<< 東京市場の動き >>
週明け29日の東京市場は、レンジ取引。111円後半を中心とした30ポイント程度の狭い範囲内での一進一退に終始している。引き続き方向性は乏しかった。
週末にトランプ米大統領から「市場開放しないなら日本車に20%の関税を」との発言が聞かれたほか、実施されたドイツ・ヘッセン州選でも「メルケル与党が大敗見通し」と報じられるなか、東京市場がオープン。しかし、ドル/円だけでなくユーロ絡みの通貨ペアに対しても影響はさほどみられず、前週末のNYクローズと大差ないレベルで寄り付いている。
その後ドル/円は株価の動きに一喜一憂しつつも、基本的にはレンジ内。111円後半を中心とした30ポイント程度で一進一退をたどると、16時時点では111.90-95円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米貿易ファクター」と「週末に実施された幾つかの選挙結果」について。
前者については、前述したトランプ発言に続き、米通商代表部が「12月10日に対日貿易交渉で公聴会を開催」と発表したほか、米加協議については加駐米大使から「米との鉄鋼・アルミ関税問題は近く解決」との発言、また米中に対し日経新聞が「中国国家主席、安倍首相との会談で米との貿易交渉に強い不満示す」、ブルームバーグは「来月実施の米中首脳会談、貿易問題を除外か」−−などと報じていた。
後者も、先で指摘した「独ヘッセン州議会選でメルケル与党が大敗見通し」となり、それを受けてドイツ独連立与党党首から「連立離脱示唆発言」も聞かれていたようだ。続報に要注意か。また、それとは別に実施されたブラジル大統領選では「極右のボウソナロ氏が当確」と伝えられている。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末に一時111.38円まで下落し、直近安値を更新したが抜け切れず。NYクローズでは111.80円レベルと従来のレンジに回帰しただけでなく、本日の東京時間も112円挟みとその流れを継いだ展開となった。つまり、再三再四指摘している今年の相場の特徴である「いったんレンジを抜けるも、結局元のレンジの回帰する」−−値動きを今回もたどっている感を否めない。そんな112円台を中心としたレンジ取引が目先は続く公算が大きいものの、すでに半月以上の時間を経過しており、そろそろ保ち合い放れを警戒する声も聞かれ始めている。本格的なレンジブレークに向けた動きにも一応要注意。
材料面では、米中間選挙までいよいよカウントダウンが開始されるなか、様々な米国ファクターが注視されている。その最たるものは、やはり「貿易問題」だが、それ以外でも「サウジ人記者殺害事件」や「中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄方針」、「メキシコ国境警備」に絡む問題などへの関心も高い。また、米国以外では地方選で2連敗を喫したドイツ情勢、メルケル政権の行方を相場の波乱要因として挙げる声も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、11日以降に形成していた111.60-112.90円のレンジを先週末に下放れたが、結局元の木阿弥、レンジを20ポイント程度広げただけで、足もとは再びレンジ取引の様相を呈している。
そうしたなか、日足の一目均衡表では、本日以降雲の上限が上値をドンドンと切り上げてくるようだ。ちなみに、本日は111.65-70円に位置するが、明日は111.70-75円、そして週内に112円まで到達してくる。一連の過程のなか、一目の雲をめぐる動きに注意を払いたい。
一方、材料的に見た場合、9月のPCEデフレーターや10月のダラス連銀製造業活動指数といった米経済指標の発表や、エバンス・シカゴ連銀総裁による講演などが実施される見込みとなっている。それらは当然要注意。
そのほか米国関係でも気になる案件は少なくないが、イタリアや英国に加え、ドイツも不安要因に加わった欧州情勢はやはり気掛かり。欧州通貨主導の荒れ相場への備えが必要かもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.40-112.40円。ドル高・円安方向は、112.20円レベルに弱い抵抗が位置しており、攻防を注視。ただ、上抜けても112.60円レベルから抵抗は多く、113円はなかなか遠そうだ。
対するドル安・円高方向は、111.70円レベルに弱いテクニカルポイントが存在しており、最初のサポートに。下回ると一目均衡表の先行帯の雲が位置する111.45-70円レベルがターゲットに。(了)
オーダー/ポジション状況
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