ドル円今週ももみあいも流れは円高(9月第1週)

先週の動きを見ると、上下ともにオーダーが出ていること、そして最近の値幅を反映してオーダーの出ている間隔も狭くなってきていることが伺えます。

ドル円今週ももみあいも流れは円高(9月第1週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、週前半は底堅い動きを続けたもののもみあい、水曜にもみあいを上抜け更に先週高値を抜けた動きから一段高の可能性が見えたところで貿易摩擦激化懸念がきっかけとなって元の水準へと押し、さらには週間安値を更新。しかし下値押しも失敗し振り返ると週初もみあい水準に戻しての引けとなっています。

先週の動きを見ると、上下ともにオーダーが出ていること、そして最近の値幅を反映してオーダーの出ている間隔も狭くなってきていることが伺えます。また材料的には米国発の貿易摩擦激化懸念が相変わらず最大の材料となっていて、それにブレグジットに絡む材料が色付けをしているといったところでしょうか。

日本初の材料は今のところあまり無いのですが、9月に入り第2回目の日米通商交渉もありますので、それまでは海外の材料が中心となりそうです。

今週は、週末に雇用統計の発表があり数字自体は単月での影響はあまり考えなくていいのですが、米国雇用統計前後にドルが高値をつけやすいというアノマリーがあります。今週は米国地区連銀総裁の講演も多いので、9月のFOMCへの思惑として上下に動く材料ではあります。ただ時期的にも方向性が出るほどのものとはならないでしょう。

また米国発の貿易摩擦についてはNAFTAの二国間協議に加えて、次のターゲットは欧州という姿勢を見せ、週末にはトランプ大統領が欧州に対して中国と同じくらい問題があると発言しています。2回目の日米通商交渉も控えていますし、11月の中間選挙に向けて米国の他国に向けての非難は一層強まると見ていたほうが良いと思います。そうなると、株価も含めてリスクオフの懸念が強くなりますので、いまの底堅い地合いがいつまで続くのか、ひょっとしたら雇用統計アノマリーで今週か来週あたりに反転するのではないか、もみあい相場の中で個人的には下方向の動きに警戒しています。

テクニカルには7月高値113.18が中期的なドル高値、短期的には先週高値111.83から8月高値112.15の水準(112円前後)が上値を抑えられやすい水準です。また下値は8月安値109.78、つまり110円の大台が目安となります。上記の考え(円高懸念)は、少なくとも8月安値をクリアに下抜けて来る必要があります。そうした前提の上でチャートをご覧ください。

8月安値は年初来安値と7月高値との38.2%押し(赤のターゲット)と重なり、先週高値は7月高値と8月安値の61.8%押し(青のターゲット)と重なりました。それぞれ誤差はほとんどなく、今後の見通しを立てる際の重要な高値・安値となります。すると次に考えるのは8月安値と先週高値との押しですが、61.8%押しの110.56(ピンクのターゲット)が最初の目安となります。

動きとしては雇用統計に向けてドル買いの動きが出やすいものの先週高値を超えられず、110円台半ばへと押すというシナリオ、あるいは先に110円台半ばへ押して下げきれずに先週高値圏へと上げ、下降トレンド自体は来週以降に持ち越し、いずれにしても110円台半ばと111円台後半が今週もそれぞれサポートとレジスタンスとなる週を見ておきたいと思います。

今週の週間見通し

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

9月3日(月)
**:** NY市場休場
10:45 中国8月MarkIt製造業PMI
14:40 黒田日銀総裁講演
16:00 トルコ8月CPI
16:50 フランス8月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ8月製造業PMI改定値
17:00 ユーロ圏8月製造業PMI改定値
17:30 英国8月製造業PMI

9月4日(火)
10:30 豪州4〜6月期経常収支
13:30 豪中銀政策金利発表
17:30 英国8月建設業PMI
18:00 ユーロ圏7月PPI
18:30 南ア4〜6月期GDP
18:30 豪中銀総裁講演
21:15 英中銀総裁講演
22:45 米国8月製造業PMI改定値
23:00 米国8月ISM製造業景況指数
23:00 米国7月建設支出
29:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)

