<< 東京市場の動き >>
11日の東京市場は、ドル高・円安。値幅そのものは決して大きくなかったが、「寄り付き安・大引け高」に近い格好でドルの強さが目に付いた。
ドル/円相場は、寄り付いた111.05-10円を日中安値にドルが小じっかり。当初は昨日も上げ止まった111.20-25円で一時上げ渋るも、抜けると一気に111円半ば近くまで値を上げた。その後は高値圏をキープし、16時段階では111.45-50円で推移、欧米時間を迎えている。
なお、円は対ドル以外でも軟調で、ほぼ全面安の様相。実際、ポンド/円は早朝を安値に1円近く、ユーロ/円も同じく80銭ほどと、なかなか大きな上昇をたどっていた。
一方、材料的に、注視されていたものは、「日米通商交渉」と「北朝鮮情勢」について。
前者については、米国のハガティ駐日大使から「トランプ氏が対日FTAを提起も」との発言が聞かれた反面、日本サイドからも世耕経産相「日本に厳しい姿勢示唆と思っていない」、麻生財務相「日米経済対話は新通商協議後になる可能性」、杉山駐米大使「日米貿易分野での成果を期待」−−といったように関連発言が相次いでいた。
対して後者は、サンダース米大統領報道官から「北委員長がトランプ大統領に書簡、再会談を打診する内容」としたうえで、すでに調整に入った旨の発言がまず聞かれていた。ただ、反面で米NBCによる「米情報機関、北はいまも核兵器を製造と分析」と、米朝融和観測に水を差すような一部報道も観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
過去2営業日以上推移していた110.40-111.25円のボックス圏を、本日東京時間に上抜けてきた。ドルは一時111円半ばを示現しているが、8月29日や今月5日高値などが位置する111.80円前後はまだ超えられていない。ともかく、通常であればリスクはドル高で続伸に要注意なのだが、再三再四レポートしているように、今年の相場の特徴のひとつとして「ダマシ」が多いことは気掛かり。今回もドルは上抜けに失敗し、結局は従来のレンジ内に回帰するといった展開にも一応注意しておきたい。
材料的には、欧州や新興国情勢への警戒を払いつつ、ドル/円に直接的な影響を与えそうな要因として貿易問題を中心とした「トランプファクター」が挙げられている。また、2度目の会談が実施される見込みとなった米朝情勢に関するニュースにも要注意か。後者については、この先具体的な日時や開催場所などが決まるようだと、いわゆる「ご祝儀買い」のような、好感したドル買いが観測される可能性もある。
テクニカルに見た場合、ここ2日ほどのレンジ上限111.25円レベルを超え、足もとは111円半ばに位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限突破をうかがう様相を呈している。このあとの欧米時間、同レベルをめぐる攻防にまずは要注意。
しかし、ザラ場ベースで直近に2度111.80円前後のドル高値を記録した8月29日、そして9月5日はともに雲の上限突破が「ダマシ」となっているだけに、今回仮に抜けたとしても「三度目の正直」となるかどうか疑心暗鬼に思う参加者は少なくなさそうだ。
一方、材料的に見た場合、7月の卸売売上高など幾つかの米経済指標が発表されるものの、正直注目度は高くない。よほどの数字とならない限り、基本的にインパクトは小さいだろう。ただ、米財務省による3年債の入札などが実施される見込みで、そちらは一応要注意。
また、政治ファクターとしては、訪露している安倍首相がプーチン氏との日露首脳会談に続き、13日までに日中首脳会談を実施するとされている。国際情勢が混沌としている状況下だけに、如何なる会談となるのか続報に注意したい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.00-112.00円。ドル高・円安方向は、ザラ場だけでなくNYクローズで維持できるか否かを含め、一目の雲の上限が位置する111円半ばの攻防を注視。抜ければ、直近だけで2度レジストされている111.80円前後がターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、移動平均の25日線などが位置する111円前後が最初のサポート。割り込んでも、110円台半ばにかけてはテクニカルポイントが目白押しの状況で、依然として底堅そうな雰囲気に変化は見られない。(了)
オーダー/ポジション状況
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