ドル円113円台でのもみあいを継続(週報12月第1週)

先週のドル円は一時的に114円台に乗せる場面も見られましたが、パウエルFRB議長による早期利上げ終了思惑で高値から1円ほど下げ、週末前には

ドル円113円台でのもみあいを継続(週報12月第1週)

今週の週間見通し

先週のドル円は一時的に114円台に乗せる場面も見られましたが、その後はパウエルFRB議長による早期利上げ終了思惑で高値から1円ほど下げ、週末前には米中首脳会談に期待した買い戻しが出て113円台半ばで引けましたが、週間レンジも1円強に過ぎませんので、上下トライしても方向感出ず、という一週間であったと言えます。

この一週間で大きな材料となると、パウエルFRB議長による「中立金利に近い」という発言と、米国による対中制裁関税が90日猶予されたことです。

パウエル議長の発言以降も地区連銀総裁の中には更にハト派な発言も出ていますが、金曜のコラムで利上げ織り込み度について見た通りで、市場参加者のコンセンサスと言えるのは、12月19日の利上げはあり、現状の2.00〜2.25%から2.25〜2.50%になるというところまでです。ここから先は意見が分かれていますが、5月までは追加利上げが行われず、利上げが(2.50〜2.75%)と考える向きでは6月〜9月あたりに最後の利上げが行われるだろうというところがコンセンサスです。

しかし、来年中には追加利上げが行われないと見る向きも25%程度はいますし、今から来年の6月頃までには米国を取り囲む状況にも変化があるでしょうから、今月の利上げ以降はニュートラルでいたほうが良さそうな感じが高まってきています。この後の話とも関連がありますが、米中間の貿易摩擦が収まるかどうかは重要なキーとなってくるでしょう。

週末のG20では米国の反対で保護主義に関する声明は出ず、米国の保護主義政策に押される形になったとも言えそうですが、より注目が高かったのは米中首脳会談で、同会談では不均衡を是正する方向性が確認され、中国が構造改革を行う条件で制裁関税を90日間猶予するという内容でした。問題はこの構造改革で、知的財産権の問題を含め5分野で協議を行い合意できない場合には改めて関税を課すというものです。

今年に入ってからこれまでの期間、何も進展が見られなかったテーマが、今後90日間で合意に至るとはとても思えず、週明けの市場参加者はいったん猶予されたという点だけをもってリスクオンに動きました。しかし、時間ばかりが経過していき結局は制裁関税発動という動きになる可能性もかなり高いと考えざると得ず、積極的にリスクオンに動くという地合いではありません。

利上げ打ち止め感と米中間問題は先送りされただけということで、ドル円に関しては引き続きドルが買われる局面ではカウンターで売りという見方で良いと思います。チャートもご覧ください。

現在の大きな流れを見ると8月からのサポートラインと10月からのレジスタンスラインに挟まれたもみあいのパターン(ピンクの太線)になっていること、また比較的緩やかな10月からのサポートライン、やや急角度の11月後半のサポートラインもあり、どちらかと言えばサポートラインの方が目立っています。

ただ最後のサポートはやや急すぎるため、10月からのサポートとレジスタンスに挟まれたもみあいの中で、底堅い値動きにあるのが現段階と見てよさそうです。しかしながら、114円台半ばの強いレジスタンスはここ2年程続いていますし、10月も11月もトライして上がり切らずに高値を切り下げる動きとなっていることから、ドル高地合いを継続するには少なくともレジスタンスラインを抜け10月高値をトライする動きが必要です。

しかし、材料面で利上げ打ち止め感が広がってきていることや、米中間の協議が実際に進展するまではあまり楽観的でもいられないということを考えると、引き続き114円台は強いレジスタンスとして機能していると考えてよさそうです。またサポートラインは112円台後半を上昇中となると、今週も先週のレンジをなぞる展開と見てよさそうです。

経済指標は米国経済指標を筆頭に連日多くの数字が出てきますが、どれも方向感を変えるほどのものとはなりえず、今週も112.90レベルをサポートに114.10レベルをレジスタンスと113円台でのもみあいを継続する週を見ておこうと思います。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優12先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

