今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、週初からこれまで2度反発した1.13を割り込んだことから1.1216レベルの安値を付けましたが、1.12台半ばがテクニカルなターゲットとなっていたことから達成感があったこと、またユーロの下げがドルインデックス(上場指数ベース)を大きく押し上げ、一時97.53にまで達したことから警戒感が広がったことも重なったと見られます。
またイタリアの予算案はEU側の回答がまだ先であること、ブレグジット案がまず英国の閣議で了承されたことから、いったん欧州内の悪材料が出尽くしたといった感じも広がったようです。ただ、これらの材料はどちらも結果待ちですが、これをもってユーロ買いには回れません。先週の動きはテクニカルな面が大きく、それにドル高警戒感が重なった故の動きと見てよいでしょう。
今週は経済指標にはあまり目立った材料がありませんし、ECB理事会の議事要旨公表や複数のECB理事による講演もありますが、サプライズは考えにくいところです。週後半は日米市場が日替わりで休場となることもあって、どちらかというとイベント経過、下値トライ終了後の踊り場でのもみあいになりやすいと考えられますが、テクニカルにはどうでしょうか。
ユーロドル日足チャートをご覧ください。
日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
まず、ピンクの平行線で示した下降チャンネルをご覧ください。上側のレジスタンスは前回のラインをそのまま残してありますが、9月高値と11月高値を結んだレジスタンスライン上で金曜の高値が止められました。また11月高値と先週の安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しが1.1439(青のターゲット)、9月高値と11月安値の38.2%戻しが1.1446(赤のターゲット)と戻しの限界点となりやすい水準で止まっていることも確認できます。
可能性として短期的な下値は見たものの、戻り高値もまた見た可能性があるのではないかという見方もできるわけです。そうなると、次はレジスタンスラインに平行ラインを引いた下降チャンネルと、11月高値から先週の11月安値への下げとその後の戻しを逆N波動と見ると78.6%エクスパンションが1.1198、100%エクスパンションが1.1138(それぞれピンクのターゲット)と一段の下げのターゲットを計算することが出来ます。
もちろん、この見通しは既に戻り高値をつけたことが前提となりますが、11月高値の1.15はいまだに強いレジスタンスですから同水準は抜ける可能性が低いでしょうから、仮に直近高値を抜けたとしても1.14台半ば止まりとなる可能性が高いのではないかと考えられます。一段の下げには欧州の悪材料に関して新たな悪化が無いと難しそうではあるものの、テクニカルには引き続き下降トレンドの中での動きを継続していると見た方がよいでしょう。
かなりテクニカルな観測ではありますが、今週は1.1250レベルをサポートに1.1450レベルをレジスタンスと戻り売りが出やすい一週間を見ておきます。
今週のコラム
今週はドルインデックスのチャートを見てみましょう。上場ドルインデックスはユーロのシェアが高いため、ユーロが下げるとドルインデックスも大きく上昇することとなり、先週は97台まで上げることとなりました。
先ほどのユーロドルのチャートと比較すると、ほぼ上下を反転させたチャートの形状となっていることがわかります。米国側としては現在の強いドルを好ましくない水準と考えていることは確かですが、テクニカルにはやはりピンクの平行線で示した上昇チャンネルの中でドル高の流れを継続していると見ざるを得ない状況です。
このドル高を止めるのがトランプ大統領の発言なのか、欧州の悪材料が一掃されてユーロ買いの動きとなるのか、あるいは米国の株が売られてのドル安か、なかなか微妙かつ危険な水準にいます。もし反転したらドル安の流れについて行けということは間違いないと思いますし、その時にはドル円でもドル安の相場となるのではないか、今週ではないと思いますが、タイミング的には着実に近づきつつあるイメージを描いています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
11月19日(月)
18:00 ユーロ圏9月経常収支
11月20日(火)
16:00 ドイツ10月PPI
11月21日(水)
(特になし)
11月22日(木)
**:** NY市場休場
16:45 フランス11月企業景況感
21:30 ECB理事会(10月25日)議事要旨公表
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値
26:00 メルシュECB理事講演
11月23日(金)
**:** 東京市場休場
**:** NY市場短縮取引
16:00 ドイツ7〜9月期GDP改定値
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値
21:00 デギンドスECB副総裁講演
前週のユーロレンジ
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
前週のユーロ
11月12日(月)
ユーロドルは、東京市場の午後3時頃までは動きが見られませんでしたが、欧州市場へ入る薄い時間帯に一気に1.13の大台を割りこみました。テクニカルに3度目のトライとなったこと、またオプションのバリアを抜けたことでストップオーダーが流れ込んだ結果ですが、ブレグジットやイタリア予算の悪材料も後押しする形でNY後場には1.1216レベルの安値をつけ、そのまま安値引けとなりました。
11月13日(火)
ユーロドルは前日に1.13の大台割れを見た達成感で短期筋の利食いが目立っていましたが、欧州市場後場に入りブレグジット協議の合意が視野に入ってきたとのニュースにポンド買いの動きとなり、その動きに追随する動きからユーロドルも一段の買いが入り、下抜けたラインの1.13水準目前まで上げて引けました。
11月14日(水)
ユーロドルは、NY市場に入るまではこれまでのサポートがレジスタンスとなり1.13台前半からはじり安の展開を辿りました。NY市場ではブレグジットに関して英国が当面EUの関税同盟に残留する案が閣議で了承されるかどうかを気にしつつ、神経質なポンドの動きに沿って上下はしましたが、最終的にブレグジット案が閣議で合意された点を好感し、ポンドとともに買い戻されての引けとなりました。
11月15日(木)
ユーロドルは、東京市場ではドル円同様にドル安・ユーロ高が先行しましたが、欧州市場に入り英国のEU離脱担当相が辞任したことからポンドが下げ、ユーロでも売りが目立ちました。しかし、欧州市場ではユーロ買いポンド売りのクロスが目立ったこともあってユーロは下げ止まり、その後もユーロポンドの買いがユーロクロス全般に波及、ユーロ円の買いも加わって引け間際には日中高値を更新、その後やや押しての引けとなりました。
11月16日(金)
ユーロドルは、欧州市場まではドル円の売りがユーロドルの買いにつながりましたが、欧州市場に入ると変化が見られない欧州の悪材料を懸念して東京寄り付きの水準まで押す動きとなりました。NY市場ではFRB関係者が世界景気の減速に言及したこともあってドル売りの動きの中でユーロ買いが目立ち、週末前のストップ買いも出て上値を伸ばし、1.14台前半へと上昇しての高値引けとなりました。
ディスクレーマー
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