ドル円 反発継続中、高値切り下がりの攻防(9/11)

英国のEU離脱交渉に関してバルニエEU首席交渉官が「もし我々が現実的なら6週間か8週間のうちに合意することができる」と述べたことでポンドが急伸、

ドル円 反発継続中、高値切り下がりの攻防(9/11)

ドル円見通し 7日安値からの反発継続中、高値切り下がりの攻防

【概況】

9月7日安値110.38円から戻しに入り、7日夜の米雇用統計が強い数字だったことでドル高が進んで111.24円まで戻り高値を切り上げたが、その後は流れが続かず、8日未明には一旦110.75円まで下げた。週明け10日は手掛かりに乏しい中で日中は小動き。午前に110.85円まで下げたが午後からは111円台を回復、夜間ではEU離脱交渉への楽観論を背景にポンドとユーロが上昇、米国の対中制裁関税拡大(2000億ドル規模)もまだ発動されていないとしてリスクオン心理がやや優勢となったためにドル高円安へ進んだが、11日未明高値は111.24円止まりだった。
英国のEU離脱交渉に関してバルニエEU首席交渉官が「もし我々が現実的なら6週間か8週間のうちに合意することができる」と述べたことでポンドが急伸、ユーロも連れて上昇した。しかし離脱交渉難航との報道もあり先行きは依然として不透明だ。9月12日には英中銀の金融政策発表、ECBの金融政策発表も予定されているので、仮に11日、12日とポンドやユーロの上昇が継続しても両金融政策発表ないしはその前から流れが変わる可能性にも注意が要る。

【9月後半へ、米中及び日米の通商摩擦問題深刻化するか?】

米国による対中制裁関税強化の動き、対日赤字削減要求の厳しい態度もドル円にはプレッシャーとなっている。先週末に米トランプ米大統領は現在検討されている2000億ドル規模の対中関税以外に2670億ドル相当の追加関税の用意があると述べた。また対日赤字削減についても安倍首相との蜜月時代終焉の可能性も示唆した。ただ9月6日にパブリックコメントの受付を終了した対中制裁関税2000億ドル規模への拡大については10日時点ではまだ発動されていないため、米中の水面下交渉への期待感も多少出ているようだ。
日米通商問題については9月25日に日米首脳会談が予定されており、9月末には二度目の日米通商協議も行われるようだ。どの程度の要求になるのかを見定めつつ、事前の動向報道等で日本の輸出への打撃が懸念され始めるようならドル円相場も円高へ傾斜してゆく可能性がある。逆に米国産の農産物輸入拡大等の程度で済むなら日本の農業には打撃になるが株式市場、為替市場では過剰な懸念が後退する可能性もある。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月31日安値を前回のサイクルボトム、9月5日深夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして次のボトム形成期となる6日の日中から7日夜にかけての間への下落を想定していたが、7日午前安値からの反発で強気転換目安とした111円を超えてきたため、現状は7日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りした状況と思われる。今回の高値形成期は5日深夜高値を基準として10日夜から12日深夜にかけての間と想定されるので、11日の日中から夜にかけてはまだ高値を試す可能性がある。ただし、8月29日深夜高値から9月5日深夜高値へと高値ラインが切り下がっているので、111.50円以上はサイクルトップをつけての反落注意とする。既に前回サイクルトップから3日を経過しているので10日午前安値110.85円割れからは新たな弱気サイクル入りと仮定して次のボトム形成期となる12日の日中から14日にかけての間への下落を想定する。5日深夜高値からサイクルトップが切り下がって弱気サイクル入りする場合は7日安値を割り込む可能性が警戒される。

60分足の一目均衡表では10日深夜への上昇で先行スパンを上抜いてきている。遅行スパンも好転状態を維持しているため、先行スパンを上回る内は上昇継続余地ありとするが、遅行スパン悪化から先行スパン転落へと進む場合は下げ再開としてその後は遅行スパン悪化中の安値試し優先と考える。

60分足の相対力指数は7日深夜高値形成時と11日未明高値形成時は相場がほぼフラットなのに対して指数のピークがやや切り下がっているため弱気逆行の可能性がある。50ポイントが指数自身の支持線のため、50ポイントを上回る内は上昇余地ありとし、70ポイント超えへ進む場合は逆行破りとなって上昇が加速する可能性があると注意する。50ポイント割れから続落し始める場合は下げ再開と仮定して30ポイント台前半への下降を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10日午前安値110.85円を下値支持線、週末高値111.24円を上値抵抗線とみておく。
(2)110.85円を上回る内は111.24円超えから111.50円前後を目指す可能性ありとみる。111.50円以上は反落警戒とするが111円台を維持する内は12日の日中にかけても上昇継続余地ありとみる。
(3)110.85円割れからは弱気サイクル入りと仮定して7日安値110.38円試しへ向かうとみる。また10日午前安値を割り込んだ後も111円以下での推移が続く内は下向きとし、12日の日中から13日にかけては安値試しが継続しやすいと考える。7日午前安値割れの場合は下値支持線が110円前後、さらに8月21日安値109.77円まで切り下がる可能性が出てくると考える。(了)<9:35執筆>

【当面の主な予定】

9/11(火)
10:30 (豪) 8月 NAB企業景況感指数 (7月 12)
17:30 (英) 7月 失業率 ILO方式 (6月 4.0%、予想 4.0%)
18:00 (独) 9月 ZEW景況感指数 (8月 13.7、予想 -14.0)
23:00 (米) 7月 卸売在庫 前月比 (6月 0.7%、予想 0.6%)

9/12(水)
未 定 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
08:50 (日) 7-9月期 四半期法人企業景気予測調査・大企業業況判断BSI (前期 -2.0)
18:00 (欧) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -0.7%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.0%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 3.3%、予想 3.2%)
21:30 (米) 8月 生産者物価コア指数 前月比 (7月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 生産者物価コア指数 前年同月比 (7月 2.7%、予想 2.7%)
22:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演 シカゴ
25:45 (米) ブレイナードFRB理事、講演 デトロイト
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

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