リスクは依然として円高(週報10月第5週)

前週と同じですが、先週もドル円は株式市場に沿った動きとなり、週初から上下をしながらもリスクオフの円買いが目立ちました。

リスクは依然として円高(週報10月第5週)

今週の週間見通し

前週と同じですが、先週もドル円は株式市場に沿った動きとなり、週初から上下をしながらもリスクオフの円買いが目立ちました。金曜にダウが下げる場面では一時111円台前半までドル安・円高が進みましたが、ダウが乱高下する動きの中で週末前のポジション調整も加わって111円台後半での週明けとなっています。

最近のドル円は明らかに株式市場を見ながらのリスクオン・リスクオフが相場を動かす主要因となっていますので、株式市場、特にNYダウの動向如何で今後の動きも決まってくると言えそうです。さらに今のところ為替市場に影響は見られませんが週末にトランプ大統領が日本車への20%の追加関税について言及していて、中間選挙に向け日米通商交渉への圧力を強める可能性があります。これも少なくとも日本株にとっては悪材料ですし、日本側は拒否の姿勢を見せている為替条項についても何か言ってくる可能性も否定できず、基本的にリスクオフ方向への動きに今週も反応しやすいと言えるでしょう。

今週の材料としては日銀会合、米国雇用統計等、連日イベントが豊富ですが、流れを決定づけるような材料はありません。リスクオフに傾きやすいトレンドの中で、円高方向の材料により反応しやすいといった以上の影響は無いものと見ています。話を戻して、すでにかなり下げてきている日米の主要株価指数が今後どうなるかですが、中間選挙を前にして材料的には悩ましい時期です。そこで、今回はテクニカルな観点から見てみましょう。

以下のチャートは、シカゴGLOBEXの株価指数先物の日足です。FX市場と絡めて考える場合、原市場の指数を見るよりも23時間取引が行われていてFXの24時間市場とも密接な動きをする指数先物の方が使い勝手がよいと思います。

今週の週間見通し

シカゴGLOBEXの株価指数先物の日足

それぞれ年初来安値(NYダウは2月、日経平均は3月)から10月初めに年初来高値をつけ折り返していますが、下げが目立つNYダウ以上に日経平均のほうが下げていることがわかります。

NYダウは61.8%押しの水準にいますが、日経平均は78.6%(61.8%の平方根)押しの水準にあり、年初来安値までの値幅もそれほど大きくありません。これまでの上昇の流れの中で一般的な投資家はほぼ買いで入っていると思いますが、シカゴの大口非商業部門(いわゆる投機筋と呼ばれる部分です)は既に日経平均では売り越し状態となっています。気になるのはNYダウは減ってきてはいるもののいまだ買い越しであり、テクニカルには日経平均同様に78.6%押し水準の24,000ドル割れ水準まで続落してもおかしくはないと考えられるところです。


仮にNYダウが続落すると日経平均も無傷ではいられず年初来安値を伺うような展開も考えておく必要があるのではないか、株価指数を見ているとそのような考えが出てきますので、そうなると円相場も円高、大台110円を試すような流れがあるのではないか、そのような考えに落ち着いてきます。今すぐではないかもしれませんが、株価指数が一段安となる動きには注意しておきましょう。

ドル円の日足チャートもご覧ください。

前回引いたサポートライン(ピンク)を下抜け、そこまでの2週間(ローソク足10本)の形がフラッグ(平行四辺形、上側のピンクのラインと併せ)になっています。フラッグは短期的な踊り場パターンでそれ以前のトレンド(下げ)を再開するパターンです。そこで10月高値を起点に逆N波動を考えると、金曜の安値が50%エクスパンション、61.8%エクスパンションが111円レベル、100%エクスパンションが110円レベルとなっていることがわかります(すべて青のターゲット)。今後のシナリオとしては、テクニカルにも依然として円高リスクが高いと考えられます。

今週は上記61.8%エクスパンションとなる111.00レベルをサポートに、抜けたサポートはレジスタンスとなりやすいことから112.25レベルをレジスタンスと、もみあいながらもドル安・円高方向に余裕のあるレンジを見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

10月29日(月)
**:** 欧州・英国が冬時間
**:** トルコ休場
21:30 米国9月個人所得・消費支出
22:45 (シカゴ連銀総裁講演)

10月30日(火)
**:** 日銀会合(〜31日)
08:30 本邦9月失業率・有効求人倍率
09:30 豪州9月住宅建設許可件数
15:30 フランス7〜9月期GDP速報値
16:45 フランス9月消費支出
17:55 ドイツ10月失業率
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感確報値
22:00 ドイツ10月CPI速報値
22:00 米国8月ケースシラー住宅価格指数
23:00 米国10月消費者信頼感

