下方向への調整が入りやすい(1月第4週)

今週はFOMCと米国雇用統計が2大イベントとなりますが、今回のFOMCから地区連銀総裁は持ち回りで2019年度の新メンバーとなります

下方向への調整が入りやすい(1月第4週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、株価に沿った上下は継続したものの110円の大台はワンタッチしたのみで110円台前半の上値の重さを意識させる一週間となりました。しかしながら、ここに至るまで着実にドル売りオーダーをこなしつつ上がってきたこともあって、押し目買いも根強いものがありました。

今週はFOMCと米国雇用統計が2大イベントとなりますが、今回のFOMCから地区連銀総裁は持ち回りで2019年度の新メンバーとなりますし、FRB理事もトランプ大統領が空席を全て指名したことでメンバーがようやく固定しました。まず今回のFOMCで投票権を持つFOMCメンバーの紹介と今回のFOMCで考えられる議論についてから始めましょう。

2019年度のFOMCメンバーは以下の通りです。カッコ内にスタンスを付記しました。

今週の週間見通し

トランプ大統領が空席分を指名したことで、7名の理事枠と5名の地区連銀総裁枠はいったん全て埋まったかに見えましたが、連邦機関一部閉鎖のゴタゴタと重なってグッドフレンド理事の再承認はいまだ決まらず、リャン理事候補は辞退と再び2名の理事枠が空席となる可能性が出てきています。

ここで勘繰りたくなるのは、最近のトランプ大統領による引き締め政策批判とタカ派理事と理事候補の二人が抜ける可能性です。さらに地区連銀総裁もタカ派は1名しかいませんので、2019年のFOMCはメンバー全体の方向性がハト派寄り(タカ派3、中立3、ハト派5)となっています。

また、12月FOMC以降、今年の利上げ思惑は急速に後退していること、金曜にFRBのバランスシート縮小議論の停止観測記事なども出ていることから、今週のFOMCでは政策の方向性、バランスシート議論、そして外部要因も含めたリスク要因といったあたりが注目されます。ただ、12月の結果を見る限り利上げ思惑が復活するような動きは考えがたいと言えるでしょう。

そしてFOMCの結果を受けての雇用統計ですが、いい数字が出ても一時的な好材料となっても利上げ思惑に繋がることはないでしょうから、今週はどちらかと言えばドル売り方向にバイアスがかかりやすいと材料面では言えそうです。

次にテクニカルですが、日足チャートをご覧ください。

3日安値から順調に上げてきたところ、先週の110円トライで上値を抑えられ横方向のもみあいの動きになってきたことがわかります。また110円の大台は、12月下旬の戻り高値(111.41)と2018年高値(114.55)の2点から戻しのターゲットを計算した、78.6%(61.8%の平方根)戻しが110.02(青のターゲット)となっていて、いったん上昇局面が終了したチャートに見えます。

すると、今度は1月安値104.90と先週高値110.00からの押しを計算してみると、23.6%押しが108.80、38.2%押しが108.05となっていて、まずは108円台後半、動き次第では108円台前半もあり得ると考えることが出来そうです。今週も先週同様に108.50レベルをサポートに110.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

1月28日(月)
**:** シドニー市場休場
08:50 日銀会合(12月20日)議事要旨公表
17:45 オーストリア中銀総裁講演
23:00 ドラギECB総裁欧州議会証言
23:30 英中銀総裁講演
30:45 NZ12月貿易収支

1月29日(火)
09:30 豪州12月NAB企業景況感
16:45 フランス1月消費者信頼感
23:00 米国11月ケースシラー住宅価格指数
24:00 米国1月消費者信頼感
**:** 英国議会ブレグジット代替案採決
**:** FOMC(〜30日)

1月30日(水)
08:50 日銀会合(1月23日)主な意見公表
09:30 豪州10〜12月期CPI
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値
16:00 ドイツ2月GFK消費者信頼感
16:45 フランス12月PPI
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感確報値
22:00 ドイツ1月CPI速報値
22:15 米国1月ADP全国雇用者数
22:30 米国10〜12月期GDP速報値
24:00 米国12月住宅販売保留件数
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果発表
28:30 パウエルFRB議長会見

1月31日(木)
09:01 英国1月GFK消費者信頼感
09:30 豪州10〜12月期輸入物価指数
10:00 中国1月製造業PMI
16:00 トルコ12月貿易収支
16:45 フランス1月CPI速報値
17:55 ドイツ1月失業率
18:30 南ア12月PPI
19:00 ユーロ圏12月失業率
19:15 メルシュECB理事講演
21:00 南ア12月貿易収支
21:30 米国1月チャレンジャー人員削減予定数
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国12月個人所得・消費支出
22:30 米国10〜12月期雇用コスト指数
23:45 売国1月シカゴ購買部協会景気指数
25:00 ドイツ連銀総裁講演

2月1日(金)
08:30 本邦12月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州10〜12月期PPI
16:00 トルコ1月PMI
17:50 フランス1月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ1月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI改定値
18:30 英国1月製造業PMI
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値
22:30 米国1月雇用統計
23:45 米国1月製造業PMI改定値
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感確報値
24:00 米国1月ISM製造業景況指数
24:00 米国12月建設支出

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月21日(月)
週明けのドル円はメイ首相によるブレグジットの代替案待ち、しかもNY市場が休場となることもあってほとんど動かないままのNY市場入りとなりました。しかし代替案自体大きな変化が無かったこと、NY市場が休みということもあって、ドル円は1日を通してのレンジが25銭と動意無しのまま終わりました。

1月22日(火)
東京前場から株価の下げに引っ張られて円買いが先行してのスタートとなりました。その後NY市場まではもみあいを続けていましたが、米中通商協議で中国の提案を米国が拒否したとのニュースにダウが一段の下げとなると、ドル円は一時109.15レベルまで水準を切り下げ、その後やや戻して引けました。

1月23日(水)
ドル円は東京前場の株高の動きとともに上昇後は、日銀会合の結果も想定内だったこともありNY市場までは高値圏でのもみあいを続けていました。NY市場ではダウが荒っぽい動きとなり、前場に買いが先行すると一時110.00レベルの高値を見ましたが、その後の下げ局面では109.39レベルと東京前場に上げる前の水準へと下押し。引けにかけては株価回復とともに109円台半ばでの引けとなりました。

1月24日(木)
ドル円は終日方向感がはっきりせず、一日のレンジもわずか36銭と冴えない1日のまま終わりました。上下ともにオーダーが入っている中、連日似たような水準で取引が細ってきている様子でした。

1月25日(金)
ドル円は株価に沿った動きとなりNY市場まではじり高の展開を辿りました。しかし高値は109.95止まりと相変わらず110円台での重さを感じさせる中、株価の反転とともに円高へと転換。一時的にユーロ円の買いから反発する場面も見られたものの、引けにかけては109.46レベルと日中安値を更新しそのまま安値圏での引けとなりました。

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