<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。それも「週初安・週末高」となったほか、ザラ場ベースでは一時113.71円を記録し、年初来高値を更新する局面も観測されていた。
週明け24日に「米が対中関税第3弾を発動」することなどを材料視し、ドル/円相場は前週末のNYクローズよりも若干円高レベルとなる112.40円前後で寄り付いた。しかし、結局は同レベルが週間を通したドルの安値となり、以降は緩やかな右肩上がり。途中、113円を超えたあたりでは一度上げ渋るも、しっかり抜けると、週末には年初来高値(113.38円)を超え、113.71円までドルは続伸している。そしてそのままドルの高値圏を維持した113.70円前後で大引け、越週となった。
一方、週間を通して注目された材料は、「日米貿易問題」と「北朝鮮情勢」について。
前者については、日米貿易問題が24日開催から25日に延期となるなか、実際の会合においては参加した茂木再生相から「日米は基本的認識で一致した」との発言が聞かれ、その後の日米首脳会談では「2国間のモノの貿易を自由化する物品貿易協定(TAG)の締結に向けた交渉を始めることで合意した」と発表されている。
対して後者は、トランプ米大統領から週間を通して、「2度目の米朝首脳会談を近く発表できる」「6月に会談を行ったシンガポール以外の場所となる可能性が高い」「北の非核化、期限にこだわらない」などといった発言が聞かれたほか、国連総会の場を利用して北外相が活発外交を実施、「日米に加え密かに中国とも会談」をしていたことが明らかになった。
<< 今週の見通し >>
ここ最近の為替相場は、「円全面安」の様相だったが、先週はというと、むしろ「ドル全面高」と言えるような展開だった。実際、ドルは対ユーロやポンドなどでも大きく上昇して越週している。ともかく、そんななかドル/円は113.71円まで値を上げ、年初来高値を更新、さらなる高値トライも視界内に捉えられている感を否めない。ちなみに、テクニカルに見たドルの次の上値メドは、先週末高いに近い昨年12月高値の113.75円レベルで、これを抜ければ、114円台乗せもいよいよ現実のものになりそうだ。次なるターゲットは同11月高値の114.74円などとなる。
材料的には、米中そして日米を中心とした貿易戦争懸念の高まりが、依然として潜在的なリスク要因ではあるものの、堅調推移を続ける米株などを見ると、それほどマーケットは問題視していないのかもしれない。少なくとも、米株が本気で崩れない限り、ドル高基調そのものは続く公算が大きいだろう。また、今週ということでいえば、月初めの1週間ということで9月の米雇用統計など重要な指標の発表も多く、それらの内容にも注意を払いたいところだ。
一方、材料的に見た場合、9月のISM製造業景況指数や同雇用統計など、週間を通して重要な米経済指標が発表されるほか、週初に発表される日本の日銀短観を注視する声は少なくない。後者について、若干補足をすれば、複合的な自然災害が到来するなか企業の業績判断がもっとも注視されているものの、同時に「大企業製造業の想定為替レート」への警戒も根強いようだ。レートのレベル如何によっては、米国からの為替圧力が強まるなどといった事態が起こらないとも限らない。
そのほか今週は、パウエルFRB議長を筆頭に米通貨当局者による講演も相次ぐ。先でも示したようにドル全面高商状をたどっているだけに、その内容も注視されているようだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、112.60-114.60円。ドル高・円安については、先週高値も近い113.75円が最初の抵抗だが、超えれば114円台回復が見えてくる。さらには114.74円、そして115円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、一度上げ渋ったのち上回ると、サポートとして寄与している感のある7月高値113.17円レベルの攻防にまずは注視。ポジションが偏っているため、一時的な下抜けは否定出来ないが、それでも底堅そう。よほどのことがない限り、112円半ば前後を割り込むイメージには乏しい。(了)
オーダー/ポジション状況
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