ユーロレンジやや下方にシフトした動きか(10月第1週)

EU全体としてはドラギ総裁の発言にもある通り、経済状況が強い流れにあることも事実ですが、織り込んで前週までの上値トライだったことを考え、先週後半のユーロの下げに

ユーロレンジやや下方にシフトした動きか(10月第1週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、週前半は前週後半からの1.18台トライに失敗し全体的なドル高の動きの中でもみあいを続けエネルギーが徐々に溜まっていく展開でした。週後半にはイタリアの予算審議の遅れ、さらに発表された内容が対GDP比2.4%とEUが求めるレベルを超えた拡大財政となったことを嫌気し、ユーロ売りが強まる展開となりました。

ユーロドルは前週金曜から木曜東京市場まで、1.17台前半から1.18水準でのもみあいを続け、テクニカルには抜けた方向に動きが出そうな雰囲気でした。市場参加者の多くも同様な見方をしていたと見え、レンジの下抜けとイタリアの緊縮財政が遠のいたことを見てのユーロ売りとなりました。この動きで9月安値からの上昇トレンドに終止符を打ち、短期的には下降トレンドへと転換することとなります。

今週は欧州主要国の製造業、サービス業のPMI改定値を中心に連日経済指標はあるものの、それらが新たな方向感を示すことに繋がるとは思えません。また、EU全体としてはドラギ総裁の発言にもある通り、経済状況が強い流れにあることも事実ですが、織り込んでいての前週までの上値トライだったことを考え、先週後半のユーロの下げに対してどこまで下値を追う展開となるのかを考えた方がよさそうです。

また、10月に入りいよいよEUと英国とのブレグジット協議も大詰めを迎えることとなりますが、最終的にどうなるかはまだ不透明とはいえ、メイ首相をはじめ英国側にはハードブレグジットも辞さないといった強気派が多く、ブレグジットに関する懸念もまたユーロの上値を抑えやすくすると言えそうです。
チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

9月のユーロは、上旬に何度か1.15台前半を試して抜けられず、その後1.17前後で踊り場を作ったのちに1.18をトライして抜けきれず、1.16前後へと押してきている動きです。現状では9月安値を再び試しに行く流れにあると考えられますが、8月に1.13台に入り込んだ際にトランプ大統領がEUは通貨安誘導をしていると非難したことを考えると、1.15を割り込んでまで売っていくことも困難です。

いっぽうで、直近での売りの強さを考えると9月中旬の1.17水準はいったん上値を抑えられやすい水準になると考えています。今週のユーロドルは、上値の重たい展開を考えつつもややレンジを下にシフトする程度とみて、1.1525レベルをサポートに1.1700レベルをレジスタンスとする週を考えておきます。

今週のコラム

9月はNYダウが史上最高値更新、日経平均株価が1991年以来の高値と日米の株価は大幅高で賑わっていましたが、いっぽうでユーロ圏の盟主ドイツの株価指数DAXはいまひとつ冴えない値動きを見せました。9月の高値は8月高値を下回っていますし、1月高値はおろか5月高値をも大きく下回るという弱気な動きです。より長期のチャートを見ると、テクニカルには更なる下値押しをする可能性もあり得るチャートとなっています。
日米株価との比較に、今週はDAXの週足チャートをご覧ください。

今週のコラム

いくつかのラインを引いてありますが、2016年からの大きなサポートライン(青)を下抜け、今年は年初からのレジスタンス(ピンク)の下での推移を続け、6月以降は下降ウェッジ(ピンク)の中での動きにとどまっています。また年初来安値に赤の水平線を引いてありますが、ここを下抜けると長期的な反転パターンを完成し下降トレンドに向かうチャートに見えます。

ブレグジットをはじめ欧州独自の材料があるとはいえ、あまりにも方向性の違うチャートに普段目にする機会が少ない方は驚かれる方もいるかもしれません。ましてやドイツは日米に並ぶ先進国グループですし、日本と比べてそんなに悪いとも感じられないのが正直なところではないでしょうか。引き続きドイツ株価指数DAXの動向にも注目です。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

10月1日(月)
**:** 中国市場休場(〜5日)
15:00 ドイツ8月小売売上高
16:50 フランス9月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ9月製造業PMI改定値
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI改定値
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏8月失業率

10月2日(火)
17:30 英国9月建設業PMI
18:00 ユーロ圏8月PPI

10月3日(水)
16:00 トルコ9月CPI
16:50 フランス9月サービス業PMI改定値
16:55 ドイツ9月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ圏9月サービス業PMI改定値
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏8月小売売上高

10月4日(木)
22:30 オーストリア中銀総裁講演

10月5日(金)
15:00 ドイツ8月PPI、製造業新規受注
15:45 フランス8月貿易収支
16:15 スイス9月CPI
21:30 米国9月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

9月24日(月)
東京市場が休場でアジア時間は目立った動きは見られませんでしたが、欧州市場に入り前日大幅安となったポンドに買い戻しが入りユーロでも買いが強まり対ドル、対円で上昇しました。NY市場序盤にはユーロドルが1.1815レベルの高値をつけましたが、米金利上昇もあって全般的なドル買いの動きは失速、1.17台半ばへと押して引けました。

9月25日(火)
ユーロドルは、東京朝方こそ前日の下げの動きを継続しましたが前場のうちに反転上昇、NY前場まではユーロ買いの動きが強まりました。前日に1.18台を見たことで上値も限定的ではあるものの、ドラギ総裁の強気発言も尾を引いて、下がったところでは買いが出る流れでした。しかし、欧米間の通商協議も控えている警戒感から1.17台後半を中心に動き辛い状況となりました。

9月26日(水)
ユーロドルは、欧州市場までは全く動かずの展開、欧州市場では目立った材料もない中でストップオーダーの売りが入り、NY朝方には1.1726レベルまで水準を下げました。その後のFOMCで上下に振れる展開はドル円同様でしたが、ドル円とともにユーロ円の売りが見られたことからユーロは上値が重たいままでの引けとなりました。

9月27(木)
ユーロドルは、欧州市場序盤にイタリアの予算案審議が遅れるとのニュースをきっかけにユーロ安が加速し、ここ1週間ほどのもみあいを下抜けたことによる仕掛けと思われるユーロ売りも加わりました。ドルが全面高の様相を呈する中でユーロドルも1.1639レベルまで水準を切り下げ安値引けで一日を終わりました。

9月28日(金)
 ユーロドルは、前日に発表されたイタリアの予算案が事前予想と異なり、EUの定める対GDP比2%を大きく超える内容となり、緊縮財政とは程遠いとの判断から前日に続いて売りが目立ちました。東京市場ではユーロ円の買いもあって底堅かったのですが、欧州市場では1.1570レベルまで水準を下げ、その後は週末前のポジション調整から1.16台を回復して引けました。

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