<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、109円台での一進一退。明確な方向性に乏しく、週間を通した値幅も1円に満たない小変動にとどまっている。
週明けのドル/円市場は、109.65円前後でオープン。前週末に、「2度目の米朝首脳会談が2月末近くに開催」で決定したうえ、米政府機関閉鎖について「トランプ氏が壁建設のため妥協案提示も、民主党は拒否」とのニュースが観測されたものの、週明けの為替市場はNYが「キング牧師の生誕記念日」で実質休場になることもあり、大きな変動は見られなかった。
その後も、週間を通してレンジ取引を逸脱できず、109円台での揉み合いに終始。ちなみに、週間を通した値幅が1円未満にとどまったのは、昨年11月18日週(営業日は18-22日)以来のことだった。週末NYは、109円半ばで取引を終え、越週している。
一方、週間を通して注目された材料は、「米政府機関の閉鎖問題」と「米中貿易協議」について。
前者は、米下院のペロシ議長がトランプ大統領に対し、「政府が再開しないかぎり、下院議会で一般教書演説を行うための決議を行う考えはない」と日程の再延期を改めて提案したことに対し、トランプ氏が「一般教書演説が今年は行われないと表明」したうえで、「ペロシ下院議長が演説を中止させた」などと非難、様相がさらに混沌とした感を否めない。ただ、週末の最終盤にかけ、わずか3週間ながらトランプ氏が譲歩、「政府機関の一部閉鎖、解除する合意が成立」している。
対して後者は、英紙FTが「米中貿易交渉、中国提示の準備会合案を米国側が拒否」と報じ物議を醸すも、そののち米NEC委員長が「FT紙報道は事実でない」と否定したことでいったんは鎮静化。しかし、週末にかけてロス米商務長官から「米中貿易問題の解決にはほど遠い」との発言が聞かれるなど、モヤモヤは払拭しきれなかった。
そのほか、トランプ米大統領などの参加は見送られたものの、世界各国から要人の集まった「ダボス会議」における出席者などの発言が折につけ話題に。
<< 今週の見通し >>
年明け3日の早朝を除けば、以降はおおむね108-110円といったレンジを形成している感がうかがえるが、期間をさらに狭めた場合、たとえば先週の相場はというと109.14-110.00円という1円未満のボックス内にとどまっていた。中段保ち合いの様相で、レンジを上放れていくのか、それとも下放れるのか、次の方向性に要注意。ちなみに、仮に上抜けた場合には昨年11月高値114.23円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しは110.35円レベルがターゲット、逆に下抜けるようだと10日安値の107.77円が視界内に捉えられそうだ。
昨年の12月22日、予算が失効し一部の米政府機関が閉鎖していた事態は、1ヵ月強という時間を経て、先週末にようやく解消された。しかし、飽くまで3週間という時限的なものであり、またトランプ氏は「議会で合意できなければ、政府機関は再び閉鎖も」−−などと強気スタンスを崩していない。あまり楽観論に傾斜することは危険だろう。そうしたなか、今週は30-31日に米中貿易協議で中国側の統括担当を務める中国の劉副首相が、継続協議のため米国を訪問するとされ、関連事項に要注意か。進展があれば、110円突破に向けたドル高のトリガーとなる可能性もある。
テクニカルに見た場合、週足・一目均衡表では、先行帯の雲がドルのレジスタンスとなっているようだ。そんな一目の雲は先週109.65-110.05円レベルに位置し、今週もほぼ同レベルで推移する。引き続き攻防を注視したい。しっかりと突破すれば110.35円レベル、さらには移動平均の200日線が位置する111円台前半などがターゲットとなり、ドルの大幅続伸も。
一方、材料的に見た場合、1月の消費者信頼感指数や同雇用統計といった米経済指標の発表が予定されているほか、米企業決算発表も引き続き実施される見込みだ。
そのほか、米国ファクターでは「米中閣僚級通商協議」のほか、中止が見込まれていたトランプ米大統領による一般教書演説が政府機関の閉鎖解除により実施される可能性も取り沙汰されており、その行方も要注意だ。また、欧州においては29日に「英議会がEU離脱修正案などを審議」するとされ、一部から関心を集めている。
そんな今週のドル/円予想レンジは、108.50-110.50円。ドル高・円安については、心理抵抗であり、先週記録した年初来高値である110円の攻防にまずは注視。超えればフィボナッチの観点では110.35円レベル、さらには111円台前半などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値の109.14円が最初のサポートで。ただ、割り込んでも下方向のサポートは多く、底堅いイメージ。大崩れは予想しにくいかもしれない。(了)
オーダー/ポジション状況
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