ドル高基調継続するか、下値正念場に(11月第3週)

先週のドル/円相場は、終わってみればドルが急反落。週のザラ場ベースでは114.23円まで上昇し、年初来高値に接近する局面も見られたがドル買いは続かなかった。

ドル高基調継続するか、下値正念場に(11月第3週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、終わってみればドルが急反落。週のザラ場ベースでは114.23円まで上昇し、年初来高値に接近する局面も見られたがドル買いは続かなかった。

前週末に、「米中が閣僚級の外交・安保対話を実施」、「米露首脳が短時間会談するも中距離核戦力(INF)全廃条約は議論せず」−−といった報道が観測されたが、大勢に影響なし。ドル/円は113.80円前後と、前週末のNYクローズとほぼ同レベルで寄り付いた。
そののち、ドルは上昇し114円台を回復。週間高値である114.23円を示現したものの続かず、反落に転じると週末にかけては113円割れも。112.65円レベルまで下落し、やや小戻した112.80円前後で週末NYの取引を終え、越週している。
なお、それとは別にポンドが週間を通して乱高下。EU離脱交渉をめぐる様々な報道などを受けて一喜一憂する展開だった。また、為替以外ではビットコインキャッシュを中心に、仮想通貨が大荒れの様相を呈している。

一方、週間を通して注目された材料は、「各種の米国ファクター」と「英国情勢」について。
前者については、ペンス副大統領が来日したことを受けた日米貿易協議に関するニュースが幾つか伝えられるなか、週末にかけて米中貿易摩擦の激化が再び話題に。また、それとは別に「トランプ氏はニールセン国土安保長官の解任準備」、「ケリー首席補佐官と国土安全保障長官の交代検討」−−といった相次ぐ人事関連報道も思惑を呼んでいた。
対して後者は、週の初めに独メディアが「英のEU離脱省高官、近い将来の交渉合意を楽観と発言」と報じた反面、英首相から「離脱交渉は大詰めだが、かなりの未解決問題あり」との発言が聞かれるなど一筋縄でいかない状況に一喜一憂。ただ、週の後半になり「英、EU離脱の合意草案を閣議承認」と伝えられたことが好感されたものの、一方で「EU離脱草案に反発し英閣僚ら4人が辞任」したことが明らかになるなど、最後まで不安要因は払しょくできなかった。

<< 今週の見通し >>

先週は週のザラ場ベースで一時114円台を回復するなど、長い目で見た場合のリスクはドル高方向にバイアスがかかる、ドル高基調の継続を見込んでいたものの、週末にかけてまさかの113円割れ。週末のNYクローズも112円台となったことを受け、単なる調整ではなく基調の変化を疑う必要がありそうだ。ちなみに、日足・一目均衡表では微妙なところだが、週末の日足が先行帯の雲の上限をわずかながら割り込んできた感があるほか、10月安値111.38円を起点とした上げ幅の半値押し(112.80円レベル)も一時下回っている。テクニカル面では、ドルの続落にも注意を払いたい。

材料面で見た場合、引き続き日米あるいは米中を中心とした貿易問題をメインとした米国ファクターが注視されている。しかし、今年も残り1ヵ月強となり、徐々に年末・年始を意識した様々な需給要因が取り沙汰され始めているようだ。一例を挙げると、いわゆる「リパトリエーション(リパトリ=企業などが海外で得た資金を本国に送金する動き)」などがそれにあたり、13日付の日経新聞でもリパトリを取り上げたうえで「米大型減税、ドル高要因に」と指摘していた。また、それとは別に英国やイタリアを中心とした欧州関連のニュースの続報にも注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、10月高値かつ年初来高値である114.55円と、先週高値114.23円でダブルトップをつけた可能性があるなど、再びドル安方向のリスクが高まりつつある。前述したように、割り込んだか否か微妙なところである日足・一目均衡表の先行帯の雲の上限をめぐる攻防に引き続き注意したい。
ちなみに、そんな一目の雲の上限は、今週一週間を通して112円後半(112.80-95円)で推移。また、10月安値111.38円を起点としたフィボナッチでは、上げ幅の半値押しが112.80円レベル、同61.8%押しは112.45-50円となっている。

一方、材料的に見た場合、11月のNAHB住宅市場指数をはじめとする幾つかの米経済指標の発表が相次ぐほか、ウイリアムズNY連銀総裁の講演なども予定されており、それらは当然要注意。
そのほか、英国やイタリアを中心とした欧州情勢も波乱含みで、意外に気になるのは22日の米感謝祭による米国市場の休場と、それをにらんだ様々な需給要因。週末にかけては商いが薄くなるなか、荒っぽい価格変動をたどる可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、111.70-113.70円。ドル高・円安については、先週末に割り込んできた移動平均の25日線(先週末段階112.90-95円)がごく目先の抵抗。超えれば113円台回復、113.70円や114円レベルなどが視界内に捉えられそうだ。
対するドル安・円高方向は、まだしっかりと割り込めていない日足・一目均衡表の雲の上限をめぐる攻防に注視。割り込めば、フィボナッチ・ターゲットの112円半ば、そして一目・雲の下限が週を通して位置する112.15円レベルなどを目指す。それらを下回ると、いよいよ111円台突入も。

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