<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、一時ドル高が進行するも、終わってみれば「行って来い」。週の半ばにレンジを上抜け、111.80円台まで値を上げたものの続かず、週末にかけて週初のレベルまで値を戻している。
前週末に、「トランプ米大統領が米国務長官の訪朝中止を明らかにした」など、北朝鮮絡みで幾つかニュースがあったものの、為替市場への影響は限定的。ドル/円は前週末のNYクローズと大差のない111.30円前後で寄り付いた。
そののち、しばらくは110.90-111.40円という狭いレンジ取引が続いていたが、週の半ばに上限を超えると8月3日以来の高値となる111.83円まで一時上昇している。しかし、勢いは続かず週末にかけて反落に転じると、110.70円レベルへ。週末NYは、ドルが再び持ち直した111.10円前後で大引け、越週となった。
なお、1週間を通して1.15円ほどの変動にとどまったドル/円に対して、ほかの通貨ペアは総じて荒れ模様。トルコリラやポンド、ユーロなどはなかなか激しい上下動をたどっている。なかでも、豪ドルは政治不安などを背景に、対円で79.60円台まで値を下げ、年初来安値を更新する局面も観測されていた。また、アルゼンチンペソの弱さも目に付く。
一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易問題」と「北朝鮮情勢」。
前者については、「米国とメキシコがNAFTA再交渉で基本合意」をしたと報じられ、残る米加会談へ注目が集まるも、結局、一応の交渉期限とされていた8月31日までに交渉はまとまらず、9月5日に再協議を実施する方向となった。そうしたなか、日米について、米紙WPが「トランプ米大統領、安倍首相との会談時に『真珠湾』持ち出し日本に圧力」−−と報じるなど、今後の交渉の激しさを懸念する声が再燃し一時話題に。
対して後者は、前述した「トランプ米大統領が米国務長官の訪朝中止を明言」したことについて、米紙WPが「米の訪朝中止の裏に秘密書簡、非核化進まずと判断か」などと報じ物議を醸していた。また、それとは別に、米紙WPによる「日本と北朝鮮の情報当局高官が7月にベトナムで極秘接触していた」との報道や、「マティス米国防長官が米韓軍事演習の再開を示唆」、米インターネットメディア『VOX』が「米大統領、『北の終戦宣言署名』を約束」−−などと報じ、思惑を呼んでいたようだ。
<< 今週の見通し >>
幾度となく取り上げているドル/円の週間変動だが、先週は週間通したレンジがおよそ1.15円にとどまるなど依然として方向性が乏しい。ちなみに、週間を通して2円以下の変動だった週は、これで7週連続となる。先週について言えば、先週末22日以降形成していた目先のレンジ110.90-111.50円を一時上抜けたものの、その後の展開を見ると、今年の相場の特徴のひとつである「ダマシ」に終わった感を否めず、失望も大きい。7月末から8月上旬にかけて形成していた、110.50-112.20円といったレンジ取引が今後しばらく続く可能性も否定出来ない気がしている。
ただし、先でも指摘したように、為替市場全般の動意が乏しいわけではない。ユーロやポンド、豪ドルのほか、トルコリラや南アフリカランド、アルゼンチンペソなど新興国通貨の動きはむしろ活発だ。材料的にも、それらに関する要因は決して少なくなく、今週も引き続き欧州や新興国に関するニュースには注意を払いたい。また、トランプ米大統領が週内にも「追加関税の第3弾を実施する意向を示している」日中ならびに、日米通商摩擦の行方も気掛かりだ。
テクニカルに見た場合、1週間を通して小動きに終わったことを象徴するかのように、一目均衡表では110.60-111.60円レベルに週間を通して位置した先行帯の雲に、日足はほぼ埋没したままの状況となった。そんな一目の雲は、今週も1週間を通してほぼ横這い、先週と大差のない水準で推移する。引き続き111円±50銭程度のレンジを、上下どちらに、そして「しっかり」と抜けていくのか、方向性を注視したい。
ちなみに、上方向に抜ければ8月高値の112.15円が次のターゲットとなる反面、下方向であれば110円あるいは8月21日に記録した109.77円が視界内に捉えられそうだ。
一方、材料的に見た場合、8月のISM製造業景況指数や同米雇用統計など、週間を通して重要な米経済指標の発表が相次ぐうえ、米地区連銀総裁などによる講演も目白押しで、要人発言にも注意が必要だろう。
また、トランプ米大統領が週内にも「追加関税の第3弾を実施する意向を示している」日中通商摩擦の行方も気掛かりだ。中国が改めて対抗措置の考えや具体策を打ち出すようなら、為替市場への影響は避けられそうにない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、110.00-112.00円。ドル高・円安については、日足・一目の雲の上限が位置する111.60円前後が最初の抵抗。抜ければ、フィボナッチを参考にしたテクニカルポイントにもほぼ合致する先週高値の111.83円や前回高値112.15円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、日足・一目の雲の下限が横ばいで推移する110.65円レベルの攻防が注視されそうだ。そのレベルをターゲットは110円前後、ならびに8月21日安値の109.77円などが視界内に。(了)
オーダー/ポジション状況
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