ドル円見通し ドル指数上昇で半値を戻す(3/29)

欧州経済指標は弱くユーロの先安感が強まっている。欧州等の景気減速懸念によりドルを相対的に押し上げた。

ドル円見通し ドル指数上昇で半値を戻す(3/29)

【概況】

3月21日未明の米連銀FOMCによる年内利上げ断念姿勢から急落して3月8日安値を割り込み、週明け25日午前には109.72円まで続落したが26日は目先の売り一巡で戻し、ユーロ安や新興国通貨安を背景にドル高感が再燃したことで27日には110.70円まで戻した。28日午後には株安警戒感で109.99円まで下げたものの、28日夜はドル高感がさらに強まったためにドル円も押し上げられて110.83円まで戻した。3月15日から25日への下げ幅に対する半値戻しが110.81円でありこれを実現したところだが、28日夜高値以降は上げ渋っている。

欧州経済指標は弱くユーロの先安感が強まっている。28日に発表されたユーロ圏の3月経済信頼感指数は前月の106.2から105.5へ低下した。ドイツの3月消費者物価速報値は前年同月比で1.3%となり前月の1.5%及び市場予想の1.6%を下回った。これらがユーロ続落要因となりドルを相対的に押し上げた。
米10−12月期のGDPは前期比年率は2.2%となり速報値の2.8%から下方修正された。市場予想の2.4%も下回ったためにドル売りのきっかけになるところだったが、実質2%台を維持したことと欧州等の景気減速懸念によりドル売り材料とはならなかった。

【長期金利低下にもかかわらずドルが相対的に押し上げられる】

3月21日からユーロが下落、27日午前にはNZ中銀による次回利下げ姿勢によりNZドルが急落、豪ドルも同調安となり、28日早朝からはEU離脱問題での混乱からポンドが下落してドルを押し上げている。
3月20日に暴落したトルコリラは当局の流動性供給規制により27日まで反騰していたが28日に再び急落した。27日にはアルゼンチンペソが史上最安値を更新し、28日は南アランドやロシアルーブルも下落するなど新興国通貨安が目立った。

米連銀の利上げ断念姿勢により米長期債利回りの大幅低下により米3カ月物TB(財務省証券)利回りが10年債利回りを上回る「長短金利逆転(逆イールド)」現象が発生しているが、28日も継続して5日目に入った。米10年債利回りは27日に2.3%台へ低下した後は2.4%台へ戻して下落一服感も出ているものの、米長期金利低下は本来ならドル安要因となるところだが、それ以上にユーロや新興国通貨安が意識されてドル指数が押し上げられている。ドル指数は3月20日安値から反騰入りして28日も続伸している。

ドル円としては米長期金利低下による売り圧力があるものの、ユーロ安や新興国通貨安による全般的なドルの押し上げが下支えとなり、110円割れに対する突っ込み警戒感も加わってやや戻しているという印象だ。しかしユーロやポンドの下落、新興国や資源通貨の下落はそれらのファンダメンタルズが弱いことを反映しているためクロス円での円高要因であり、株安一服中はドル円として上昇できても株安不安が強まると円高感が勝ってドル円も一段安へと崩れやすい環境にあるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月25日午前安値で前回のサイクルボトムを付けて戻しに入ったが、3月27日午後高値からの反落により3月28日朝時点では3月20日高値から5日目となる3月27日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして次の安値形成期となる3月28日の日中から4月1日にかけての間への下落を想定した。また27日午後高値超えへ至らないうちは一段安警戒としたが、27日午後高値超えからは新たな強気サイクル入りと111円台回復を目指す上昇を想定するとした。
28日夜の上昇で27日午後高値を上抜いたため、25日午前安値から3日目となる28日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は4月1日から3日にかけての間と想定するが、戻りは短命の可能性もあるので110.30円割れからは下げ再開注意とし、28日午後安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして4月2日から4日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日夜の上昇で先行スパンを上抜き返しているので、遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落するところからは下げ再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は30ポイント台まで低下してから上昇したが、3月27日から28日夜への高値更新に対して指数のピークが切り下がっているため、28日午後からの戻りは短命の可能性があると注意する。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.30円を下値支持線、28日夜高値110.83円を上値抵抗線とする。
(2)110.30円を上回るうちは高値更新余地ありとし、28日夜高値超えからは111円台序盤への上昇を想定する。111円到達では戻り売りも出やすいと注意し、直近の高値から0.50円以上の下げとなる場合は下げ再開注意とする。
(3)110.30円割れからは下げ再開を警戒して28日安値109.99円試しとし、安値更新からは新たな弱気サイクル入りとして来週前半への下落期入りとみて109円台前半試しへ向かうとみる。

【当面の主な予定】

3/29(金)
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 1.1%、予想 0.5%)
17:55 (独) 3月 失業者数 前月比 (2月 -2.1万人、予想 -1.0万人)
17:55 (独) 3月 失業率 (2月 5.0%、予想 4.9%)
18:30 (英) 10-12月期 GDP、改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
18:30 (英) 10-12月期 GDP、改定値 前年同期比 (速報 1.3%、予想 1.3%)

21:30 (米) 2月 個人所得 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 1月 個人消費(PCE) 前月比 (12月 -0.5%、予想 0.3%)
21:30 (米) 1月 PCEデフレーター 前年同月比 (12月 1.7%、予想 1.4%)
21:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前月比 (12月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (12月 1.9%、予想 1.9%)
22:25 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 64.7、予想 61.0)
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (1月 60.7万件、予想 62.0万件)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 97.8、予想 97.8)
25:05 (米) クオールズFRB副議長、NYで講演

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