12月3日(月)
09:30 豪州10月住宅建設許可件数
10:45 中国11月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ11月CPI
16:00 トルコ11月製造業PMI
17:50 フランス11月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ11月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI改定値
18:30 英国11月製造業PMI
23:45 米国11月製造業PMI改定値
24:00 米国11月ISM製造業景況指数
24:00 米国10月建設支出
27:00 (ダラス連銀総裁講演)
**:** ユーロ圏財務相会合(〜4日)

12月4日(火)
09:30 豪州7〜9月期経常収支
12:30 豪中銀政策金利発表
18:15 英中銀総裁議会証言
18:30 英国11月建設業PMI
18:30 南ア7〜9月期GDP
19:00 ユーロ圏10月PPI

12月5日(水)

*ブッシュ前大統領哀悼の日 米連邦政府機関閉鎖、米株式市場休場。
指標発表日にも変更あり

09:30 豪州7〜9月期GDP
10:45 中国11月MarkItサービス業PMI
17:50 フランス11月サービス業PMI改定値
17:55 ドイツ11月サービス業PMI改定値
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI改定値
18:30 英国11月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏10月小売売上高
24:00 カナダ中銀政策金利発表
24:30 週間原油在庫統計
28:00 ベージュブック

12月6日(木)
09:30 豪州10月貿易収支、小売売上高
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
21:30 米国11月チャレンジャー人員削減予定数
22:15 米国11月ADP全国雇用者数
22:30 米国7〜9月期非農業部門労働生産性改定値
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国10月貿易収支
23:45 米国11月サービス業PMI改定値
24:00 米国10月製造業新規受注
24:00 11月ISM非製造業景況指数(総合)
26:15 アトランタ連銀総裁講演
**:** OPEC総会

12月7日(金)
16:00 ドイツ10月鉱工業生産
16:45 フランス10月貿易収支、鉱工業生産
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値
22:30 米国11月雇用統計
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感速報値
24:00 米国10月卸売売上高
**:** ドイツCDU党首選

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

11月26日(月)
ドル円は寄り付きから大幅上昇を見せた日経平均に引っ張られてリスクオンの円売り、テクニカルにも先週高値を上抜けたことで新規のストップ買いが見られました。その後も底堅い動きを続けていましたが、NY市場に入りダウに買いが入ると一段高となり後場には113.65レベルの高値をつけ高値圏での引けとなりました。

11月27日(火)
ドル高の一日となりました。ドル円は朝方こそ株価とともに押す場面も見られましたが下げきれずその後はじり高、後場には前日高値をトライし底堅い地合いでの海外市場入りとなりました。また週末の米中首脳会談において貿易摩擦が緩和するとの思惑があるいっぽうで、会談が物別れとなった場合には新たな制裁関税を発動とのトランプ大統領の発言もあり、なかなか材料とはしにくい状況の中で、海外市場でのドル高の動きはユーロ安の影響が大きかったようでした。

11月28日(水)
ドル円はNY市場までは狭いレンジでの取引が続きましたが、NY市場に入りダウを中心に株式市場での買いがリスクオンの動きとなり昼前には114円台乗せの場面も見られました。しかしパウエルFRB議長が政策金利は中立金利をわずかに下回ると発言したことから、12月のFOMCでの利上げ以降は利上げが行われないかもしれないとの思惑も出て、NYダウは急騰するいっぽうで為替市場ではユーロドルを中心としてドル売りの動きとなりました。後場には113.44レベルの安値をつけ若干戻しての引けとなりました。

11月29日(木)
東京市場のドル円は前日のパウエル議長発言の余波からじり安の展開を辿り、海外市場でも上値の重たいもみあいが続いたことで、NY市場の朝方には113.19レベルの安値をつけました。しかし、週末の米中首脳会談で貿易摩擦緩和を検討といったヘッドラインから下げ止まり、東京朝方の水準に戻した後にやや押して引けましたが、値幅は40銭強と動意薄の一日でした。

11月30日(金)
金曜のドル円は月末ということもあって東京市場ではほとんど動意が見られないまま海外市場入りしました。欧州市場ではユーロドルの上値が重く、その動きに追随してドル円もじり高。米中首脳会談に対する期待もあって113.73レベルまで水準を切り上げた後にやや押しての引けとなりました。

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