<< 東京市場の動き >>
21日の東京市場は、一時ドル安に振れるも「行って来い」。6月28日以来の110円を割り込む局面も観測されたが続かず、そののち再び110円台を回復している。
ドル/円相場は、110.05-10円で寄り付いたのち、強いサポートだった110円を一時下回った。日中安値である109.75-80円まで値を下げている。しかし、徐々にドルの買い戻しが優勢になると110円台を回復、16時時点では寄り付きレベルに近い110.05-10円で推移し、欧米時間を迎えていた。
なお、そうしたなか仮想通貨が総じて荒れ模様。イーサリアムやリップル、ビットキャッシュなどを中心に一時大きく値を下げている。ただ、もっともメジャーなビットコインは比較的底堅く推移。
一方、材料的に、もっとも注視されていたものは、幾つかの意味合いを内包した「米国ファクター」。
その多くは、ロイターによるトランプ米大統領インタビューがもとになっており、一例を挙げると、北朝鮮情勢との関係について「北朝鮮の金朝鮮労働党委員長と再び会談する可能性が高い」、米中貿易問題については「中国との話し合いに期限はない」−−などと述べたと報じられていた。
ほかでは、読売新聞による「北朝鮮、実務協議で9月9日以前の米国務長官訪朝を要請」との報道や、IAEAが報告書発表し「北の『未把握の核活動』増加を懸念」したとのニュースが関心を集めていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円はなかなか重要な分岐点に差し掛かっている気がしないでもない。というのは、本日の東京時間に重要サポート110円を一時割り込んできたことによる。一時109.75-80円まで値を下げたものの、本稿執筆時には110円台へとプルバックしており、今後の動きについて見方が分かれている感を否めない。すなわち、「レンジを一度割り込んだのだから、ドルの続落リスク」を指摘する向きがやや優勢ながら、今年よくみられるパターンの「従来レンジの下限を多少広げただけ。下値リスクは高まっていない」−−などといった声も決して少なくないようだ。
材料的には、引き続き米中を中心とした「米貿易問題」が最大の関心事。前述したようにトランプ氏が「中国との話し合いに期限はない」と述べたうえ、22-23日に実施される次官級協議を意味するものとして「大きな進展を期待していない」と指摘したことが失望を誘っている面もある。また、それとは別にトランプ氏からFRBの利上げに不満を示す発言も聞かれており、これを受けたジャクソンホールでのFRB議長講演をはじめとする米通貨当局者の講演への関心も高まっているという。
テクニカルに見た場合、一目均衡表では一昨日まで一進一退の展開をたどっていた先行帯の雲の下限を割り込む展開となっている。そんな雲の下限は、本日110円半ばに位置しており、このあとは抵抗として寄与するか否かに注目だ。
なお、日足はザラ場ベースで、109.85-90円に位置する動平均の200日線に絡む値動きで、東京時間には一時下回る局面も観測されていた。再びドル安方向に振れた際の攻防を警戒する向きも多い。
一方、材料的に見た場合、前日に続き本日も目立った米経済指標の発表などはとくに予定されておらず、そうした意味ではやや動きにくい雰囲気。今週は22-23日に「米中貿易協議、次官級会合」や、24日の「パウエルFRB議長のジャクソンホール講演」など、明日以降に重要なイベントを控えていることで、本日はそれらの材料にらみ、思惑交錯のなかレンジ取引に終始するとの見方が有力か。
ただ、トルコの金融市場が24日まで休場となるなか、トルコに絡むニュースなどが聞かれれば波乱の展開となる可能性もある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.60-110.60円。ドル高・円安方向は、東京高値の110.15円レベルが弱い抵抗。上抜ければ一目の雲の下限などが位置する110円半ばがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の200日線なども近い、本日東京安値である109.75-80円をめぐる攻防にまずは注視。割り込んだ場合には、フィボナッチを参考にしたサポートの109.30円レベルが視界内に。(了)
オーダー/ポジション状況
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