ドル円世界連鎖株安不安継続による円高(10月第5週)

今週もドル円は株安を気にしながらの展開が続いた。

ドル円世界連鎖株安不安継続による円高(10月第5週)

【概況】

先週もドル円は株安を気にしながらの展開が続いた。10月2日に日経平均が1月高値を超えてから下落に転じ、10月3日にNYダウが史上最高値を更新してから失速、10月8日に上海株が崩れて10月11日には世界連鎖株安へ進んだが、ドル円は10月4日に114.54円の高値を付けてから株安に同調して下落に入り、10月15日には111.62円の安値を付けた。株暴落の一服とドル高でやや戻したものの10月22日の戻り高値112.88円ではその前の下落幅に対する半値戻し113.08円に届かずに再び失速し、10月26日夜には111.37円まで安値を切り下げた。
10月26日夜はNYダウが一時は500ドルを超える下げだったところを296ドル安まで下げ幅を削ったために111.84円まで戻し、日足はやや長い下ヒゲを付けた。

【104日移動平均に到達】

10月4日から10月26日への下落は二段下げ型、下げ幅は3.17円。104日移動平均まで下げたところだ。3月26日以降の上昇トレンドにおける下落としては5月21日から5月29日への下落が3.27円、7月19日から8月21日への下落が3.38円であり、いずれも104日移動平均に到達して底をつけている。今回も今のところはそれらと同レベルの下げといえる。また3月26日と8月21日の安値を結ぶ上昇トレンド支持線に対しては26日の下ヒゲで割り込んでいるものの切り返しているので、支持線の徳俵に足がかかった状況といえる。
このため、10月29日以降への上昇で26日の下ヒゲ部分をつぶさずに推移すれば、5月や8月への調整安レベルで今回も留まる可能性はあるだろう。10月最終週は日銀金融政策や米雇用統計等もありそれらがドル高円安要因となれば可能性はあるだろう、しかし26日の下ヒゲをつぶし、さらに安値を更新してくる場合は5月や8月の調整レベルを超えた下落期入りという印象が強まると思われる。重要な岐路に来ていると考えるところだ。

ドル円は概ね10か月から1年周期のサイクルで天井・大底を付けるリズムで推移している。このサイクルの天井は2016年12月15日天井、11か月目の2017年11月6日であり、そこから11か月を経過したのが今年10月4日高値となる。大底は2015年8月24日安値、2016年6月24日安値、2017年4月17日安値、2018年3月26日安値である。仮に今年10月4日高値がこのサイクルの天井となる場合、次にサイクルが底を形成する時期は今年3月26日安値を基準として2019年1月から3月ないし4月と想定される。10月26日安値を割り込む場合はその可能性も高まると思われる。

【株安の深刻さ】

NYダウは週明け22日に126.93ドル安、23日に125.98ドル安、24日には608.01ドル安と下げて10月11日安値を割り込んで二段下げへ発展している。25日は401.13ドル高と戻したが26日は296.24ドルと下げた。一時はIT企業業績が予想を下回ったとして500ドルを超える大幅下落で10月3日天井以降の安値を更新したが終盤や下げ幅を縮小した。
日経平均も23日に604.04円安、25日には822.45円安と大幅下落して10月2日天井からの下げ幅は3476.14円安と拡大し、1月天井から3月26日までの3781.85円安に迫っているが、下落角度は2月序盤の下落時を超えている。
これらはまだ今年1月天井から2月ないし3月への下落幅並みではあるが、ハイテク株中心の米ナスダック総合株価指数は26日安値で7057.0ポイントまで下げており、8月末天井からの下落幅は1076.3ポイントに達し、2月急落時の875.1ポイントを超える規模となった。

日経平均の10月の月間足は26日時点で前月比2935.44円安だが、月間足で前月比2000円を超える大陰線というのは過去を振り返っても1987年ブラックマンデーでの2681円安、昭和バブル崩壊開始時の1990年1月の1726円安と2月の2596円安、ITバブル崩壊時の2000年4月の2363円安、リーマンショック最中の2008年10月2682円安等であり、今月はそれらに匹敵するだけの強烈な大陰線であることを認識すべきだろう。

米連銀の利上げによる新興国への投資マネー逆流、米中貿易戦争を中心とした保護主義の悪影響が米国一人勝ちの状況を超え始めたため、一極集中的な米国株高が崩れ始めた。株安が市場の不安心理を示すVIX(恐怖)指数を上昇させてそれがまた株安不安をさらに掻き立てる負の連鎖も見られるが、10月11日への株安時点では2月序盤急落時のVIX上昇程ではなかったものの、10月17日へいったん下げたVIX指数は10月11日の高値に迫っており、VIX指数の動きが一段の単発上昇ではなく二段上げ型に発展しつつあることも世界連鎖株安の拡大性を示していると思われる。

【当面のポイント】

株安が深刻さを増す場合、逆にひとまず落ち着いて楽観を回復する場合、米中貿易戦争やサウジ情勢の悪化ないしは解決、米雇用統計等重要指標反応、日銀金融政策決定会合及び黒田総裁会見等、市場動向を左右するイベントや報道も続いてゆくが、10月26日安値を割り込んでゆくのか、いったん踏みとどまるのかを見定める月末月初となりそうだ。

