円台をキープし続け、16時時点では108.05-10円という日中のドル最高値圏で推移、欧米時間を迎えていた。
なお、チャートを見ると、円は対ドル以外、いわゆるクロスでもほぼ全面安。とくにNZドル/円は72.20円台まで上昇し、10日に記録した6月高値に一時面合わせしている。
一方、材料的に注視されていたものは、またもや市場で物議を醸した数多くの「トランプ米大統領発言」について。
その多くがFOXビジネス・ネットワークによる電話インタビューを受けてのものとされ、「日米安保の負担偏りに不満示す」、「イランとの戦争勃発でも短期間で終了」、「FRB議長にはドラギ氏が就くべき」、「訪韓の際、北委員長とは会わない。ただ別の形で話をする可能性」−−などといった発言が聞かれ、様々な思惑を呼んでいた。また、正確には発言でないが、G20サミット出席で来日する際のトランプ氏のスケジュールが明らかになった。ちなみに、注目の「米中首脳会談」は29日午前11時半となっていた。
そのほか単発モノとして、英中銀総裁「『合意なきEU離脱』なら利下げも」、イラン最高指導者「米国の侮辱には屈しない」、中央日報「日韓首脳、G20で『立ち話』の略式会談を検討」、若田部日銀副総裁「消費増税は経済、物価に下押し圧力もたらす可能性」、香港紙「米中、貿易問題で暫定的な停戦合意」−−とする発言や報道が観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
6月高値108.80円を起点に考えても、2週間で2円下落していた流れは106.78円で目先の底を打ち、足もとはドルが買い進まれる展開となっている。昨日も報じたように、6月高値からのフィボナッチで見た場合、半値戻しは107.80円レベル、61.8%戻し108.00-05円となっていたが、いずれも本日東京時間に「しっかり」と上抜けてきた。次の抵抗は同76.4%戻しの108.30-35円となり、ドルの下値リスクが解消されただけでなく、むしろドルの続伸リスクを指摘する声も聞かれ始めている。
材料的に見た場合、「北朝鮮」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米利下げ観測」など継続案件は依然として多いが、喫緊の課題となると「イラク情勢」と「米貿易問題」か。前者については、泥沼に陥っている感があり引き続き注意が必要だが、後者は昨日CNBCが米財務長官発言として「米中通商交渉は90%完了」と報じたことに続き、本日東京では香港紙が「米中、貿易問題で暫定的な停戦合意」と指摘したことで、市場では楽観論も台頭し始めている。これまでの経緯からかすれば、最後の最後でちゃぶ台返しとなる可能性も否定出来ないものの、取り敢えずは合意期待を背景にした円売りが続く展開も取り沙汰されていた。
テクニカルに見た場合、6月高値108.80円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しを超えてきたことで、安値106.78円を示現後、足もとのドル戻りは単なる調整とは思えなくなった。相場観もドル安・円高ではなく、ニュートラル・中立へと戻ったようだ。なお、フィボナッチの観点では次の抵抗は108.30-35円であり、超えれば100%戻し108.80円がターゲットに。
対するドルのサポートは、一目均衡表の転換線などが位置する107.75円レベルか。
一方、材料的に見た場合、1-3月期GDP統計確報や6月のカンザスシティ連銀製造業活動指数など幾つかの米経済指標が発表されるほか、米財務省による7年債の入札が実施される見込みとなっている。
もちろん、そうした米経済指標なども要注意なのだが、やはり市場の関心はG20サミット関連。たとえば、中国の習国家主席が本日午後に来日、安倍首相と夕食をともにしながらの会談に臨むもようだ。ほかにも実施されるサミット参加国首脳などによる二国間会談などには一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル円予想レンジは、107.50-108.50円。ドル高・円安方向は、本日東京高値に当たる108.15円レベルが最初の抵抗。越えれば108.30-35円、そして6月高値108.80円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、一目均衡表の転換線が位置する107.75円レベルの攻防にまずは注視。割り込めば107円前半から半ばへの下落も。ただ、底堅いイメージで、107円割れはしばらく予想しにくい状況だ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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