ドル高基調継続も、目先上値は重そう(週報10月第2週)

先週のドル/円相場は、一時ドル高に振れるも終わってみれば「行って来い」。週足はやや目立つ上ヒゲを残した十字線で大引けている。

ドル高基調継続も、目先上値は重そう(週報10月第2週)

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先週のドル/円相場は、一時ドル高に振れるも終わってみれば「行って来い」。週足はやや目立つ上ヒゲを残した十字線で大引けている。

前週末にそれほど大きな材料がなかったこともあり、ドル/円相場は、前週末のNYクローズと大差ない113.70円前後で寄り付いた。そののち、しばらくは寄り付きを挟んでのレンジ取引、113.50-114.00円程度の揉み合いが続くも、週の半ばに上放れすると週間高値の114.55円まで値を上げている。
しかし、昨年11月高値114.74円を前に上げ渋ると、週末にかけてドルは軟落。注目された9月の米雇用統計は前月分が大幅上方修正されたものの、当月分は予想を大きく下回る結果となり、やや失望を誘う内容だった。結局、週間安値の113円半ばまで値を下げ、小戻した113.70円前後で週末NYの取引を終え越週している。

一方、週間を通して注目された材料は、「米中間の抗争」について。
週初に貿易面の問題として、米紙NYタイムズが「中国、米国とのハイレベル安保協議取りやめ」と指摘するなか、トランプ大統領からも「中国との通商協議は時期尚早」とのコメントが聞かれていた。そののち、カドロー米NEC委員長から「12月に米中貿易協議再開の可能性」との発言があったものの、マーケットの不安感はくすぶることに。また、貿易面とは別に、週末にかけて「米副大統領が中間選挙に向けた中国の内政干渉を非難」した反面、中国サイドは即座に「ペンス米副大統領の演説は不当な非難」と反論するなど、対立がますます先鋭化されつつある感も否めない。
また、それ以外では「米国防総省、そしてトランプ氏宛てに猛毒物付着とみられる不審な郵便物届く」や「トランプ米大統領に脱税疑惑発覚」といった報道、安倍改造内閣の閣僚人事発表なども、その時々で材料視されていたようだ。

<< 今週の見通し >>

大きな流れ、ドル高基調に依然として変化は見られない。先週記録した年初来高値の114.55円、あるいは昨年11月高値114.74円を超えれば、いよいよ115円到達が現実味を増してくる。ただ、9月7日安値110.38円を起点と考えても、約1ヵ月のあいだに4円を超える上昇をたどっているだけでなく、調整らしい調整が一度も観測されてこなかったのだが、足もとの動きはその調整がようやく訪れている可能性もありそうだ。つまり、ドル高基調は継続するにせよ、短期的にはいま一段の調整が入っても不思議はないのかもしれない。単純に上げ幅の半値程度の押し、と考えると下値メドは112円半ばか。そういったドルの下押しを経て再び上値トライを見込む声が優勢だ。

材料的には、米中そして日米を中心とした貿易戦争懸念が、依然として潜在的なリスク要因として指摘されるなか、発表される米経済指標はなかなか良好なものが多く、それそのものはドルの支援要因か。ただ、気になるのは米株の動き。NYダウは3日にザラ場ベースで史上最高値を更新するもチャートは陰線引け、そして翌4日、週末5日と続落している。もともと、かねてから「バブル」懸念などが指摘されてきただけに、仮に今後も冴えない値動きが続くなら、為替市場においてもドル高の足かせ要因となりかねないだろう。

テクニカルに見た場合、前述したように「先週の週足はやや目立つ上ヒゲを残した十字線」となった。積極的にドルを売り込むほどではないが、チャート的には、上値を積極的に買いにくい形状と言えそうだ。週間を通してドルの上値は重いのかもしれない。
もちろん、先週記録した年初来高値114.55円を超えれば、114.74円そして115円台が見えてくる。しかし、ドル上値トライの前に調整が入る格好でまずは下押し、そして一巡後に改めてドルは上値トライとなる可能性もある。

一方、材料的に見た場合、9月の消費者物価指数や10月のミシガン大消費者信頼感指数速報値といった米経済指標が発表されるほか、米財務省による10年債や30年債の入札、米地区連銀総裁などの講演など、注目要因が目白押しだ。
また、国慶節にともなう休暇を終えた中国勢の動きならびに、発表が相次ぐ中国経済指標の中身、あるいは「米国務長官のアジア歴訪」、週末にかけてインドネシアで実施される「G20財務相・中銀総裁会議」、そして先週からの引き継ぎ事項である「英国やイタリアを中心とした欧州ファクター」などにも一応注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、112.70-114.70円。ドル高・円安については、先週高値の114.55円が最初の抵抗で、超えれば114.74円、そして115円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値に当たる113円半ばの攻防にまずは注視。かなり底堅いイメージもあるが、割り込むようだと8月安値109.77円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%戻しに当たる112.70-75円が下値メドとなりそうだ。(了)

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