<< 東京市場の動き >>
30日の東京市場は、ドル高・円安。値幅そのものは決して大きくなかったが、夕方には112.70円台まで値を上げ、レンジ上限に接近する動きとなっている。
ドル/円相場は、寄り付いた112.30-35円を日中安値にドルがしっかり。当初はやや上げ渋りの感が見られたものの、前日比100円安で寄り付いた日経平均株価が、終わってみれば307円高となったことなどが好感され、リスク志向のドル買い・円売りが優勢となった。前日高値の112円半ばを超えると、112.70-75円まで値を上げている。16時時点でも、日中高値である112.70円前後で推移するなど、「寄り付き安・大引け」の様相でドルは強さを維持したまま、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米国ファクター」と「北朝鮮情勢」について。
前者については、「米政権、米軍5200人をメキシコ国境派遣へ」、米紙WSJによる「米国経済はピーク到達か、下り坂の兆候」との報道が思惑を呼ぶなか、トランプ米大統領から「対中貿易で素晴らしい取引を見込む」との発言が聞かれていたようだ。
後者も、米国のビーガン北朝鮮担当特別代表から「北朝鮮の非核化は達成可能」、訪露中の北朝鮮外務次官による「朝鮮半島の平和維持に貢献するロシアを高く評価」−−との発言が聞かれたほか、聯合ニュースが「米朝高官、来週に非核化協議実施か」と報じ、一時物議を醸していた。
<< 欧米市場の見通し >>
先週25日に112.67円を記録しレンジ上限ブレークをうかがうも失敗。その後、今度は逆に111.38円まで値を下げたが、やはりレンジブレークに失敗している。つまり、111-112円台のレンジ内での往来相場をたどる展開が続いてきたわけだが、本日の東京時間に112.70円台を記録し、再びレンジ上限超えを視野に入れた値動きをたどっている。「何度目の正直」になるのかよくわからないものの、ともかく足もとの勢いを維持したまま、レンジブレークが出来るのかどうかに関心が集まっている感を否めない。
材料面では、米中間選挙までいよいよカウントダウンが開始されるなか、様々な米国ファクターが注視されている。その最たるものは、やはり「貿易問題」だ。東京時間には前述したようにややポジティブなトランプ発言が聞かれたものの、前日のNYでは逆に「来月の米中首脳会談で貿易戦争を緩和できなければ、米国が12月初めまでに残るすべての中国からの輸入品に関税を課すと公表する準備を進めている」−−との報道が観測されていた。油断は禁物であるかもしれない。
テクニカルに見た場合、111-112円台での往来相場ではあるが、先週末26日に下放れを失敗したあとの、今度は上放れを視野に入れた展開となっている。似たような動きは、先週初めから短期的にみただけでも3-4度見られており、思わず「またかよ」と言いたくなるが、最後のチャンス(?)ということでドルのレンジ上放れにも一応注意しておきたい。
ちなみに、10月高値114.55円を起点とした下げ幅に対するフィボナッチで考えた場合の上値メドは、半値戻しにあたる113円前後、そして61.8%戻しの113.35円レベルなどとなる。
一方、材料的に見た場合、8月のS&Pケースシラー住宅価格指数や10月の消費者信頼感指数といった米経済指標の発表が予定されているほか、ファイザーやコカ・コーラなど注目の米企業決算もまだまだ続く見込みだ。それらは当然要注意。
そのほか、先でも指摘した米国関係でも気になる案件は少なくないが、依然として不安要素の多い欧州情勢にも引き続き注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、112.30-113.30円。ドル高・円安方向は、レンジ上限にあたる112.90円レベルで、抜ければ当然113円台回復が視野に。フィボナッチなどを参考にした113.35-40円が具体的なターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、112.20円レベルに弱いテクニカルポイントが存在しており、最初のサポートに。下回ると一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する111.70-75円が視界内に入ってくる。(了)
オーダー/ポジション状況
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