<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場は、ドルが小安い。ただ、終日を通した値動きそのものは25ポイントにとどまるなど、明確な方向性はうかがえなかった。
ドル/円は109.55-60円で寄り付いたのち、ドルはじり安。前日8日ぶりに反発へと転じた日経平均株価がマイナス圏でスタート、さらに寄り付き後下げ幅を拡大したことなどが嫌気されていた。
しかし、ドルは日中安値である109.30-35円で下げ止まると、株価の動きをにらみつつ低位揉み合いに。16時時点では109.45-50円で推移し、欧米時間を迎えている。
なお、仮想通貨ビットコインは引き続き荒っぽい値動き。昨晩から本日昼ごろにかけては緩やかな右肩上がりで8300ドル近くまで値を上げたものの、そこから急落。夕方には8000ドルを一時割り込む局面も観測されていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中貿易協議」について。
中国外務省報道官が「米国が関税合戦の悪例を作った」と発言するなど、米中ともに互いを非難するコメントが聞かれるなか、ロイターは「トランプ米大統領、輸入車への関税賦課を半年延期の構え」と報じ、摩擦緩和期待に繋がっていた。また、米財務長官が議会で「近く訪中する可能性あり」と指摘したことも、好感されていたという。
そのほか単発モノとして、英ラジオ「与党のEU離脱派、首相協定案に反対へ」、米誌「ボルトン米大統領補佐官解任の可能性が浮上」、共同通信「日米首脳、27日会談で最終調整」−−などといった発言やニュースが報じられていた。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日8日ぶりの反発に転じた日経平均株価だが、本日は再びマイナス圏へ。また、それほど大きく下げているわけではないが、時間外で取引されている米株、NYダウなども現在弱含み。日米を中心とした株価は引き続き不安定で、ドル高・円安の足かせとなりかねない。ただ、ここ1週間程度の形成レンジである109-110円を放れることができるのか、いましばらくは1円レンジを続ける可能性も否定出来ないようだ。
材料的に見た場合、「北朝鮮」そして「イラク」をめぐる情勢にも注意しつつ、市場の最大関心事は依然として「米貿易問題」。日米、米中ともに月内という早いタイミングでの協議再開が期待されており、果たして目に見える格好での妥結が出来るのかが注視されている。また、6月後半の大阪G20をにらんだ、様々な首脳会談など政治イベントも活発で、それらも市場の注目を集めている感を否めない。関連事項でいえば、来週23日から実施される欧州議会選を警戒する声は多く、ユーロやポンドの波乱要因となる可能性もある。
テクニカルに見た場合、乱高下こそあるものの、過去1週間程度は109円台を中心とした1円レンジ。本稿執筆段階では109円半ばと、ちょうど真ん中でもっとも居心地の良いレベルだ。いずれにしても、明確な方向性は乏しい。
予断は許さないものの、足もとの1円レンジはいましばらく続く見込みで、次の方向性を探る動きを見込む向きも少なくない。
一方、材料的に見た場合、5月のフィラデルフィア連銀景況指数や4月の住宅着工件数など幾つかの重要な米経済指標が発表されるほか、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁による講演なども予定されている。引き続き各種米国ファクターには要注意。
そうしたなか、本日はユーロ圏財務相会合をはじめ、欧州関連の材料も少なくない。ワイトマン独連銀総裁やデギンドスECB副総裁による講演も、別途実施される見込みだ。英国やイタリア、トルコなどを欧州にも気になる要因が目につき始めており、ドル/円よりもユーロ絡みの値動きを警戒する声も聞かれていた。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.00-109.90円。ドル高・円安方向は、過去1週間程度ドルの戻りを阻んできた110円前後が強い抵抗だが、短期的にはその少し手前109.70-80円も新たな抵抗になりつつある感。まずは、後者の攻防に要注意だ。
対するドル安・円高方向は、昨日安値の109.15円が最初のサポートで、割り込めば直近安値の109.02円前後がターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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