今週の週間見通し
先週のドル円も円安が継続し押しらしい押しも入らぬままに高値引けの月末を迎えました。材料としては日経平均株価が一段高となり1991年11月以来の高値をつけたこと、また日米通商協議から日米首脳会談と米国側から強い要求を突きつけられるのではないかとの懸念と裏腹に、自動車への関税は当面見送られ二国間協議を今後詰めていくと、今回も協議開始に向けてのセレモニー的な雰囲気で終わったことによる安心感が大きかったと言えます。
またFOMCでは予想通りの利上げが行われ、議長会見も想定内の内容となったことで、12月の利上げに向けて今後も既定路線を歩んでいく可能性が高くなったということも、日米金利差拡大の思惑からドル買いに動きやすくしたと言えます。一般的には金利高は株安につながりやすく米株もFOMC直後こそ下げ足を速めましたが、その後は週末にかけて下げる前の水準へと戻したことから株式市場にも安心感が広がりました。
すでに日経平均株価は1991年以来で約27年ぶりの高値をつけました。今回の9月円安相場は株高による面も大きかったと思いますが、個人的には米国中間選挙に向けてもっと通商協議に対する懸念が広がり円買いリスクが出てくる9月下旬を考えていただけに、完全に方向性を見誤ったと言えます。ただ、中間選挙まで残すところ1か月強となり投票前にアピールすることがあるとすれば、もっともあり得るのは日米間での成果という考え自体には変化はありませんので、引き続き警戒しながらも今は流れに逆らわないというスタンスで臨もうと思います。
さて今週ですが、いろいろと経済指標や要人発言も多いのですが、イベント的には週末の雇用統計ということになるかと思います。ここに至るまで米国の雇用関連指標は完全雇用に近い状況となり、もはや多少悪くなったとしても誤差の範囲内ですし、よくなるということにもそろそろ限界があることを考えると、本来それほど材料視すべきではないのですが、数字次第では株高、円安というここまで動きに対して調整が入るきっかけになるかもしれません。
また、アノマリーに過ぎませんが米国雇用統計に前後して、いったんドル円は目先の高値をつけやすいという傾向が見られますので、タイミング的にも上がったところを売るというスタンスは有効に思えます。そうしたことも含めて日足チャートをご覧ください。
チャートには含まれていませんが、年初来安値から何度かの上昇N波動を繰り返しているチャートとなっていて、目立つN波動としては5月安値を起点に7月高値への上げ、8月安値への押しを3点とするもの、もうひとつは8月安値を起点に8月下旬高値への上げ、9月安値への押しを3点とするもの(どちらもピンクのラインで示した波動)があります。
まず後者ですが、フィボナッチ・エクスパンションを計算すると161.8%エクスパンションが113.70とまさに現行水準に近いところにあり、短期的には113円台後半はいったん調整が入りやすい水準です。そして前者の100%エクスパンションは114.84、昨年11月の戻し高値114.74(ピンクの水平線)とほぼ重なる水準にあり、今後のドル高のターゲットとして視野に入れて来る参加者が増えてきそうです。
ただ、同水準を抜けるとテクニカルにはドル高方向への動きが確定的となり、米国の意に沿わない展開になるのではないかという懸念があり、その場合残りの上げ幅はあと1円程度と考えると、あまり積極的には買いにくい水準に来てしまったとも言えるでしょう。今週も株価を見ながら、113.00レベルをサポートに114.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
10月1日(月)
**:** NZ夏時間に移行
**:** 中国市場休場(〜5日)、香港市場休場
08:50 日銀短観
15:00 ドイツ8月小売売上高
16:50 フランス9月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ9月製造業PMI改定値
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI改定値
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏8月失業率
22:00 アトランタ連銀総裁講演
22:45 米国9月製造業PMI
23:00 米国9月ISM製造業景況指数
23:00 米国8月建設支出
24:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
10月2日(火)
13:30 豪中銀政策金利発表