10月31日(水)
06:45 NZ9月住宅建設許可件数
09:00 NZ10月企業信頼感
09:01 英国10月GFK消費者信頼感
09:30 豪州7〜9月期CPI
10:00 中国10月製造業PMI
**:** 日銀会合結果発表
15:00 ドイツ9月小売売上高
15:30 黒田日銀総裁会見
16:00 トルコ9月貿易収支
16:45 フランス10月CPI速報値
18:00 オーストリア中銀総裁講演
18:30 イタリア中銀総裁講演
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値
19:00 ユーロ圏9月失業率
21:00 南ア9月貿易収支
21:15 米国10月ADP全国雇用者数
22:45 米国10月シカゴ購買部協会景気指数
23:30 原油週間在庫統計

11月1日(木)
09:30 豪州9月貿易収支
10:45 中国10月MarkIt製造業PMI
18:30 英国10月製造業PMI
20:30 米国10月チャレンジャー人員削減予定数
21:00 英中銀MPC、四半期インフレ報告
21:30 英中銀総裁会見
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国7〜9月期単位労働工スト速報値
22:45 米国10月製造業PMI
23:00 米国10月ISM製造業景況指数
23:00 米国9月建設支出

11月2日(金)
09:30 豪州7〜9月期PPI、小売売上高
16:00 ドイツ9月輸入物価指数
17:50 フランス10月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ10月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI改定値
18:30 英国10月建設業PMI
21:30 米国10月雇用統計
21:30 米国9月貿易収支

11月4日(日)
 **:** 米国冬時間に移行

前週の主要レート(週間レンジ)

        始値   高値    安値    終値

ドル円    112.46  112.89  111.38   111.89
ユーロ円   129.45  130.20   126.64  127.58
ユーロドル  1.1511   1.1550  1.1336  1.1402
日経平均   22374.21 22672.25 20971.93 21184.60

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。


前週の概況

10月22日(月)
 ドル円は朝方から強い株価をにらみながらじり高の展開を辿りました。後場に入り前週高値を上抜ける動きから上値を試しやすい地合いの中、欧州市場以降はユーロ売りの動きも手伝ってNY市場では112.89レベルまで水準を切り上げました。ただ、113円台ではドル売りオーダーが見えたこと、またNYダウが上値の重たい動きとなったこともあって引けにかけては高値圏で上値の重たいもみあいのままの引けとなりました。

10月23日(火)
 ドル円は日経平均株価が朝方から急速に値を下げる動きに沿って円高の流れを継続しました。円高の動きはNY前場まで続き、ドル円は一時111.95レベルの安値をつけました。その後昼前にNYダウが反転上昇の動きとなり日経平均も夜間取引で上昇、ドル円も引けにかけては112円台半ばまで戻しての引けとなりました。

10月24日(水)
 ドル円は前日の流れを継続しNY市場の朝方まで上昇を続けましたが、その後は上げた分を全て失う完全に行って来いの動きとなりました。上昇局面では前日に112円割れではドル買いが見られたこと、またユーロドルでのユーロの上値が重さから全般的なドル買いの動きとなっていました。しかし、NY市場に入りそれまで目立った動きの見られなかった主要株価指数が下げ始め、NYダウが引け間際に前日安値を下抜け600ドルを超える大幅安となったことからドル円は112円目前の水準まで下げての引けとなりました。

10月25日(木)
 ドル円は朝方こそ前日NY市場の流れを継続して売りが先行、一時111.82レベルの安値をつけましたが、依然として111円台ではドル買いオーダが残っていた様子ですぐに112円台へと戻す動きを見せました。その後もドル円は底堅く欧州市場に入るとECB理事会を前にユーロ円での買い戻しも加わってじり高、株式市場も落ち着きを取り戻しNYダウ、日経平均とも先物夜間市場で買い戻される動きとともに112.68レベルまで上昇後に引けにかけてはやや押す動きとなりました。

10月26日(金)
 ドル円は株価の下落とともに売りが先行してのスタート、日経平均株価が前日安値を下回るとリスクオフの円買いが目立つ展開となりました。海外市場に移り112円を割り込む流れではNY朝方に発表されたGDPが強かったことから一時買い戻しは出たものの、その後はダウが急落する動きとそれに追随する日経先物の夜間取引の動きからドル円は続落。一時111.38レベルの安値をつけましたが、ダウが一気に日中高値を上回りドル円もNY朝方の水準まで反転上昇、引けにかけては改めて株価がさえない動きとなり111円台後半での引けと荒っぽい週末クローズとなりました。

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