【概況】
8月13日安値110.10円からは110円割れ回避と新興国通貨安一服により戻したものの8月15日高値111.42円からは再び失速した。15日夜は人民元高再燃で110.45円へ下落、17日夜も110.31円まで安値を切り下げて先週を終えた。週明け20日は手かがり難で横ばいからややジリ高という動きだったが、深夜からは失速し始め、21日未明のトランプ大統領発言からドル安が加速、8月13日安値を割り込む一段安となっている。
【3月下げ地合いが警戒】
7月19日高値113.15円から7月26日安値110.59円まで下げ、いったんは8月1日高値112.15円まで戻したが底割れに至っている。この間の下落で3月26日底以降の5月29日安値、6月25日安値、7月26日安値をほぼ1直線で結ぶ支持線を割り込み、また5月29日以降の安値を支えてきた52日移動平均を割り込んだ。支持線割れや重要移動平均割れは早々に切り返せばかえって強気の出直りサインになるが、いったん戻してからさらに安値を更新することは支持線割れの追認であり駄目出しと受け止められる。日足は17日、20日と陰線続きとなっているが、21日も陰線(円高)となれば三羽烏(黒三兵)として下落感が強まる。
7月19日からの下落は既に1か月を経過しており、3月26日からの上昇トレンド中の調整安レベルを時間的に超えている。下げ幅も21日午前の続落で109.88円を割り込んだために超えている。昨年11月6日高値に対する揺れ返しで上昇してきたが、その上昇も一巡、円高期に入ってきている印象がさらに強まってきたと思われるが、仮に揺れ返し一巡による円高期入りとすれば、7月19日高値からの下落波動が昨年11月から今年3月にかけての間への下落期に近いレベルに発展することも懸念される。
【トランプ大統領に振り回される】
トランプ米大統領は20日の通信社インタビューで米中次官級協議について「話し合いに期限はない」「(7月23日と24日の次官級協議については)今回は多くの成果を期待していない」とし、「中国は通貨を完全に操作している」とも述べて人民元安誘導を批判した。
米中次官級協議は8月22日、23日に予定されているが、米国による中国への制裁関税強化では既に発動が決定されている中国製品500億ドル規模への関税のうち340億ドルが発動済で、残りの160億ドル規模についても8月23日に実施される予定となっている。次官級協議が行われる中でも発動は延期されないだろうとみられている。
米国はこの500億ドル規模に対する関税の他、追加でさらに2000億ドル規模の制裁関税強化を計画しているが、米通商代表部(USTR)は20日に公聴会を開催した。企業・団体からの反対意見、適用除外の声も相次いだようだが、公聴会は27日まで開催される。また書面による意見募集は9月5日まで行われるが、その後には発動手続きに入ることが予定されている。
今回の米中次官級協議が中国側譲歩姿勢を示し、11月あたりの米中首脳会談実現とそれに合わせた2000億ドル規模への追加関税見送り等の機運が高まれば貿易戦争泥沼化に対する収束期待も出てくると思うが、前向きな成果を見せられないようだと次官級協議終了後にはかえって失望が増すかもしれない。
トランプ米大統領は通信社インタビューで米連銀のパウエル議長についても批判した。「(利上げについて)「感心しない」「FRBは米国にとって良いことをすべきだと信じる」と述べている。また米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版はトランプ大統領が支援者との私的な会合でも米連銀の利上げへの批判を展開し、パウエル氏の議長指名を後悔しているような発言も行ったと報じている。
パウエル米連銀議長は24日のジャクソンホール・シンポジウムで講演を行う。今後の利上げを含めて連銀のスタンスを示すものと思われているが、今回の大統領発言が講演に影響を与えるかどうか注目される。
21日朝段階では、市場はトランプ大統領の発言影響力を踏まえてドル安反応を見せている。
【60分足 一目均衡表、サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月15日夜の急落により16日午前時点では15日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、17日午前時点では17日未明高値111.11円を超える場合は強気サイクル入りとし、越えない内は110.70円割れから下げ再開とした。17日夜の下落で15日深夜安値を割り込み、20日夕刻へやや戻してから一段安している。13日安値からは既に5日を超過しているので現状は15日深夜安値ないしは17日深夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れにより既に新たな弱気サイクル入りしていると思われる。当面、20日夕高値110.68円を超えない内はボトム形成への安値試し優先とし、21日の日中から22日深夜にかけての間への下落を想定する。23日にかけて強気転換できない場合は17日深夜安値を基準として24日深夜にかけての間まで安値形成期を延長する可能性がある。
60分足の一目均衡表では17日の下落で先行スパンから転落、両スパン悪化状態が続いている。このため当面は遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、遅行スパン好転の場合は先行スパン下限試しとするがその前後は反落警戒とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.50円を支持線、110.00円から110.20円までを上値抵抗帯とみておく。
(2)110円台を回復できない内は109.50円割れから更に一段安へ向かう可能性ありとし、109.00円前後試しを想定する。109円以下は突っ込み警戒、反発注意とするが110円以下での推移中は安値試しが継続しやすいとみる。
(3)110円台回復では戻り売りにつかまりやすいとみるが、110.25円超えから続伸し、その後も110円台を維持し始める場合は強気転換注意として20日夕高値110.68円試しへ向かう可能性を考える。(了)<9:40執筆>
【当面の主な予定】
8/21(火)
トルコ 休場
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)金融政策会合議事要旨公表
8/22(水)
トルコ 休場、シンガポール休場
07:45 (NZ) 4-6月期 四半期小売売上高指数 前期比 (前期 0.1%、予想 0.4%)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 年率換算件数 (6月 538万件、予想 541万件)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 -0.6%、予想 0.6%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
オーダー/ポジション状況
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