<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場は、ドル安・円高。株安などを材料に円買いが進むと、一時111円台を割り込む局面も観測されていた。
ドル/円は、111.55円前後で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。111.45-65円といったレンジ取引となったが、底割れすると、そのまま一気に110.95円レベルまでドル安・円高が進行している。日経平均株価が4日続落、終値ベースで430円の大幅安となったことなども嫌気され、円買いに寄与していたようだ。
しかし、111円以下のレベルでは底堅く、取り敢えず下げ止まると、低位揉み合いに。16時時点では111.05-10円で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「北朝鮮情勢」について。
FOXニュースが「米大統領補佐官、トランプ氏は3回目の米朝首脳会談に前向きな考え」などと報じるも、朝鮮中央通信「北朝鮮、米韓の新たな軍事演習を非難」、38ノース「北ミサイル施設、再び稼働可能に」、ロイター「米朝、非核化に関する多くの問題で意見の隔たり」−−などといったニュースが観測されている。また、トドメとして、トランプ氏から2日連続の「北委員長への失望表明」が聞かれ、一部では関係悪化を懸念する声も。
そのほか、ロイター「ECB理事会、ドラギ総裁の踏み込んだ提案にハト派も驚き」、読売新聞「サイバー犯罪急増、昨年の仮想通貨流出677億円に」、「米財務長官、予算教書について14日に上院財政委で証言」、浅川財務官「中国景気、当面腰折れするとはみていない」といった報道や発言があり、折につけ話題となっていた。
<< 欧米市場の見通し >>
5日に112円台を示現し年初来高値をわずかに更新するも、攻め切れず。その後は、逆に下値を模索する展開をたどっていたが、本日の東京時間には2月28日以来となる111円割れを示現している。まだザラ場とは言え、短期的なレンジの下限のほか、移動平均の200日線が位置する111.35-40円を下回っており、下方向のリスクが再び高まってきた感も否めない。若干遠いものの、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する110.40円レベルをターゲットに、ドルの続落を懸念する声も聞かれている。
材料的には、米朝関係が再び不安定さを増してきたことが気掛かり。ちなみに、先で指摘した「トランプ氏による2日連続の北委員長への失望表明」、1回目は「もし本当なら」と注釈がついていたが、2回目はそうした惹句は見られず、非難のトーンが強まったとの解説も聞かれていた。
そうしたなか、本日は注目の米雇用統計が発表される。もちろん内容には要注意。もっとも注視されている非農業部門雇用者数は前月がプラス30万人オーバーという、かなりの好数字だったことで、反動減を警戒する声も少なくない。
テクニカルに見た場合、ザラ場ながら移動平均の200日線が位置する111.35-40円を下回っており、ドルの続落が懸念されている。東京時間にワンタッチした110円台は、後半に移動平均の25日線や75日線が位置するほか、半ばにも一目均衡表の雲の上限が存在するなどテクニカルポイントは目白押しだ。底堅いイメージではあるものの、逆にそれらを下回るとストップロスがストップロスを呼び、なし崩し的なドル安が進行する可能性もある。
一方、材料的に見た場合、1月の住宅着工件数や2月の雇用統計などの米経済指標が発表される予定となっている。ちなみに、市場の関心が高い後者のうち非農業部門雇用者はプラス18万人程度が見込まれているようだ。ただ、先行指標ともいわれる先日発表されたADP雇用統計は事前予想を下回っていることから、予想より悪い数字になるとの警戒感を抱く向き。また、当月分の数字だけでなく前月分の修正値や、時間当たり賃金などほかの統計指標も一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.40-111.60円。ドル高・円安方向は、本校執筆時に下回っている移動平均の200日線が位置する111.35-40円が最初の抵抗。抜ければ111.60円前後、年初来高値112.13円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京で記録した安値110.95円レベルをめぐる攻防に注目。110円台半ばから後半にかけてもテクニカルポイントは数多く、底堅いイメージだが、予断は許さない。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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