【概況】

(1)10月26日安値を割り込む場合、10月4日高値からの下落継続、3月からの上昇トレンド支持線からの転落により円高ドル安がさらに発展する可能性が高まるとみる。その場合、まず10月22日への戻り幅の倍返しで110.36円、10月4日から10月15日への下げ幅を22日高値から差し引いた109.96円、8月21日安値109.77円等のある110円前後試しへ進みやすくなるとみる。また先行きは1年サイクルレベルの下落として108円前後、107円前後へと段階的に下値目途が切り下がってゆく可能性が考えられる。
(2)10月26日安値更新へ進まずに26日未明高値112.67円を超えるところまで戻せば、10月22日からの高値切り下がりパターンを破る上昇となるので上昇再開の可能性が高まり、22日高値112.88円を超えれば113円台への続伸期待と考えるが、逆に言えば26日未明高値超えへ進めないうちは一段安懸念が優先されると思われる。(了)<28日19:40執筆>

【当面の主な予定】

10/29(月)
休場 トルコ
08:50 (日) 9月 小売業販売額 前年同月比 (8月 2.7%、予想 1.6%)
21:30 (米) 9月 個人消費 前月比 (8月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
22:45 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演

10/30(火)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
08:30 (日) 9月 失業率 (8月 2.4%、予想 2.4%)
08:30 (日) 9月 有効求人倍率 (8月 1.63、予想 1.63)
09:30 (豪) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 -9.4%、予想 3.8%)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 5.1%、予想 5.1%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP、速報値 前期比 (前期 0.4%、予想 0.4%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP、速報値 前年同期比 (前期 2.1%、予想 1.8%)
19:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 110.9、予想 110.0)
19:00 (欧) 10月 消費者信頼感 確定値 (速報 -2.7、予想 -2.7)
22:00 (独) 10月 消費者物価指数 速報値 前月比 (9月 0.4%、予想 0.1%)
22:00 (米) 8月 ケース・シラー住宅価格指数 前年同月比 (7月 5.9%、予想 5.8%)
23:00 (米) 10月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (9月 138.4、予想 135.9)

10/31(水)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、2日目 金融政策発表
未 定 (日) 日銀展望レポート
06:45 (NZ) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 7.8%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産 速報値 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.3%)
09:00 (NZ) 10月 NBNZ企業信頼感 (9月 -38.3)
09:01 (英) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -9、予想 -10)
09:30 (豪) 7-9月期 消費者物価 前期比 (前期 0.4%、予想 0.5%)
09:30 (豪) 7-9月期 消費者物価 前年同期比 (前期 2.1%、予想 1.9%)
10:00 (中) 10月 国家統計局製造業PMI (9月 50.8、予想 50.9)

14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (8月 1.6%、予想 -0.6%)
15:00 (独) 9月 小売売上高指数 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.5%)
15:00 (独) 9月 小売売上高指数 前年同月比 (8月 1.6%、予想 1.0%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 8.1%、予想 8.1%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価指数・HICP 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.1%)
21:15 (米) 10月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (9月 23.0万人、予想 18.9万人)
21:30 (米) 7-9月期 四半期雇用コスト指数 前期比 (前期 0.6%、予想 0.7%)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 60.4、予想 60.3)

11/1(木)
09:30 (豪) 9月 貿易収支 (8月 16.04億豪ドル)
10:45 (中) 10月 財新製造業PMI (9月 50.0)
18:30 (英) 10月 製造業PMI (9月 53.8、予想 53.1)
21:00 (英) イングランド銀行(BOE)金利発表 (現行 0.75%、予想 0.75%)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨、物価報告
21:30 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、発言
21:30 (米) 7-9月期 四半期非農業部門労働生産性 前期比 (前期 2.9%、予想 1.8%)
21:30 (米) 7-9月期 四半期単位労働コスト 前期比年率 (前期 -1.0%、予想 1.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.5万件、予想
23:00 (米) 9月 建設支出 前月比 (8月 0.1%、予想 0.0%)
23:00 (米) 10月 ISM製造業景況指数 (9月 59.8、予想 59.5)

11/2(金)
休場 メキシコ
08:50 (日) 10月 マネタリーベース 前年同月比 (9月 5.9%)
09:30 (豪) 7-9月期 四半期生産者物価指数 前期比 (前期 0.3%)
09:30 (豪) 7-9月期 四半期生産者物価指数 前年同期比 (前期 1.5%)
09:30 (豪) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%)
17:55 (独) 10月 製造業PMI、改定値 (速報 52.3)
18:00 (欧) 10月 製造業PMI、改定値 (速報 52.1)
21:30 (米) 9月 貿易収支 (8月 -532億ドル、予想 -520億ドル)
21:30 (米) 10月 非農業部門就業者数 前月比 (9月 13.4万人、予想 18.9万人)
21:30 (米) 10月 失業率 (9月 3.7%、予想 3.7%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前年同月比 (9月 2.8%、予想 3.1%)
23:00 (米) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 2.3%、予想 -0.3%)

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