ドルの下値余地拡大か、続落に注意(週報10月第5週)

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。米株を中心とした株価の動きに一喜一憂しつつ、

ドルの下値余地拡大か、続落に注意(週報10月第5週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル安・円高。米株を中心とした株価の動きに一喜一憂しつつ、そのNYダウが終わってみれば週間を通して1000ドルを超える下げ幅をたどったことなどが嫌気されていた。

前週末に「米国がロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約破棄」を表明、そして「トルコにおける記者失踪事件」について、「記者の死亡が明らかになる」−−といった出来事があったが、為替市場への影響は限定的。ドル/円相場は、前週末のNYクローズと大差ない112円半ばで寄り付いた。
その後は株価の動きをにらみ一喜一憂しつつも、基本的には112円台での値動き。しかし、週末に112円レベルを「しっかり」割り込むと、一時111.30円台まで下落し、直近安値を更新する局面も観測されている。その前後で取引を終え越週となった。
なお、そうしたなか欧州通貨が総じて荒っぽい変動をたどったが、なかでもポンドが冴えない。対円では週初の高値147円半ばから142.70円台まで、5円近くも値を下げている。

一方、週間を通して注目された材料は、「サウジ記者失踪事件」と、米要人などに対する「不審物送付騒動」について。
前者である「トルコにおける記者失踪事件」は、前述したように「サウジ当局は記者の死亡認める」も「殺害は否定」、また「皇太子の関与も否定」していたが、徐々に状況が明らかになるなか、当初は「サウジ政府の説明は信用できる」と述べていたトランプ米大統領からも、「史上最悪のもみ消しだ」と非難するコメントが聞かれたうえ、制裁措置発動を示唆する発言も確認されている。

対して後者は、当初「オバマ、クリントン両氏に爆発物が届いた」と伝えられたことに続き、「CNN支局にも不審物」「バイデン前米副大統領宛てにも不審小包届く」−−といったように類似事件は合計13件発生したことが明らかとなった。なお、不審物送付先の多くがトランプ米大統領と対峙する先であったことから、大統領についての批判も聞かれ、それに対してトランプ氏から「絶え間ない敵意や誤った攻撃をやめよ」などといった不満を表明する一面もあったようだ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場、東京終了時点で価格変動はわずか1.10円ほど。具体的には111.80-112.90円といったレンジであり、しかも多くが112円台での取引にとどまっていたが、その後の欧米時間にレンジ下限を割り込み111.38円まで下値を広げている。これには、NYダウが週間を通して1000ドルを超える下げ幅をたどるなど、世界的な株安などが寄与していることは確かだが、ともかく為替市場においてはリスク回避のともなうドルの下値余地が広がった感は否めない。ちなみに、ザラ場ベースとは言え、これまでのドル安値111.63円を下回ったことで、次のターゲットは110.90円レベルか。これは、8月安値109.77円を起点とした上げ幅の76.4%戻しになる。
材料面では、残り2週間を切った中間選挙をにらみ米貿易問題についての懸念が依然としてくすぶっているほか、「INF全廃条約破棄」や「サウジ人記者死亡事件」など、注目の米国ファクターも少なくないようだ。また、イタリアや英国を中心とした欧州情勢にも引き続き要注意。前述したように、先週もっとも動いた通貨はポンドだったが、英国の動き如何では今週もポンドが相場変動の主役となる可能性を否定出来ない。

テクニカルに見た場合、まだ「しっかり」と割り込んだわけではないが、11日以降、2週間程度続いていた111.60-112.90円のレンジ下限割れをうかがう様相を呈している。再三再四指摘しているように、今年の相場は「ダマシ」が多く、レンジを抜けたように見せかけるも結局元のレンジに回帰する、という展開が少なくないが、チャートを素直に見ればやはりリスクはドル安・円高にバイアスがかかりそう。
ちなみに、そんなドルの下値メドは、フィボナッチの観点から見た110.90円レベルや、移動平均の52週線が位置する110.40円前後などがターゲットなどとなる。

一方、材料的に見た場合、週末に発表される10月の雇用統計を中心に、重要な米経済指標の発表が相次ぐほか、10月の製造業PMIなど同様に発表される中国の経済指標を警戒する声も少なくないようだ。
そのほかでは、「INF全廃条約破棄」や「サウジ人記者死亡事件」あるいは「イラン再制裁発動」といった米国ファクターで気になる要因も多いうえ、イタリアの財政問題・予算案をめぐる動きや英国のEU離脱問題をはじめとする欧州情勢も波乱要因として引き続き注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、110.50-112.80円。ドル高・円安については、先週末NY高値の112.65-70円が最初の抵抗。ただ、抜けても112円後半に抵抗は多く、113円台は意外に遠い存在であるのかもしれない。
対するドル安・円高方向は、先週記録した週間安値の111.38円の攻防が注視され、割り込めばフィボナッチで見た110.90円や、52週線が位置する110.40円レベルなどがターゲットに。(了)

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