9月5日(水)
10:30 豪州4〜6月期GDP
10:45 中国8月MarkItサービス業PMI
16:50 フランス8月サービス業PMI改定値
16:55 ドイツ8月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ圏8月サービス業PMI改定値
17:30 英国8月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏7月小売売上高
21:30 米国7月貿易収支
23:00 カナダ中銀政策金利発表

9月6日(木)
10:30 豪州7月貿易収支
15:00 ドイツ7月製造業新規受注
17:00 南ア4〜6月期経常収支
20:30 米国8月チャレンジャー人員削減予定数
21:15 米国8月ADP全国雇用者数
21:30 米国4〜6月期非農業部門労働生産性
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:45 米国8月サービス業PMI改定値
23:00 NY連銀総裁講演
23:00 米国8月ISM非製造業景況指数
23:00 米国7月製造業新規受注
24:00 原油週間在庫統計

9月7日(金)
15:00 ドイツ7月貿易収支
15:00 ドイツ7月鉱工業生産
15:45 フランス7月貿易収支
15:45 フランス7月鉱工業生産
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP確報値
21:30 米国8月雇用統計
21:30 (ボストン連銀総裁講演)
22:00 クリーブランド連銀総裁講演
25:45 (ダラス連銀総裁講演)
**:** ユーロ圏財務相会合(仮想通貨規制もテーマ)

前週の主要レート(週間レンジ

前週の主要レート(週間レンジ

始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

8月27日(月)
東京市場のドル円は朝方には底堅い動きを見せていたものの、昼前に実需のドル売りが大口で出たことから、111円を割り込む動きとなりました。しかし、110円台ではまだ買いたい向きも残っていること、いっぽうで実需の売りが出る前の水準では戻り売りを考える向きもいて、上下とも抑えられて東京後場以降はほとんど動きがないまま、狭いレンジで1日を終えました。

8月28日(火)
ドル円は前日の相場をなぞるような一日となりました。東京前場には夜間取引で大幅高となった日経先物の動きから株価を見てのリスクオン、一時111.35レベルの高値をつけました。しかし111円台半ばにはドル売りオーダーが見えていること、前日高値をトライしきれない中で株価も売りに転じたことからじり安の展開を辿りNY市場前場には111円割れ。引けにかけてはやや戻しての引けとなりました

8月29日(水)
ドル円は東京市場から欧州市場までは週初からのレンジ内で方向感の無い展開を続けていました。流れを変えたのはブレグジット担当のEU首席交渉官の11月に英国との関係について声明を出すとの発言、この発言を好感しポンドが対ドル、対円で上昇しその動きがユーロ円にも波及する格好でドル円は111.50を上抜ける展開となりました。これまでもみあいが続いていただけに短期筋のストップも出ていましたが、次の節目となる112円はトライするに至らず111.83レベルの高値をつけた後は半ばへと押しての引けとなりました。

8月30日(木)
 東京市場のドル円は、朝方に株価が水準を下げた動きに伴って高値圏からやや下げたものの小動き、基本的に欧州市場までは高値圏でのもみあいを続けました。欧州市場に入りハードブレグジットの可能性も検討との発言を嫌気した欧州通貨の売りがユーロ円にも波及しドル円もじりじりと水準を下げ始め、NY市場では2000億ドルの対中関税発動を指示したことや中国を為替操作国認定の検討をすることが嫌気され米株とともにドル円はリスクオフの売りとなりました。引けにかけては110.95レベルまで売られた後、若干戻して引けました。

8月31日(金)
 月末のドル円は東京市場では111円を挟んで方向感が出ないままに海外市場入り、欧州市場序盤に225先物の夜間取引をはじめ主要株価指数が下げ始める動きを嫌気して110.70レベルまで水準を下げましたがそこまで。その後はNYの昼頃まで安値圏でのもみあいに終始していましたが、ドル全般に買い戻しが入る中でユーロドルの下げとともにドル円も下げる前の水準に戻しての月末クローズとなりました。

ディスクレーマー

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