17:30 英国9月建設業PMI
18:00 ユーロ圏8月PPI
22:45 パウエルFRB議長講演
23:00 クオールズFRB副議長議会証言
25:00 パウエルFRB議長講演
10月3日(水)
10:30 豪州8月住宅建設許可件数
16:00 トルコ9月CPI
16:50 フランス9月サービス業PMI改定値
16:55 ドイツ9月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI改定値
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏8月小売売上高
19:30 (シカゴ連銀総裁講演)
21:05 リッチモンド連銀総裁講演
21:15 米国9月ADP全国雇用者数
22:45 米国9月サービス業PMI改定値
23:00 米国9月ISM非製造業景況指数
23:00 パウエルFRB議長講演
23:30 原油週間在庫統計
27:15 クリーブランド連銀総裁講演
10月4日(木)
10:30 豪州8月貿易収支
20:30 米国9月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 オーストリア中銀総裁講演
23:00 米国8月製造業新規受注
10月5日(金)
10:30 豪州8月小売売上高
15:00 ドイツ8月PPI、製造業新規受注
15:45 フランス8月貿易収支
16:15 スイス9月CPI
21:30 米国9月雇用統計
25:40 アトランタ連銀総裁講演
10月7日(日)
**:** 豪州夏時間移行
前週の主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
9月24日(月)
週明けは東京市場が休場となることもあってアジア時間は目立った動きは見られませんでしたが、欧州市場に入り前日大幅安となったポンドに買い戻しが入ったことをきっかけにユーロが対ドル、対円で上昇、ユーロ円の買いがドル円の買いをリードする格好となりました。NY市場序盤にはユーロドルが1.18台に乗せる動きからドル売りとなり、112.43レベルまで押しましたが引けにかけては再び買い戻しが入り高値圏での引けとなりました。
9月25日(火)
ドル円は1日の値幅がわずか24銭とほとんど動きのない状態でしたが、底堅い地合いは継続しわずかにじり高となったものの113円もトライしない流れとなりました。日米通商協議は結局半日遅れで開催され、NY時間に茂木経財相とライトハイザーUSTR代表との間で2回目の協議が行われました。双方目立った発言も無く具体的な内容は日米首脳会談での議論へと持ち越しとなり、これもドル円を動きにくくしました。
9月26日(水)
ドル円は株価が堅調で東京後場には日経平均株価が年初来高値に迫る24000円台乗せとなりましたが、日米首脳会談とFOMCという2つのイベントを前にポジション調整のドル売りが先行しました。しかし下値も限定的でその後は再びドルがじり高の動きの中でイベント待ち。日米首脳会談では二国間交渉を始めるものの当面は自動車への追加関税は回避できたことで、今回はセレモニー的な印象で終わりました。またFOMCでは予定通りに0.25%の利上げが行われ、発表直後には113.14レベルの高値をつけましたが7月高値を超えられず、その後は売りが強まって112.63レベルまで反落後にやや戻して引けました。
9月27(木)
東京市場ではFOMC後のドル売りが株価上昇とともに反転、しかし上がったところでは売りたい向きも残っていたこと、また欧州市場序盤にイタリアの予算案審議が遅れるとのニュースに反応し、ユーロ円の売りとともに一時112.56レベルの安値をつけました。その後イタリアの審議は始まったものドル全体の買いがユーロ売りを強め、ドル円も安値から反転上昇、NY市場に入り225先物の上昇とともに7月高値を上抜け、ストップオーダーも巻き込みながら113.47レベルまで上伸し高値圏での引けとなりました。
9月28日(金)
東京前場には株高も手伝って113円台半ばを超える動きとなりました。その後は半期末ということもあって動き自体は乏しい中、113円台半ばでのもみあいを続けていましたが、ユーロドルも含めて全般的なドル買いの動きが目立ちNYの引けにかけては113.71レベルまで水準を切り上げ、高値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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